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エリア:
- 北米 > アメリカ西部 > グランドキャニオン
- 北米 > アメリカ西部 > サンフランシスコ
- 北米 > アメリカ西部 > セドナ
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テーマ:
- ハイキング・登山
- / 世界遺産
- / 自然・植物
旅行の計画を立てたり、飲み会の幹事をしたりするのは大好きだが
直前になると、全て投げ出してしまいたくなってしまうという持病が、私にはある。
ここだけの話、今回ほど出発前にテンションが上がらない国も珍しかった。
メジャーすぎる行先、よく写真で目にする有名すぎる観光地、英語を母国語とする国に行く時の何となく感じる引け目・・。
持病を発病させるのに十分な条件が揃い、周りのお客さんたちが、ガイドブックを広げ和気あいあいとしている機内で、爆音でK-POPを聞きながら爆睡するというやる気の無さを発揮させるという暴挙に出た。
そんな失礼な私が今回お邪魔させていただいたのは、かの有名なアメリカ合衆国。
ここまで読んで「アメリカってそうなんだ・・・残念。テンション下がるわー」と思った方もいらっしゃるでしょう。
安心してください。アメリカは素晴らしい国でした。
今、「もう一度行きたい国はどこですか?」と問われれば、「アメリカ」と即答できる自信があります!
あんなに興味が無かったのに、毎日わくわくしてドキドキして、9日間の旅程がアッという間すぎて、いつもならホッとする帰国便の機内でも、もう帰らないといけないという残念な気持ちでいっぱいになりました。
アメリカある方向に向かって五体投地したい気分です。
恥ずかしながら、今回研修に行かせてもらうまで、アメリカの地理も曖昧だった私が、今回訪れたのは、ラスベガス・セドナ・サンフランシスコ。
ラスベガスか・・・。金と欲望の町と名高い街。酒も博打も女(男?)もやらない私が、そんなところ行って楽しいのだろうか。
セドナね・・・。パワースポットという噂のあそこね。
サンフランシスコ・・・あ、フルハウス!!!!
ということで、乏しすぎる知識を補うために、たくさんのガイドブックを抱えて、いざ出国!
行く先々で、未婚の女一人旅であることを心配され、入国審査官にパスポートの写真が犯罪者みたいだねと言われ、たくさんの優しさに触れ、泣いて笑って大満足の旅行でした。
元から好意を持っていた人ではなく、基準値ゼロ(もしくはマイナス)から入った人間を、こんなに虜にするアメリカ大陸の持つパワーを、今回みなさんにご紹介できればと思います。
【ラスベガス&グランドキャニオン】
みなさんラスベガスのイメージはどんなものをお持ちでしょうか。
咥え葉巻でチップを山のように並べたおじさんと、美しいドレスで着飾ったお姉さんが、一夜の遊びに興じる町。
ほぼ、映画「オーシャンズイレブン」から引用されていた私の乏しすぎるイメージは、一瞬で吹き飛ばされることになりました。
砂漠の中にぽつんとあるラスベガス。
元々、砂漠の中の盆地にできたオアシスに人が集まってきたのが町の始まりというだけあり、ラスベガスの中では、昔オアシスの水で喉の渇きを癒した時と同じく、みんな羽を伸ばして生き生きとした表情をしています。
敷居の高いイメージがありましたが、意外にもラフな格好をしている人たちばかり。
元々マフィアが作り上げたギャンブルの町も、今ではファミリー層まで楽しめる平和な町となっていました。
世界中のVIPが集まってくるため、町の至る所に監視カメラが備え付けられ、夜も出歩くことができます。ただし、酔っ払いなどはいますので、最低限の気配りは必要です。
ラスベガスはカジノの町だけでなく、国立公園や大自然への玄関口としても有名です。
モニュメントバレー、ザイオン国立公園など、様々な有名観光地へアクセスできますが、今回はアンテロープとグランドキャニオンへ行ってきました。
アンテロープキャニオンにはアッパーとローワーがあり、今回訪れたのは急な階段を下りていくローワーアンテロープキャニオン。
息をのむほどに美しい岩肌は、まるで生き物のようであり水の流れのようであり、誰がシャッターを押しても素晴らしい写真が撮れます。
鉄砲水がこの美しい曲線を作り上げたというのですから、自然の力には敵いません。
そして有名すぎる観光地、グランドキャニオンへ。
実際に見ていただかないと、この感じは伝わらないかもしれませんが、これほどまでに非現実感が強い景色に出会ったのは初めてかもしれません。
いくら目を凝らして見ても、写真を撮ってみても、まるでCGの世界に迷い込んでしまったような気持ちになります。
グランドキャニオンは全長約446キロメートル、日本で例えるならば東京〜琵琶湖間の距離に匹敵します。(なぜに、あえての滋賀ではなく“琵琶湖”なのか気になりますが、みんなそう言っていました)
コロラド川の浸食によってできあがったとされるグランドキャニオンですが、渓谷という形容詞には到底当てはまりません。
今回は一泊二日のツアーでしたが、一週間いても飽きることはない気がしました。
今回訪れた有名所以外にもビューポイントは数多くあり、谷底へのハイキングツアーや乗馬、ラフティングなど、興味をそそられるものがたくさんありました。
こんなに広大な遊び場で心行くまで遊びつくしてみたいものです。
すっかりグランドキャニオン、アンテロープキャニオンに心奪われた私でしたが、それ以上に強烈に私の印象に残ったのがここ。
アンテロープからすぐのところにある、ここホースシューベントは、ガイドブックでもあまり取り上げられていない場所だったため、特に期待もせずとぼとぼと歩いて向かったのですが、待ち受けていたのは、まさに絶景でした。
ホースシューベントという名前の通り、馬の蹄形にこれまた水の力によって削られているのですが、柵も何もないので足元は断崖絶壁。でも柵が無い分、縁まで近づくとその広大な景色に吸い込まれていくような錯覚に陥ります。
岩の形といい、蹄型に流れる水の色の美しさといい、この旅一番の絶景でした。
一日中でも見ていたかった〜!皆様も是非、忘れずに見に行ってください!
