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エリア:
- ヨーロッパ > ロシア > イルクーツク
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- ヨーロッパ > ロシア > リストビヤンカ
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テーマ:
- 買物・土産
- / 世界遺産
- / 自然・植物
海の様に大きいバイカル湖
『日本から一番近いヨーロッパ』、それだけ聞くととても素敵なところに思えるロシア極東の町と『シベリアのパリ』と呼ばれるイルクーツクのあるシベリアへ行く機会がもらえた。確かに初夏が近づくとウラジオストク行きの問い合わせが増える。一体何があるのか?長年謎だったのが、ようやく解る事になるのだ。
今回の旅程はウラジオストク→ハバロフスク→イルクーツク。メインは、シベリア鉄道乗車、バイカル湖でアザラシ探索である。世界一最古の世界一深い湖でアザラシは見つかるのか?
イルクーツクの旅行者像
今回は羽田発の大韓航空でウラジオストクに向かうことになった。朝6:25発の飛行機、空港集合4:25。普通に電車なし。タクシーで行くかと思うも、タクシーと同じ位の値段で泊まれる羽田空港内のホテルを知り、こちらに泊まってみることにする。羽田空港ターミナル内にある『ファースト・キャビン』はカプセルホテルの高級版。シングルの場合ホテルだと割高だが、こちらはシングルのみなので使いやすい。早朝から国際線へのバスもあり、予約すれば起こしてもらえる!これで羽田空港の早朝便も問題なし。
ファースト・キャビンの各部屋
大韓航空で仁川空港へは約2時間、乗り継いでウラジオストクまで約2時間、あっという間にロシアに到着した。成田から直行便でいくよりは遠回りになるのだが、それでも近い。
ウラジオストク空港
空港からウラジオストクの市内までは車で約1時間。到着するまで町らしきものはなし。長閑である。
市内に近づくとようやく建物が見られ始め、と、そこがもう市内。賑わうエリアはそんなに広くない様だ。
今回のホテルはアジムトのウラジオストク館。最近経営が変わり、リニューアルオープンしたばかりで、モダンなインテリアと生まれ変わって快適なホテルとなった。
モダンなインテリアのアジムトホテル
シトシト雨の中、プラプラ町を歩いてみる。ソ連時代のウラジオストクの町は知らないが、恐らく閉鎖的だったのだろう。お店が外から見たら何屋さんなのかさっぱり見えない。しかもキリル文字、見当もつかない…。少し絵が書いてあると判断つく程度。
それでも町はヨーロッパの様な趣のある建物が建ち並び、あぁロシアに来たなぁと静かに感じた。
ヨーロッパの町並み
何時頃日が暮れるのか、夜の町の様子が解らないので、とりあえず早目の夕食。ホテルから徒歩圏内の『グートフ』でペリメニ(シベリア風水餃子)とスモークチーズフライをビールと共に頂いた。
翌日はウラジオストク思いっきり市内観光!見るものあるのか?と疑っていたが、これがなかなか楽しい1日だった。
まず美人のガイドさんが連れて行ってくれたのはシコータ半島。半島の最先端。ここアムール湾でゴムボートでニシン釣りをする人がいる。冬の間は何と一面氷が張るそうだ。3月終わりにようやく溶け始めたとのこと。さすが極東。湾と言っても対岸がほとんど見えない。
アムール湾
次に市内中央の広場で開かれている市場へ。暖かくなるとウラジオストク近郊でも野菜や果物が採れる様になるので、それを週末に売りにくるのだ。トマトやネギ、玉ねぎ等の野菜や、この時期だけのイチゴ、カボチャで作った農家自家製ジュース、ニシンやサーモンの魚、ソーセージ、チーズ、と一通りの生鮮食品が並ぶ。天気もいい週末でとても賑わっていた。このマーケットは極寒の冬の間は開催されない。
暖かい季節にしか楽しめないのが、もう1箇所。スポーツ湾に沿ったプロムナード&ビーチである。ここでは音楽が流れ、屋台では綿あめやアイスクリームが売られ、人々が短い夏を満喫しに集まる。子供達はすでに海に飛び込んでいた。この場所にいるだけで、夏を一緒に歓迎したくなるだろう。そしてこの海も同じく冬には一面凍るのだ。
