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エリア:
- 南太平洋 > フィジー > マナ島
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テーマ:
- ビーチ・島
Bula ブラ! ピタ室長です!
今週もフィジー、マナ島のダイビング・ショップ、アクアトレック・マナの現地インストラクター よしさんのフィジーの happiness をお届けします!
「あきないんだよ、これが」という幸福(上)
この島に暮し始めて18年。「小さな島に長く住んでいてあきませんか」とこれまで何度聞かれたか覚えていない。
質問に対する僕の答え方はそのつど違っていた筈だけど、心の中ではいつもこう答えていた。「あきないんだよ、これが」と。
Mana boys
これは僕の趣味というか生き方の問題でもあるけど、ここは決してなにもないところではない。言い出せばないものはいっぱいあるけど、それはどこにいてもそうだろうから、何でもあるところのほうが珍しいだろうし、もっと言えばなんでもあるところなんてこの世に存在しないと僕は思っている。東京には何でもあると言った人がいるけれど、その人にとっての欲しいものがだいたい揃っているというくらいの意味だろう。そういう意味では、この島は僕にとってはなんでもあると言えなくもない。実際にはある特定のものがなかなか手に入らなくて困ることもよくあるのだけど、困ることが「ある」というのも悪くない。
物があってもなくても人は飽きるものだと僕は思っている。ある人が「田舎はいいね」と言ったらその土地の人が「田舎は飽きる」とこたえたという。話しかけたひとは飽きるほどの時間をそこで過ごすことなく、答えた人は既にじゅうぶん飽きていたのだろう。いくら素晴らしいものでも、人はやっぱり飽きるのだ。
一生かかっても全部身につけることができないくらいの服や靴を持っている人が世の中にはたくさんいる。その人たちは、素晴らしい靴や服にあき続けるかわりに、美しいものを買うことには飽きることがないのだ。だからそんなに持っていても無駄などという意見は本質から外れている。飽きることによって退屈したくないというそれだけのことなのだから。
僕がそれほど大きくないこの島にずっと暮していても飽きないのは、靴や服を毎日のように買い続けている行為に似ているかもしれない。服や靴のかわりに僕はいつもここで手に入れているもの、それが小さな幸福かもしれない。(次週に続く)
2015-06-01
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- Happiness
- マナ島