【セドナ】
日本でも「パワースポット」として人気のあるセドナですが、実際どんな街なのかみなさんご存知でしょうか。
在住者の平均年齢は50歳前後と、世界中から老後を快適に幸せに暮らそうと移住してきたリタイア組が多いセドナでは、約4割の人が働いていないそう。またアートの町としても有名なため、多くのアーティスト、そして自由を求めてヒッピーたちも移住してきました。
では、なぜセドナがパワースポットとして有名になってきたのか。
元々セドナは、ネイティブアメリカンの人たちが聖地として大切にしてきた土地。
鉄分を多く含んだ赤い岩山が町をぐるりと囲んでいます。
ネイティブアメリカンは、セドナには特別な儀式を行う以外では足を踏み入れることが無かったとのこと。聖地としてあがめていたため、セドナは元々人が住んではいけない土地だったのですね。
しかし1900年代に、セドナでリンゴの栽培を始めようと開拓者たちが住みつき、1970年代にセドナに約10か所あるといわれるボルテックスが有名となり、セドナは一躍「スピリチュアルな癒しの町」として世界的に有名になり、癒しを求める人やヒッピーたちが大挙し、今の町ができあがりました。
ずっと聖地として守ってきた土地に家が建てられ、町として発展していく流れを、ネイティブアメリカンの人たちはどんな思いで見ていたのでしょうか。
そんなしんみりした気持ちにもなりますが、ネイティブアメリカンの方がそれほどまでに大事にしていた土地ということを心に留めた上で、お邪魔させてもらっているという気持ちを忘れずに、いざ観光へ!
セドナを一躍世界的なパワースポットへと変身させた「ボルテックス」とは、直訳すると「渦」、地球のパワーが渦を巻く場所のことを指します。
セドナの町全体がボルテックスとされていますが、その中でも、特にパワーが強い4つのボルテックスを「4大ボルテックス」といいます。
セドナが人体に何かの影響を与えると言う科学的な証明はありませんが、実際に行ってみると、確かに感じる「何か」がありました。
その「何か」を感じたのが、4大ボルテックスの一つ、ボイントンキャニオンへの道をハイキングしていた時。
少し開けた広場のような所に出たところで急に「ここに立って手のひらを地面に向けてみてください」とガイドさんに誘われ、手のひらを地面に向ける。そのままじっとしていると、段々指先が痺れてきた。
「え、怖い!なんだか指先が痺れてきました!」
「そうですか。ここはネイティブアメリカンの方たちがお祈りをしたりする場所です。パワーが伝わってきたのですね」
なんと!前情報の無い状態だった私でも、体が反応するほどのパワーをこの土地は持っていました。その後も若干プルプルと震える指先を見つめ、この土地が持つパワーをひしひしと感じた場面でした。
ほとんどのボルテックスは、町から離れているので車がないと行くのが難しいですが、町の近くにエアポートメサという、これまた4大ボルテックスの1つであるパワースポットがあります。
私が滞在していたホテルから徒歩圏内だということなので、夕陽鑑賞スポットでもあるエアポートメサへお散歩も兼ねて歩いていってみました。
緩やかな山道ですが、ほぼ歩道はないので、歩いているのは私のみでした。
また、夕日が落ちた後は、一気に暗くなるので、徒歩で夕日鑑賞に行かれる場合は、なるべく陽が落ち切らない内の下山をお勧めいたします。
エアポートメサではとっても暖かいパワーを感じることができ、集まっている人たちもギター片手に歌を歌っている人がいたりして、とってもピースフルなゆったり時間を楽しむことができます。
刻一刻と岩肌の色が変化していく様を、最初はひたすら写真に収めていましたが、ただ座ってゆっくりと色を変えていく贅沢な時間を独り占めすることにしました。
みなさんも、この贅沢を味わってみたいと思われたら、是非行ってみてください。
写真や文章では伝わらない暖かなエネルギーがセドナを包み込んでいました。
また、セドナの夕日と朝日は格別でした!