市内には博物館もいろいろある。潜水艦博物館、要塞博物館など興味があれば行ってみると以外に面白い。
潜水艦博物館
要塞博物館
ウラジオストクの姿を上から眺められる鷲の巣展望台もおすすめ。優雅な黄金橋、軍港に係留されている勇ましい姿の軍艦、ウラジオストク駅が一望出来る。なかなか見事な景色だ。何組かの結婚式のカップルが来ていて写真を沢山撮っていた。どうやら結婚式での定番スポットらしい。ちょっと微笑ましい。
鷲の巣展望台
結婚式の撮影会
今日は午前中より徐々に天気が良くなってきたからか、町の様子が明るく見えてきた。お店も色々目にする事が出来たし、人々が楽しそうにしていたのが何よりウラジオストクのイメージを好転した。
ランチはノスタルギーナで。ロシア名物ボルシチとビーフストロガノフを頂いた。ここはデザートとピロシキも美味しいらしい。
ビーフストロガノフ
夜21時ウラジオストク発シベリア鉄道『オケアン号』でハバロフスクへ向かう。30分前にホームに行き自分の乗る号車入口前で待っている女性車掌さんにパスポートを見せて乗り込んだ。
シベリア鉄道『オケアン号』
私の席は2等4名のコンパートメント。座席の下にはスーツケースも収納出来るが、狭いので開ける事は出来ない。この夜行1泊の列車利用の場合は乗車前に着替え等も終えておくのがベスト。また、同じコンパートメントの人の消灯が意外に早い場合があるので、夕食も済ませておくといい。ウラジオストクからハバロフスクへ向かう場合、廊下側の窓からアムール湾の夕陽が見られる。6月で日没は21時半頃だ。椅子の背もたれを倒すとベッドになり、シーツや枕は既にセットされている。硬いベッドで寝心地は悪いだろうと思っていたが、意外に寝心地はよく、列車の揺れに体を任せていつの間にか寝てしまった。
4名コンパートメント
お湯は自由に使える
アムール湾に夕陽が沈む
翌朝、何となく早目に目が覚め、窓の外を見るとちょうどロシア極東の広大な大地に朝日が昇り始めた頃だった。
列車から見る日の出
もう一度寝てしまったのか、到着1時間前に車掌さんが起こしに来てくれて目覚める。あっという間にハバロフスクに到着だ。
ハバロフスクはアムール川河岸に広がる極東ロシア中心の街だ。緑豊かな街並みで道端が広いせいかゆったりした印象だ。また、街に沿うように流れるアムール川が広大でそのスケールに圧倒される。さすが極東ロシア。
ハバロフスク市内には観光名所はそれほどない。公園や広場や教会をゆっくり散策するのがいい街だ。
今回訪れたちょっと変わったところを紹介すると、
●○子供鉄道○●
11〜17歳の子供達が実際に鉄道運営の体験を行える子供鉄道。実際に子供達が鉄道の連結や、車掌の仕事を行い、その列車に乗客として乗車する。線路は住宅街を走り、短い時間だが意外に楽しめる。
●○アムール川クルーズ○●
これは夏にハバロフスクに来たら外せない。広大なアムール川を遊覧船に乗って約1時間のクルーズ、風を切りながら走るのは最高に気持ちがいい。
●○中央市場○●
屋内屋外とに店が並ぶ市場。屋内は肉や魚、チーズ等の生鮮食品が売られ、屋外には野菜や果物、花、中国製の靴や洋服等色々な物が売られ賑わっている。見ているだけで面白い。
●○バルティカビール工場見学○●
ロシアで人気のバルティカビールの工場見学が出来る。工場では、スタッフがビールの出来るまでを案内してくれ、最後に試飲をさせて貰える。但し、通常は6名以上、イベントのない時に限る。
●○射撃体験○●
近郊にあるスポーツセンターで日本では撃つことが出来ないピストルや、カラシニコフ小銃等を体験出来る。インストラクターが扱い方を教えてくれるので安心。第二次世界大戦時に実際に使われていた銃もあり、戦争の歴史をも感じられる。
本格的な銃を撃たせてもらえる
構えてみる
また市内の『ディナモ公園』にはロシアで人気の物語に出てくるキャラクターの銅像があり、のどかに楽しめる。時間があったら行ってみてもいいだろう。
チュブラーシカと
ハバロフスクの夏は暑く、今日も29度まで気温が上がった。朝晩の気温の差が激しいイメージだが、今回は朝から暑かった。最近気候に変化もあるので、出発前には情報を収集した方がいい。
