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エリア:
- カリブ海 > キューバ > ハバナ
- カリブ海 > キューバ > トリニダー
- カリブ海 > キューバ > バラデロ
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テーマ:
- 街中・建物・景色
- / 世界遺産
- / 歴史・文化・芸術
ゲバラの肖像でおなじみの革命広場はライトアップされる夜に行くのがオススメ!
バラデロビーチの青い空と透き通る海にはただただ息をのむばかり
バラデロビーチの青い空と透き通る海にはただただ息をのむばかり
カメラを向けると皆ノリノリなのがキューバのいいところ
ここ最近、「激動」というワードがここまでふさわしい国もないと思う。経済の一部自由化、54年ぶりのアメリカとの国交正常化、それに伴うアメリカ定期直行便の運航開始、そして一時代を築いたフィデル・カストロの死・・・。そんなキューバにこのたび行かせていただくことになった。
訪問都市は首都のハバナ、世界遺産の古都トリニダー、そして外国人観光客でにぎわうビーチリゾートのバラデロの3都市で、やはり初めてのキューバならこの3都市を周遊するのがおすすめ定番ルート。今回はバックパッカープランということで現地では全てフリープラン、各都市移動も長距離バスを利用したが、何事にもおおらかなラテンの国ゆえいろいろ戸惑うところはあったものの順調に旅を進めることができた。
ただ興味深い歴史に加え、街を歩いていると厚切りジェイソンばりに「Why Cuban people!!!!!」と突っ込みたくなるキューバ特有の光景が多々あったのでやはりガイドさんがいた方が楽しいと思う。また今回ハバナは旅程前半2泊、後半1泊の滞在だったが、とにかく見所が多いためもっと時間が欲しかった!
<200万人が暮らす街全体が生きた博物館 首都ハバナ>
キューバの旅はほとんどの場合首都ハバナから始まる。その見どころはなんといっても植民地時代の面影を残す豪勢な建造物と、タイムスリップしたような街並み。
またキューバ名物ともいえるアメ車や旧共産圏のクラシックカーもまだまだ健在で、街並みとからめてカメラを構えれば、あっと驚くシブい写真が誰にでも撮れる。
カピトリオ(旧国会議事堂)と馬車とクラシックカー
カバーニャ要塞とキューバ国旗
ライトアップされたガルシア・ロルカ劇場
じっくり街並みを眺めてみると、ヨーロッパとも他の中南米とも、もちろんアジアとも全く違ったものなのに気づく。一見ヨーロッパの中世の旧市街チックなのだが、よく見るとぼろぼろで廃墟に近いのもある。建物の大部分が欠けていたり窓が壊れていたりするところもあるけれど、そこでも人々は元気に生きている。革命のとき、またはそれ以前からずっとここに住み続けてきたのだろうか・・・。
そんな儚い街並みとたくましい人々とのギャップが、またハバナの街を魅力的に見せてくれる。
一見廃墟だが市場として使われている
私のような「洗濯物がはためく旧市街フェチ」にはたまらない!