行かれるのであれば、是非2泊はしてほしい町です。
【サンフランシスコ】
ついに旅の最終地点、サンフランシスコの地に降り立つ。
空港から市内までは電車が走っており、今までに訪れた砂漠の中のオアシスや、岩山に囲まれたパワースポットに比べて、とっても便利。急に大都会に突入です。
住みたい町上位にいつもランクインするというサンフランシスコ。
信じられない程の傾斜を誇る坂道、町を走る可愛らしいケーブルカー、真っ赤なゴールデンゲートブリッジ・・。
小さいころから引きこもりだった私に、日本から遠く離れたこの異国の素晴らしい街を教えてくれたのは、ある海外ドラマでした。
昔NHKで放送されていた、大人気番組をみなさん覚えていらっしゃるでしょうか。
オープニング曲を聞けば、今でも歌いだしてしまうあのドラマ。
「え〜びうぇ〜、ゆーるーっく(Everywhere you look)え〜びうぇ〜、ゆーごー(Everywhere you go)♪」
ということで、そうです、サンフランシスコは、みんな大好き「フルハウス」のモデル地なのです!
奥さんを事故で無くしたダニーが、親友ジョーイと義弟ジェシーと協力し、三人の娘を育てていくという、とってもハートフルなドラマに出てきた場所があるなんて!是非見てみたい!
テンションの低かった出発前から、心ひそかに唯一下調べをしていたサンフランシスコ、半日しかないフリータイムを目いっぱい楽しむため、ホテルに荷物をほり込み、いざ出発!
まずは、ジェシーおいたんも乗っていたサンフランシスコ名物、ケーブルカー乗り場へ!
なんと、日曜日ということもあり、約一時間待ち。
まぁサンフランシスコにきて、ケーブルカーに乗らないっていうのも勿体ないので、大人しく順番待ち。
ユニオンスクエアにある、始発駅から乗ったのですが、ケーブルカーは、方向を変えるのにまさかの人力でした。重たいだろうに、逞しい!
そしてついに乗車〜!
おお!本当に立ち乗りしている!
こういう乗り物を乗りこなせると、地元民になれたような気がしてわくわくしますね。
風を感じて町中を走るケーブルカーは、すっかり街並みに溶け込んでおり、始発から終点まで約30分の素敵時間を楽しみました。
そんなケーブルカーの横には、あの有名な「世界一曲がりくねった坂道」ロンバートストリートが。
坂の上から下への一方通行で、腕自慢のドライバーたちが長い行列を作っていました。
私の運転技術だったら確実にどこか擦ってしまうだろうなぁと、ひやひやしながら、横を颯爽とすり抜けていくマリオカートの恰好のドライバーに目を奪われていました。
・・・どこの国にもファンキーな人っているものだな。
そして今回のフルハウスロケ旅、どうしても行きたかった場所へ、ヨセミテツアーへ向かう前、朝の5時にホテルを出発し、行ってきました!
フルハウスで最後にみんながピクニックをしていたアラモスクエア!このシーンをみて、あぁここに住みたいと子ども心に思ったのを覚えています。
まだ薄暗い中到着して、愕然。
なんと、公園をぐるりと柵が囲っているではないですか!
えええ!入れない!でも、もう時間がない!
ということで、泣く泣く有名なビクトリアンハウスだけを楽しんできました。
あぁ、ピクニックしようと前日にサンドイッチまで買ったのに・・。
サンフランシスコの町は、私の期待を全く裏切らない素敵な町でした。
やっぱりこの町にだったら住みたい!
