-
エリア:
- ヨーロッパ > アゼルバイジャン > バクー
- ヨーロッパ > アルメニア > エレヴァン
- ヨーロッパ > グルジア > トビリシ
-
テーマ:
- 世界遺産
- / グルメ
- / 歴史・文化・芸術
今回はコーカサス3カ国をなんと現地3泊のみ、計6日間で周る弾丸ツアーです。その日程を支えるのが、便利な夜便で5つ星エアラインカタール航空のフライト。行きは成田発22:20なので、仕事を早めに片付けてそのまま空港に向かいます。
1カ国目はアゼルバイジャン。首都バクーへ到着です。ビザは今まで日本で事前取得が必要でしたが、つい先日から可能になったアライバルビザに挑戦します。
ここで申請書に記入し、奥のカウンターに提出します。記入内容はパスポート情報や滞在先など。証明写真3枚、パスポートのカラーコピー2枚を持参しましたが、これは使いませんでした。日本国籍なら無料ですが、他の国籍でアライバルビザの場合は有料のようです。少し並んで15分くらいで1ページ分のシールが貼られたパスポートを返され、無事取得できました。
ガイドブックも全然出ていない未知の国でしたが、とりあえずバクーの気候は東京と同じくらい。高台にある殉教者の小道や、旧市街の乙女の塔に登ると眺めが良いのですが、「風の町」と呼ばれるほどあり、とにかく強風が吹きつけてきます。バクーの街はシルクロードの中継地としてアラブ、ペルシャ、トルコ、ロシアなどの文化が入り混じっているのですが、旧市街はシルヴァン・シャフ・ハーン宮殿をはじめ、イスラムの雰囲気が強いです。宮殿はいくつもの建物が一体になっており、細かな幾何学模様に目を奪われます。
イスラムっぽい旧市街もあるのですが、新市街はヨーロッパの街並みのようで、ブランドショップが建ち並び、近代的なデザインの建物も多いです。来月6月にF1が開催されるらしく、街中の道沿いにフェンスや観客席が取り付けられていました。ランドマークになるのが3匹のヒヨコのようなフレイムタワーです。高台にあって、特徴的な外観なのでどこにいても見つけやすいです。
夜はフレイムタワーに炎や旗を振る人のイルミネーションが映し出されます。
かっこいいというか、変わった形の建物も多く、どこかの美術館のようなメトロ駅やロールケーキ形の絨毯博物館など。
翌日、バクー郊外へ。車で1時間ほどの所にあるゴブスタンの岩画を見に行きます。巨大な岩がごろごろと重なり合う岩場に、石器時代の人々が描いた岩画が6000点あまりも残されています。岩画は牛やラクダ、人々の踊る様子、儀式の場面などの単純なモチーフですが、脈動感があって不思議と惹きつけられるものばかり。手前の小さな博物館でわかりやすい解説の展示で学んでから、実物を見ることができます。地元の子供たちもたくさん見学に来ていました。
アゼルバイジャンの料理の最大の特徴は、なんといっても香草です。山盛りの香草が毎食テーブルに並び、サラダ、スープ、肉料理、どれにも香草が入っています。パクチーなどが苦手な人は、パンとチーズくらいしか食べるものがないことも多いようです・・・プロフと呼ばれるピラフや、香草やチーズを挟んだピザのクタブ、ナスのペーストのマンガウ、デザートはフルーツのシロップ漬けのムラッパなど。
3日目の夜に空路で2カ国目、グルジアのトビリシへ。ほんの1時間ちょっとの国際線で、グルジアはビザも不要なので、気分は国内線。トビリシの市内観光をする時間がないのが残念ですが、ムツヘタとカズベキ観光に向かいます。
トビリシから車で30分ほどのところにあるムツヘタはグルジアのかつての首都で、現在でもグルジア正教の中心とされています。街を臨む山の頂上にちょこんと建てられているのは、ジュヴァリ教会です。ムツヘタの町と共に世界遺産に登録されていて、山の上にあるのでムスリムの侵略の際も壊されずに今も残されています。ジュヴァリ教会から見える、ムトゥクヴァリ川とアラグヴィ川の合流地点に栄えるムツヘタの美しい町の見晴らしは最高です。スヴェティ・ツホヴェリ大聖堂では、ブドウとクルミのぐにぐにしたスイーツ、チュルチヘラや色々なお土産屋さんに夢中になりました!