ハバロフスクからイルクーツクまでは国内線飛行機を使って移動する。約3時間半のフライトだが、ハバロフスクとの時差は2時間ある。
ハバロフスク国内線空港
イルクーツクに1泊し、世界遺産バイカル湖へ向かった。イルクーツクからバイカル湖の湖畔の町リストヴャンカへは車で約1時間の距離。途中にある木造建築博物館へ寄った。ここはイルクーツク州に残る木造建築を集めて展示、保護をしている屋外博物館だ。19世紀のブリヤートやコサック達の家や学校、教会が当時の様子そのままに再現されている。シベリアの気候に寄り添った木造建築はなかなか見応えがあった。
そしてとうとうバイカル湖へ!!!世界最古の湖、世界一深い湖であり、世界遺産の湖。地球上の淡水の約20%を占め、琵琶湖の47倍の大きさである。冬の間は全面凍結してしまい、青々とした湖面を眺められるのは夏の間だけだ。
どこまでも広がる海の様なバイカル湖は水がどこまでも透き通り、触るととても冷たい。この時期の水温はまだ3度位しかない。それでも湖畔には夏の訪れを待ちに待っていた人々が集っていた。この偉大なる湖は想像していた以上の絶景であった。
リストヴャンカでの宿泊は『レジェンドオブバイカル』。アンガラ川とバイカル湖がちょうどぶつかる河岸にあり、眺めは最高!太陽がなかなか沈まぬこの時期、夕陽を川面に写しながら、夜21時半位まで美しい眺めを楽しませてくれた。
翌朝、バイカル湖の中程にあるオリホン島へ向かった。リストヴャンカからは一度イルクーツクまでもどり、そこからタイガの森を走り抜け、途中より乾燥したステップに景色が変わり、ひたすら走る事約4時間。ようやくオリホン島へのフェリー乗り場に到着した。かなり素朴な乗り場である。
乗車するフェリー(渡し船)は、車数台と人が数十人かが乗れる小さな船であった。
車も人も運ぶ渡し船
オリホン島までは約10分。到着した船着き場でホテルのお兄さんが待っていてくれた。ロシア人は愛想がないのがお決まりだが、このお兄さん、若いからかニコニコしている。時々話しかけさえしてくる。(普通にロシア語で…。)ソ連時代が終わってから生まれた人達の時代が来たのか?
笑顔のドライバーさん
オリホン島の宿泊施設はフージル村に集まっている。この村へは船着き場から約1時間かかるが、時々見せてくれる絶景が時間を忘れさせてくれた。
どこまでも続くステップ
『Dariyana Homestead』はそれほど広くはない敷地内にいくつかのコテージがあり、アットホームな雰囲気。シーツや布団カバーは自分でつける。
『Dariyana Homestead』
フージル村を少し散策。特にこれといって何もない。ステップ気候であり、砂っぽい道。バイカル湖に向かって歩く事約20分。バイカル湖キタキタ絶景〜!!真っ青に広がるバイカル湖、何て見事!!素晴らしい!!
果てしなく静かに広がる青さに言葉も失う。
何時間かかってもオリホン島まで来て良かったと思えた。リストヴャンカから見るバイカル湖とはまた違う。穏やかなバイカル湖を眺め続けた。
夕食は19時からと言われたので食堂に行くが、まだ昼間の様に明るい。ロシア料理蕎麦の実を食べた。素朴な料理に心も胃も安らぐ。ビールは今までで一番安かった。ちなみに島では現金しか使えない。
家庭的な素朴な料理
夏のバイカル湖の夜明けは早い。朝4時頃にはもう明るくなってくる。そして冷え込む。朝食は9時からとの事、8時出発の私には間に合わない…。仕方なく手持ちのクッキーで済ませ、島の北部絶景ポイントへ観光へ出掛けた。観光は英語ガイドになるが、ホテルで誰も英語が出来ないので、やっと会話らしいものが出来たと一安心。意志疎通が出来るって大事だ…。
さて、走る事約1時間、島の先端へ。次々にビューポイントで停車。そこから眺めるバイカル湖は絶景のオンパレード。人もまだ少く、絶景独り占め。感動しっぱなしであったが、今回の旅の目的の1つ『バイカルアザラシを見つける』を達成させなければ、と焦りも出てくる。ガイドにアザラシはいるか?としつこく聞き続け、3ヶ所目でようやく、『Ayako!アザラシがいる、静かにこっち、こっち。』と!!