他にも、フィッシャーマンズワーフで有名なクラムチャウダーを食べたり、絶対脱獄不可能と言われたアルカトラズ島を遠くから拝んだりと、短時間なのに大充実の滞在でした。
サンフランシスコから日帰りのヨセミテ国立公園ツアーにも参加してきました。
なんと片道5時間もかかりますが、本当に行って良かったです。
グランドキャニオンとは全く違った、緑がたくさんな山森林浴を楽しみ、滝でマイナスイオンを浴びることができます。
国立公園のものは何一つとして持って帰ることは許されていません。
とっても大きな松ぼっくりなど、是非お土産に持って帰りたくなりましたが、我慢我慢。
また、持ってきたものは全て持って帰るのも国立公園のお約束。
ただ、3つだけ置いて帰ってもいいものがあるそう。
それは「思い出」「足跡」「お金」。
みなさんも是非いかれた際には、こちら3つをたくさん置いてきてください。
そして最後に、今回の旅行でとても心が暖まる出来事があったので、ご紹介。
セドナでパワーを堪能した後、有名な老舗レストラン「カウボーイクラブ」へ。
ガイドさんからこのお店ではセドナでしか食べられない料理が楽しめますよ!と教えてもらいわくわく。
西部劇に出てきそうな店内にもわくわくしながら、「セドナならではの料理をお願いします」と注文する。
ウェイターさんがプレートを私の前に置き、料理の説明をしてくれる。
「こちらが、バッファローのバーベキュー、サボテンのフライ、ガラガラヘビのソーセージですね。エンジョイ!」
おお、想像以上にすごいものがでてきたなと、半笑いでパシャパシャと写真を撮っていると、ふと感じる視線。顔をあげると、周りのテーブルの人たちみんなが私の料理を凝視していた。
目があったので、笑いかけると、一気にみんなからの質問が飛んでくる。
「え、それヘビの肉なの?それ食べるの?嘘でしょ?」「あなたどこから来たの、わざわざアメリカまできてそんなの食べなくてもいいのに!」「ちょっと写真撮って良い?」と、周りを巻き込み、大騒ぎとなった。
その中でも、ラスベガスから来ていた隣席の夫婦が「あなた一人なの?大丈夫?何で一人で旅してるの?なんでアメリカでサボテンなんて食べてるの?」と、アメリカの片田舎で奇怪な食べ物に挑戦している私の事を、本気で心配し始めた。
「大丈夫ですよ!一人旅慣れているので寂しくないです!」と、どうにか納得してもらい、いざ実食!
周りのみんなが見守る中、ガラガラヘビのソーセージをいただく。
思っていたよりも美味しかったです。何の味に似ているから問われても難しいので、周りのお客さんに「一口あげる」と進めるも、みんな頑なに拒否し、最後には嫌がりすぎて女の子が号泣し始めるという、本当にカオスな状況に陥りましたが、そんなに恐れる程の味ではなかったです。
サボテンはゴーヤに似た触感で、バッファローは臭みもなく独特の美味しさが口の中に広がります。
一人でヘンテコ料理に挑戦している間も、周りから質問が飛んできて、何とも楽しい時間を過ごすことができました。
そして、帰ろうかと、ウェイターに会計を頼むと「いえ、お支払は必要ないですよ」と、にっこり。
文字通り、きょとーんっとする私に「あなたと過ごした楽しい時間に感動された方が、あなたのお支払も済ませてくれています。セドナを楽しんでいただいて、私からもお礼を申し上げます」と、またにっこり。
なんと、隣席の夫婦が私の支払いを済ませてくれていたのです!
辞退しようと必死に伝えるも「あなたは一人でアメリカまで来て、私はあなたをとっても誇りに思います。楽しい時間をありがとう。アメリカを楽しんでね」と、こちらもにっこり。
人生で涙を流すことはたくさんありますが、人の優しさに泣けるほど幸せなことはないですね。
日本から遠く離れ、言葉も十分に通じない土地で、人生で初めて「あちらのお客様にお支払していただいております」という粋な心遣いに出会い、とても心が暖まり、周りのお客さんにも手を振り見送られ、半泣き状態、胸いっぱいで帰路につきました。
海外に行くと、やっぱり楽しい事ばかりでなく、辛い事や悔しいこともたくさんあり、心が折れることもたくさんありますが、こういう出会いがあるから旅は止められないなと、再認識。
また会いたいと思える人や景色に出会う度に、嬉しくてたまらなくなります。
「アメリカなんてスタンダードな旅先、興味ないね!」と、出発まで言っていた自分が恥ずかしいくらい、アメリカは見どころ満載の楽しすぎる国でした。
まだまだ西海岸の一部しか見ていないアメリカ、次はどんな一面を見せてくれるのか、また会える日が楽しみで待ちきれないです。
みなさん、私みたいに食わず嫌いしている場合ではないです。
是非次のご旅行には、ビッグパワーをもらいにアメリカへ!