ムツヘタから軍用道路を通ってカズベキを目指します。軍用道路はグルジアとロシアを結ぶ重要な道で、かつてロシアが軍事用に切り開いたものですが、名前からイメージされるように物騒なところではなく、自然の景観がとても美しいルートです。途中でアナヌリ教会やグルジアとロシアとの友好の壁、十字架峠に立ち寄ります。
グルジアの教会は、女性が入る時は頭にスカーフかフードをかぶって(髪は多少みえてもok)、内部は撮影禁止というところがほとんどですが、アナヌリ教会は内部も撮影できます。城塞の中に、イエスキリストの為の教会と、聖母マリアの為の教会の2つの教会があり、イコンが描かれた大きな障壁、イコノスタシスは見応えがあります。
友好の壁はとてもカラフルで、見晴らしも良く、多くの人の撮影スポットになっています。この辺りは標高も高く、ダウンを着込むくらいにとても寒いのですが、信じられないことにパラグライダーを楽しむ人もみかけました。そしてこの軍用道路で最も標高が高い十字架峠は、標高2395m。とても寒く、凍える前にバスに戻ります。
お昼頃にカズベキの小さな村に辿り着きました、山頂に小さく教会が見え、4WDに乗り換えてあの教会を目指します。しかしこれが予想を大幅に上回るアトラクションで、前後左右に大きく振り回されながら、片道約30分のドライブ。ドライバーさんは慣れているからか、音楽をかけ、余裕でずっとおしゃべりしながら、崖っぷちを対向車線とすれ違って行きます。上まで登ったら、抜群の景色の中を教会まで15分ほど歩きます。澄んだ青空と大自然の山々にツミンダ・サメバ教会がかわいらしく見えて、とても絵になる風景です。
日曜日なので教会ではミサをやっていて、ちょうど美しい讃美歌をきくことができました。教会の雰囲気とあいまって、神聖な気分に浸ります。
町まで降りると、少しだけですが雲の隙間からカズベキ山を見ることもできました。
とても日が長いので気づきませんでしたが、帰りにあちこち視察したり、グルジアの美味しいワインを買いにスーパーに寄ったりしていたら、結局この日の就寝は3時。グルジアではお肉とあわせて赤ワインがよく飲まれるのですが、レストランでとても飲みやすい赤ワインが出たので、スーパーで探してお土産にしました。ワインはワイナリーやスーパーでお安く売っています。
(大きな小龍包のようなヒンカリ)
(チーズピザのハチャプリ)
明らかな睡眠不足ですが、翌朝早くに出発し、アルメニアの国境へ向かいます。独立記念日の準備で自由広場が封鎖されてしまい、遠回りをしつつ1時間半でサダプロ国境に。車を降りて、出国手続きをします。中間地帯の免税店の並びを抜けて、アルメニアのビザを取って入国します。ここのビザも申請書を書くだけで写真は不要、$10くらいでした。アルメニアとアゼルバイジャンは政治的に仲がよくなかったりして、アゼルバイジャンにも行ったのかと言われましたが、だからといって入国できないなんてこともなく、3カ国目アルメニアに無事入国。ここからハフパト修道院まで、1時間半のはずが、なぜか3時間。穴ぼこだらけの悪路で、且つ車が大きいので、全然スピードが出せないんだとか。どんなに悪路でも、今日の深夜のフライトで帰国しなければならないし。不安を感じつつも修道院を見学します。
ここに飾られているアルメニア正教の十字架は、先端が開いていて、幾何学模様の装飾が施され、繊細で美しいです。その後、セヴァン湖の近くで昼食をとり、首都エレバンの近郊にあるガルニ神殿、ゲガルド修道院を見学します。セヴァン修道院では空が真っ暗になってきて、強風と雨から逃げるように移動しました。
ゲガルド修道院は4世紀に巨岩を掘り抜いて造られた岩の修道院で、現在は主に13世紀に造られた建物を見学できるようになっていますが、岩をくり抜いた部分から聖水が流れ出ている部屋があり、これを飲むと病が治ると言われています。ゲガルドは槍の意味で、ローマ軍人がイエスキリストを刺したとされる槍がこの近辺で見つかったことが名前の由来になっています。
そうこうしているうちに、あっという間に夜になり、予定通りなのですがエレバンの市内観光もできないまま、3:25発のフライトで帰国の途につきました。
コーカサスとまとめられているこの3カ国は、どこも治安が良く、物価が安く、食文化は似通ってはいましたが、宗教も言語も通貨も異なる国です。グルジア・アルメニアはなんとなく似ているのですが、アゼルバイジャンは特にこの2カ国とは違う雰囲気を感じました。詰め込んだスケジュールで見てまわれなかったところもたくさんあるので、次回はゆっくりまわってみたいです。今回お世話になったカタール航空の方、現地手配をしてくださった方をはじめ、ご一緒してくださった皆さん、とてもとても楽しく、あっという間の6日間でした。本当にありがとうございました。
おすすめ
バクー…★★★★ 近代化が進む古今東西が入り混じった街
トビリシ…★★★★★ 様々な宗教を受け入れる国際的な街、次こそ市内観光を
ムツヘタ…★★★★★ 川に挟まれた東欧のような古都
カズベキ…★★★★★ グルジアのスイス。大自然に美味しい水と空気が最高!
(2016年5月 増田里紗)