逃げないうちにと、カメラを構え、静かに崖の下を覗くと、何とアザラシの群れが岩で日なたぼっこしたり、泳いだりしているではないか!その数50頭はいただろうか。恐ろしく高い崖の上から下を覗くなんぞ、高所恐怖症の私には通常ではとても出来ない技だが、この時ばかりは何も考えずにアザラシ達を見続けていた。丸々太った体で寝転ぶ姿、泳ぐ姿、全てが可愛らしい。あ〜来て良かった。
バイカルアザラシの群れ
バイカルアザラシの群れ
シャーマンの聖地でもあるバイカル湖
絶景も満喫したし、アザラシも見たし、バイカル湖で思い残す事はない。
可愛かったバイカルアザラシを思い出しながらイルクーツクへ戻った。
牛も景色に見とれる!?
翌日イルクーツク1人市内観光へ。何とまあ、素敵な街ではないか。まだまだ少し閉鎖的なウラジオストク&ハバロフスクを見てきただけに、 レストランのオープンテラスにさえ感動してしまう。イルクーツクは2011年の350周年以来、街の美化に力を入れているそうだ。美化だけでなく、ヨーロッパ的な開放的な雰囲気作りを試みているのか、オープンな感じが気持ちがいい。女子が楽しめそうな新しいエリアもある。この街は間違いなくオススメだ。特にオススメな観光地を挙げてみよう。
●○130地区(オールドイルクーツク)○●
2011年オープンの帝政時代(13〜15世紀)の商人街を再現したエリア。お洒落なレストランにカフェ、お土産屋さんがあり、ショッピングモールとも隣接。外国人にも入りやすいオープンな雰囲気がいい。
●○キーロフ公園○●
アンガラ川すぐのスパスカヤ教会、バガヤヴリェーンスキー聖堂、ポリスキー教会が集まり見応えあり。2つの教会はロシア正教、1つはカトリック、3つの教会にはそれぞれ特徴があるので見比べてみるといい。ソ連時代には宗教信仰が禁止されていただけに、元に戻れた信者達の信仰心の深さを感じる事が出来る。
バガヤヴリェーンスキー聖堂
スパスカヤ教会
ポリスキー教会
●○デカブリストの家○●
ヴォルコンスキー、トルベツコイは1825年サンクトペテルブルグで武装蜂起した青年将校で、デカブリストと呼ばれたが乱を起こしてすぐに鎮圧され、シベリアに流刑となった。その当時に住んだ家が残されているのだが、いずれも木造建築で窓などの飾りが美しく、見応えがある。
ヴォルコンスキーの家
トルベツコイの家
緑の街路樹とバイカル湖から流れてくるアンガラ川に囲まれたイルクーツクの街はただ歩いているだけでも楽しめる。
見所は中心部に集まっているので、徒歩でも回れ、ちょっと疲れたら12ルーブル均一のトラムやバスに乗ってみるのもいい。
12ルーブル均一の便利なトラム
今回9日間をかけてロシア極東からシベリアまで訪れてみて解った事は、極東はようやく門戸を開き、世界に交わりつつある段階でこれからが面白い、ということと、シベリアの大自然はこんなにも巨大で素晴らしくそしてこんなにも日本から近い、ということだ。
ソ連からロシアになって約25年。人々もようやく落ち着いて自分達の街を作り始めている。スターリンの像は姿を消し、代わりに反革命家の銅像が作られるなど、時代が変わってきた。英語はまだ通じるところが少ないが、これからどんどん増えていくだろう。
ロシアへの渡航にはビザがまだ必要。その取得に時間とお金がかかるのがネックだが、そのビザも近い将来なくなってくれるのではないだろうか。
次に訪れる機会があれば、極寒の凍ったアムール川やバイカル湖を見に行ってもいいかもしれない。
やっぱりロシアといえばマトリョーシカ
グジェリ陶器もかわいい
【オススメ観光地】
◎ウラジオストク・・・★★★★
1992年から門戸を開いた街のこれからが期待大。
◎ハバロフスク・・・★★★★
緑が多くゆっくりするにはよい街。
◎イルクーツク・・・★★★★★
西ヨーロッパに近付いて来た街は、もうすでに外国人にも楽しめる街に。
◎リストヴャンカ・・・★★★★★
バイカル湖湖畔に泊まると尚よい。
◎オリホン島・・・★★★★★
バイカル湖を知り尽くしたいなら、行くべし。
(2015年6月能祖文子)