おすすめ
セドナ★★★★★
滞在するだけでデトックス!パワーストーンも安く手に入ります
ホースシューベント★★★★★
必ず見て欲しい観光地。行けば素晴らしさが分かります。
サンフランシスコ★★★★★
暮らすように滞在を楽しんでください。
(2016年5月 大野史子)
直前になると、全て投げ出してしまいたくなってしまうという持病が、私にはある。
ここだけの話、今回ほど出発前にテンションが上がらない国も珍しかった。
メジャーすぎる行先、よく写真で目にする有名すぎる観光地、英語を母国語とする国に行く時の何となく感じる引け目・・。
持病を発病させるのに十分な条件が揃い、周りのお客さんたちが、ガイドブックを広げ和気あいあいとしている機内で、爆音でK-POPを聞きながら爆睡するというやる気の無さを発揮させるという暴挙に出た。
そんな失礼な私が今回お邪魔させていただいたのは、かの有名なアメリカ合衆国。
ここまで読んで「アメリカってそうなんだ・・・残念。テンション下がるわー」と思った方もいらっしゃるでしょう。
安心してください。アメリカは素晴らしい国でした。
今、「もう一度行きたい国はどこですか?」と問われれば、「アメリカ」と即答できる自信があります!
あんなに興味が無かったのに、毎日わくわくしてドキドキして、9日間の旅程がアッという間すぎて、いつもならホッとする帰国便の機内でも、もう帰らないといけないという残念な気持ちでいっぱいになりました。
アメリカある方向に向かって五体投地したい気分です。
恥ずかしながら、今回研修に行かせてもらうまで、アメリカの地理も曖昧だった私が、今回訪れたのは、ラスベガス・セドナ・サンフランシスコ。
ラスベガスか・・・。金と欲望の町と名高い街。酒も博打も女(男?)もやらない私が、そんなところ行って楽しいのだろうか。
セドナね・・・。パワースポットという噂のあそこね。
サンフランシスコ・・・あ、フルハウス!!!!
ということで、乏しすぎる知識を補うために、たくさんのガイドブックを抱えて、いざ出国!
行く先々で、未婚の女一人旅であることを心配され、入国審査官にパスポートの写真が犯罪者みたいだねと言われ、たくさんの優しさに触れ、泣いて笑って大満足の旅行でした。
元から好意を持っていた人ではなく、基準値ゼロ(もしくはマイナス)から入った人間を、こんなに虜にするアメリカ大陸の持つパワーを、今回みなさんにご紹介できればと思います。
いざ、赤い大地にパワーをもらう旅へ!
【ラスベガス&グランドキャニオン】
みなさんラスベガスのイメージはどんなものをお持ちでしょうか。
咥え葉巻でチップを山のように並べたおじさんと、美しいドレスで着飾ったお姉さんが、一夜の遊びに興じる町。
ほぼ、映画「オーシャンズイレブン」から引用されていた私の乏しすぎるイメージは、一瞬で吹き飛ばされることになりました。
砂漠の中にぽつんとあるラスベガス。
元々、砂漠の中の盆地にできたオアシスに人が集まってきたのが町の始まりというだけあり、ラスベガスの中では、昔オアシスの水で喉の渇きを癒した時と同じく、みんな羽を伸ばして生き生きとした表情をしています。
敷居の高いイメージがありましたが、意外にもラフな格好をしている人たちばかり。
元々マフィアが作り上げたギャンブルの町も、今ではファミリー層まで楽しめる平和な町となっていました。
世界中のVIPが集まってくるため、町の至る所に監視カメラが備え付けられ、夜も出歩くことができます。ただし、酔っ払いなどはいますので、最低限の気配りは必要です。
ラスベガスはカジノの町だけでなく、国立公園や大自然への玄関口としても有名です。
モニュメントバレー、ザイオン国立公園など、様々な有名観光地へアクセスできますが、今回はアンテロープとグランドキャニオンへ行ってきました。
アンテロープキャニオンにはアッパーとローワーがあり、今回訪れたのは急な階段を下りていくローワーアンテロープキャニオン。
息をのむほどに美しい岩肌は、まるで生き物のようであり水の流れのようであり、誰がシャッターを押しても素晴らしい写真が撮れます。
鉄砲水がこの美しい曲線を作り上げたというのですから、自然の力には敵いません。
ローワーアンテロープへの冒険スタート!
そして有名すぎる観光地、グランドキャニオンへ。
実際に見ていただかないと、この感じは伝わらないかもしれませんが、これほどまでに非現実感が強い景色に出会ったのは初めてかもしれません。
この世の景色とは思えない
いくら目を凝らして見ても、写真を撮ってみても、まるでCGの世界に迷い込んでしまったような気持ちになります。
グランドキャニオンは全長約446キロメートル、日本で例えるならば東京〜琵琶湖間の距離に匹敵します。(なぜに、あえての滋賀ではなく“琵琶湖”なのか気になりますが、みんなそう言っていました)
コロラド川の浸食によってできあがったとされるグランドキャニオンですが、渓谷という形容詞には到底当てはまりません。
今回は一泊二日のツアーでしたが、一週間いても飽きることはない気がしました。
今回訪れた有名所以外にもビューポイントは数多くあり、谷底へのハイキングツアーや乗馬、ラフティングなど、興味をそそられるものがたくさんありました。
こんなに広大な遊び場で心行くまで遊びつくしてみたいものです。
可愛いココペリ(精霊)グッズも充実!
