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エリア:
- 南太平洋 > フィジー > マナ島
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テーマ:
- ビーチ・島
Bula ブラ! ピタ室長です!
今週も、マナ島のダイビング・ショップ、アクアトレック・マナの現地インストラクター よしさんの写真とメッセージによる フィジーの happiness をお届けします!
〜 幸福の音〜
海に囲まれた島に暮していると音に敏感になる。街に住んでいる時には無くてはならないものだった音楽、特に電気を使った音楽をここでは聴きたいと思わなくなった。ここでは鳥の鳴き声や風に揺れる椰子の葉の音、波の音などが僕にとっての心地よい音楽になっている。
そんな自然の音楽に混ざって夕暮れ時になると遠くから「カン」あるいは「コツン」という金属同士があたるような音が聴こえてくることがある。この島に住み始めてしばらくの間、それがなんの音なのか、どこから聴こえてくるのか気になって仕方が無かった。
ある日村の中でその音が近くに聴こえたので、その方向に行ってみた。そこで僕が見たのは村の若者が、鉄でできた筒状の壷のようなものの中に鉄棒を撃ちつける姿だった。打ち付けるときに低くドンという音がして持ち上げるときには壷の壁にあたってカンという高い音がする。遠くからだと高い音だけが伝わりドンという音は聴こえなかったという事もわかった。ドン・・・カン・・・ドン・・・カン・・・。これがゆっくり続き、あたりには乾いたにおいが漂う。そのにおいで僕にはこれがなにかわかった。
気になっていたあの音は、フィジーではなくてはならない嗜好品である「カヴァ」を粉砕する時の音だったのだ。カヴァというのは、コショウ科の植物の根を乾燥させたものを粉砕して、それを布の袋に入れてタノアと呼ばれる器のなかで濾して作る飲みもので、フィジーの人はこれが大好き。僕のような外から来たものもここで生活する以上は避けることが出来ないものであり、それを飲むことが儀式でもあり、その場は村の社交界のようなものでもある。その味がどうだという話はまた別の機会にして、このカヴァを粉砕する時の音が実にいい。僕にとってはこれこそがフィジーの音で、子どものころからの夢であった、南の島に住むことを実現させたいま、この音は夢をかなえた証のように印象付けられた。
僕にとっての幸福の音は、夕方になると村の方から潮風に乗って届く。
2015-06-29 きゃくのよしみ
マナリゾートでもカヴァの儀式が行われる
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