すっかりグランドキャニオン、アンテロープキャニオンに心奪われた私でしたが、それ以上に強烈に私の印象に残ったのがここ。
絶景!!
アンテロープからすぐのところにある、ここホースシューベントは、ガイドブックでもあまり取り上げられていない場所だったため、特に期待もせずとぼとぼと歩いて向かったのですが、待ち受けていたのは、まさに絶景でした。
ホースシューベントという名前の通り、馬の蹄形にこれまた水の力によって削られているのですが、柵も何もないので足元は断崖絶壁。でも柵が無い分、縁まで近づくとその広大な景色に吸い込まれていくような錯覚に陥ります。
岩の形といい、蹄型に流れる水の色の美しさといい、この旅一番の絶景でした。
一日中でも見ていたかった〜!皆様も是非、忘れずに見に行ってください!
落ちないかひやひや
撮ってくれたおじさん、、、良さが伝わらないよ!涙
【セドナ】
日本でも「パワースポット」として人気のあるセドナですが、実際どんな街なのかみなさんご存知でしょうか。
在住者の平均年齢は50歳前後と、世界中から老後を快適に幸せに暮らそうと移住してきたリタイア組が多いセドナでは、約4割の人が働いていないそう。またアートの町としても有名なため、多くのアーティスト、そして自由を求めてヒッピーたちも移住してきました。
では、なぜセドナがパワースポットとして有名になってきたのか。
元々セドナは、ネイティブアメリカンの人たちが聖地として大切にしてきた土地。
鉄分を多く含んだ赤い岩山が町をぐるりと囲んでいます。
ネイティブアメリカンは、セドナには特別な儀式を行う以外では足を踏み入れることが無かったとのこと。聖地としてあがめていたため、セドナは元々人が住んではいけない土地だったのですね。
しかし1900年代に、セドナでリンゴの栽培を始めようと開拓者たちが住みつき、1970年代にセドナに約10か所あるといわれるボルテックスが有名となり、セドナは一躍「スピリチュアルな癒しの町」として世界的に有名になり、癒しを求める人やヒッピーたちが大挙し、今の町ができあがりました。
ずっと聖地として守ってきた土地に家が建てられ、町として発展していく流れを、ネイティブアメリカンの人たちはどんな思いで見ていたのでしょうか。
そんなしんみりした気持ちにもなりますが、ネイティブアメリカンの方がそれほどまでに大事にしていた土地ということを心に留めた上で、お邪魔させてもらっているという気持ちを忘れずに、いざ観光へ!
右の小さい岩がスヌーピーロック、左の大きい岩の上にルーシーが座っています
本当にまっすぐに育つ木。セドナでは、パワーを受けてくねくねになってしまいます
土の中に水晶が混ざっています
セドナを一躍世界的なパワースポットへと変身させた「ボルテックス」とは、直訳すると「渦」、地球のパワーが渦を巻く場所のことを指します。
セドナの町全体がボルテックスとされていますが、その中でも、特にパワーが強い4つのボルテックスを「4大ボルテックス」といいます。
セドナが人体に何かの影響を与えると言う科学的な証明はありませんが、実際に行ってみると、確かに感じる「何か」がありました。
その「何か」を感じたのが、4大ボルテックスの一つ、ボイントンキャニオンへの道をハイキングしていた時。
少し開けた広場のような所に出たところで急に「ここに立って手のひらを地面に向けてみてください」とガイドさんに誘われ、手のひらを地面に向ける。そのままじっとしていると、段々指先が痺れてきた。
「え、怖い!なんだか指先が痺れてきました!」
「そうですか。ここはネイティブアメリカンの方たちがお祈りをしたりする場所です。パワーが伝わってきたのですね」
なんと!前情報の無い状態だった私でも、体が反応するほどのパワーをこの土地は持っていました。その後も若干プルプルと震える指先を見つめ、この土地が持つパワーをひしひしと感じた場面でした。
精神統一をしている人もいました
ほとんどのボルテックスは、町から離れているので車がないと行くのが難しいですが、町の近くにエアポートメサという、これまた4大ボルテックスの1つであるパワースポットがあります。
私が滞在していたホテルから徒歩圏内だということなので、夕陽鑑賞スポットでもあるエアポートメサへお散歩も兼ねて歩いていってみました。
緩やかな山道ですが、ほぼ歩道はないので、歩いているのは私のみでした。
また、夕日が落ちた後は、一気に暗くなるので、徒歩で夕日鑑賞に行かれる場合は、なるべく陽が落ち切らない内の下山をお勧めいたします。
エアポートメサへの道
エアポートメサからの眺め
エアポートメサではとっても暖かいパワーを感じることができ、集まっている人たちもギター片手に歌を歌っている人がいたりして、とってもピースフルなゆったり時間を楽しむことができます。
刻一刻と岩肌の色が変化していく様を、最初はひたすら写真に収めていましたが、ただ座ってゆっくりと色を変えていく贅沢な時間を独り占めすることにしました。
みなさんも、この贅沢を味わってみたいと思われたら、是非行ってみてください。
写真や文章では伝わらない暖かなエネルギーがセドナを包み込んでいました。
また、セドナの夕日と朝日は格別でした!
行かれるのであれば、是非2泊はしてほしい町です。
夕日
朝日
【サンフランシスコ】
ついに旅の最終地点、サンフランシスコの地に降り立つ。
空港から市内までは電車が走っており、今までに訪れた砂漠の中のオアシスや、岩山に囲まれたパワースポットに比べて、とっても便利。急に大都会に突入です。
住みたい町上位にいつもランクインするというサンフランシスコ。
信じられない程の傾斜を誇る坂道、町を走る可愛らしいケーブルカー、真っ赤なゴールデンゲートブリッジ・・。
小さいころから引きこもりだった私に、日本から遠く離れたこの異国の素晴らしい街を教えてくれたのは、ある海外ドラマでした。
昔NHKで放送されていた、大人気番組をみなさん覚えていらっしゃるでしょうか。
オープニング曲を聞けば、今でも歌いだしてしまうあのドラマ。
「え〜びうぇ〜、ゆーるーっく(Everywhere you look)え〜びうぇ〜、ゆーごー(Everywhere you go)♪」
ということで、そうです、サンフランシスコは、みんな大好き「フルハウス」のモデル地なのです!
奥さんを事故で無くしたダニーが、親友ジョーイと義弟ジェシーと協力し、三人の娘を育てていくという、とってもハートフルなドラマに出てきた場所があるなんて!是非見てみたい!
テンションの低かった出発前から、心ひそかに唯一下調べをしていたサンフランシスコ、半日しかないフリータイムを目いっぱい楽しむため、ホテルに荷物をほり込み、いざ出発!
まずは、ジェシーおいたんも乗っていたサンフランシスコ名物、ケーブルカー乗り場へ!
なんと、日曜日ということもあり、約一時間待ち。
まぁサンフランシスコにきて、ケーブルカーに乗らないっていうのも勿体ないので、大人しく順番待ち。
ユニオンスクエアにある、始発駅から乗ったのですが、ケーブルカーは、方向を変えるのにまさかの人力でした。重たいだろうに、逞しい!
そしてついに乗車〜!
おお!本当に立ち乗りしている!
こういう乗り物を乗りこなせると、地元民になれたような気がしてわくわくしますね。
風を感じて町中を走るケーブルカーは、すっかり街並みに溶け込んでおり、始発から終点まで約30分の素敵時間を楽しみました。
そんなケーブルカーの横には、あの有名な「世界一曲がりくねった坂道」ロンバートストリートが。
坂の上から下への一方通行で、腕自慢のドライバーたちが長い行列を作っていました。
私の運転技術だったら確実にどこか擦ってしまうだろうなぁと、ひやひやしながら、横を颯爽とすり抜けていくマリオカートの恰好のドライバーに目を奪われていました。
・・・どこの国にもファンキーな人っているものだな。
もはや何が何だか分からない程の傾斜
そして今回のフルハウスロケ旅、どうしても行きたかった場所へ、ヨセミテツアーへ向かう前、朝の5時にホテルを出発し、行ってきました!
フルハウスで最後にみんながピクニックをしていたアラモスクエア!このシーンをみて、あぁここに住みたいと子ども心に思ったのを覚えています。
まだ薄暗い中到着して、愕然。
なんと、公園をぐるりと柵が囲っているではないですか!
えええ!入れない!でも、もう時間がない!
ということで、泣く泣く有名なビクトリアンハウスだけを楽しんできました。
あぁ、ピクニックしようと前日にサンドイッチまで買ったのに・・。
ビクトリアンハウスは美しかった
サンフランシスコの町は、私の期待を全く裏切らない素敵な町でした。
やっぱりこの町にだったら住みたい!
他にも、フィッシャーマンズワーフで有名なクラムチャウダーを食べたり、絶対脱獄不可能と言われたアルカトラズ島を遠くから拝んだりと、短時間なのに大充実の滞在でした。
全てシマシマ、アルカトラズ島土産
名物クラムチャウダーとクラブサンド
サンフランシスコから日帰りのヨセミテ国立公園ツアーにも参加してきました。
なんと片道5時間もかかりますが、本当に行って良かったです。
グランドキャニオンとは全く違った、緑がたくさんな山森林浴を楽しみ、滝でマイナスイオンを浴びることができます。
国立公園のものは何一つとして持って帰ることは許されていません。
とっても大きな松ぼっくりなど、是非お土産に持って帰りたくなりましたが、我慢我慢。
また、持ってきたものは全て持って帰るのも国立公園のお約束。
ただ、3つだけ置いて帰ってもいいものがあるそう。
それは「思い出」「足跡」「お金」。
みなさんも是非いかれた際には、こちら3つをたくさん置いてきてください。
つい持って帰りたくなる、可愛い松ぼっくり
ヨセミテ滝でマイナスイオン浴
ロッククライミングしてる人がいました
大自然生き返る!
そして最後に、今回の旅行でとても心が暖まる出来事があったので、ご紹介。
セドナでパワーを堪能した後、有名な老舗レストラン「カウボーイクラブ」へ。
ガイドさんからこのお店ではセドナでしか食べられない料理が楽しめますよ!と教えてもらいわくわく。
西部劇に出てきそうな店内にもわくわくしながら、「セドナならではの料理をお願いします」と注文する。
ウェイターさんがプレートを私の前に置き、料理の説明をしてくれる。
「こちらが、バッファローのバーベキュー、サボテンのフライ、ガラガラヘビのソーセージですね。エンジョイ!」
おお、想像以上にすごいものがでてきたなと、半笑いでパシャパシャと写真を撮っていると、ふと感じる視線。顔をあげると、周りのテーブルの人たちみんなが私の料理を凝視していた。
目があったので、笑いかけると、一気にみんなからの質問が飛んでくる。
「え、それヘビの肉なの?それ食べるの?嘘でしょ?」「あなたどこから来たの、わざわざアメリカまできてそんなの食べなくてもいいのに!」「ちょっと写真撮って良い?」と、周りを巻き込み、大騒ぎとなった。
その中でも、ラスベガスから来ていた隣席の夫婦が「あなた一人なの?大丈夫?何で一人で旅してるの?なんでアメリカでサボテンなんて食べてるの?」と、アメリカの片田舎で奇怪な食べ物に挑戦している私の事を、本気で心配し始めた。
「大丈夫ですよ!一人旅慣れているので寂しくないです!」と、どうにか納得してもらい、いざ実食!
周りのみんなが見守る中、ガラガラヘビのソーセージをいただく。
思っていたよりも美味しかったです。何の味に似ているから問われても難しいので、周りのお客さんに「一口あげる」と進めるも、みんな頑なに拒否し、最後には嫌がりすぎて女の子が号泣し始めるという、本当にカオスな状況に陥りましたが、そんなに恐れる程の味ではなかったです。
サボテンはゴーヤに似た触感で、バッファローは臭みもなく独特の美味しさが口の中に広がります。
一人でヘンテコ料理に挑戦している間も、周りから質問が飛んできて、何とも楽しい時間を過ごすことができました。
そして、帰ろうかと、ウェイターに会計を頼むと「いえ、お支払は必要ないですよ」と、にっこり。
文字通り、きょとーんっとする私に「あなたと過ごした楽しい時間に感動された方が、あなたのお支払も済ませてくれています。セドナを楽しんでいただいて、私からもお礼を申し上げます」と、またにっこり。
なんと、隣席の夫婦が私の支払いを済ませてくれていたのです!
辞退しようと必死に伝えるも「あなたは一人でアメリカまで来て、私はあなたをとっても誇りに思います。楽しい時間をありがとう。アメリカを楽しんでね」と、こちらもにっこり。
人生で涙を流すことはたくさんありますが、人の優しさに泣けるほど幸せなことはないですね。
日本から遠く離れ、言葉も十分に通じない土地で、人生で初めて「あちらのお客様にお支払していただいております」という粋な心遣いに出会い、とても心が暖まり、周りのお客さんにも手を振り見送られ、半泣き状態、胸いっぱいで帰路につきました。
海外に行くと、やっぱり楽しい事ばかりでなく、辛い事や悔しいこともたくさんあり、心が折れることもたくさんありますが、こういう出会いがあるから旅は止められないなと、再認識。
また会いたいと思える人や景色に出会う度に、嬉しくてたまらなくなります。
「アメリカなんてスタンダードな旅先、興味ないね!」と、出発まで言っていた自分が恥ずかしいくらい、アメリカは見どころ満載の楽しすぎる国でした。
まだまだ西海岸の一部しか見ていないアメリカ、次はどんな一面を見せてくれるのか、また会える日が楽しみで待ちきれないです。
みなさん、私みたいに食わず嫌いしている場合ではないです。
是非次のご旅行には、ビッグパワーをもらいにアメリカへ!
ガラガラヘビが繋いでくれた出会い!
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暮らすように滞在を楽しんでください。
(2016年5月 大野史子)