ご存じの通りこの国は数少ない社会主義国で、スローガンやグラフィティなども随所に見られるが、
Viva Cuba Libre=キューバの自由万歳
毎日開かれるアルマス広場の古本市では、革命関連の本やポスターが・・・
やっぱりゲバラはキューバ人に愛されてるんだなあ
経済の一部自由化に伴って自営業も認められるようになり個人経営のレストランや民宿がどんどん増えた。旅の楽しみが増え、一気に旅行しやすくなった印象がある。
特に旧市街のレストランはキューバのイメージを覆すようなオシャレな店が増加中で、キューバのご飯は評判があまり良くないから期待できない・・・と思っている方こそぜひ行っていただきたい。
雰囲気のいい旧市街のレストラン「O’Reilly」
なんと日本食も!旧市街入口近くの「日本食堂」にて
そのためか旧市街はどこにいっても個人、団体を問わず多くの旅行者が目に付いた。やはり皆、今激動のときを迎えるキューバの歴史の目撃者になろうとしているのだろうか・・・。
もはやキューバは「知る人ぞ知る」国ではない、立派な観光大国なのだと認識を改めた。
夕方にはぜひ海岸沿いのマレコン通りへ。昔も今も、そしてこれからも変わらないであろう最高の夕焼けを毎日眺めることができる。そこで目に付く釣り人やカップルも、流しのミュージシャンも、どんなにハバナの街が変わってもここにいるのだろう。
写真撮って!と声をかけてきたカップル
ハバナの街で必ず見かける陽気なミュージシャン
驚くほど美しいマレコン通りの夕焼け
<ありのままのキューバに触れる 古都トリニダー>
世界遺産の街でキューバ中部に位置するトリニダーは、なんといっても植民地時代の面影を色濃く残す石畳の街並みが有名。
特に中心部のサンティシマ教会やマヨール広場周辺は、18〜19世紀に建てられたサトウキビ農園主らの見事な邸宅が保存され、クラシックカーや馬車も走っているのでどこを撮っても絵になる風景が見られる。
コインの絵柄にもなっている風情ある街並み
市立歴史博物館の屋上から街並みを眺める
やはりここも観光客が急増中で、中心部は現地人よりも数が多いのでは?と思うほど。さすが世界遺産の一大観光地、活気があふれていた。
ガイドブックに載っている有名店「ラ・カンチャンチャラ」では名物カクテルを飲みながら生演奏が聴ける
観光客が集まる野外ミュージックショー、カサ・デ・ラ・ムシカは毎晩大盛り上がり!
ただハバナと違ってここは人口7万ほどの田舎町。街歩きすると、とにかく現地人との距離が近くありのままのキューバが楽しめる!という印象だった。街を歩くたびに新たな発見があり、全く飽きないのだ。
市場ではラム酒の量り売り!
ラム酒をおごってくれたおじさん。言葉は通じないはずだがなんとなーく意思疎通できた
こまを回す少年
そんなありのままのキューバの最もたるものが野球。キューバといえば野球!というイメージをお持ちの方も多いはず。
中心部から少し離れた野球場に行ってみると、なんとちょうど試合が行われるとのこと。もちろん観戦させてもらう。
「マツザカ」と「イチロー」を知っていた球場の職員さん
遠くカリブ海を望む絶好のロケーション。地域リーグかなにかのようでそこまでレベルは高くなく、観客も多くなかったが、ひたむきにプレーする選手やそれに賛辞(+ときどきヤジも)を送る観客を眺めながら、どれだけ野球というスポーツがこの国に根ざしているか実感することができた。
しかし最近はサッカーの方が人気になっているようで、実際のところ公園などでサッカーをしている子供はよく見かけたものの野球少年は一度も見かけず、車や街などにヨーロッパサッカーチームのエンブレムが描かれているのも目に付いた。政治経済だけでなく、文化の面でもキューバは変わりつつある。
夜は宿の近くの広場で、音楽に合わせて百人ほどの市民が踊りまくっているところに遭遇する。さすがサルサやルンバの本場、キューバ人は音楽が流れると踊り出さずにいられないようだ。夜中の広場で大爆音、そしてひたすらダンスという日本では考えられない異様な光景を前にしてこちらまで楽しくなってしまう。そして自分も自然に彼らに混じって踊り出してしまうのだった。飲んで、踊って、飲んで、踊って・・・。
広場の脇では豚の丸焼きが
真夜中に宿に戻ったが、明け方4時ぐらいまでずっとこの大爆音は鳴り止むことがなかった。恐るべしキューバ人のスタミナとパッション・・。観光客でにぎわう街で、そんなキューバ人の着飾らないありのままの姿を間近で見られたことを幸せに思った。
キューバのどんなところが変わりつつあるのか、という点に注目してきた今回の旅だったが、「人がある場所には音楽があり、音楽がある場所には笑顔がある」という一番キューバらしい光景は旅行中いつでもどこでも見ることができた。キューバという国家がこの先どんなに変わっていっても、これだけはずっと変わることなく続いていくはず。そしてキューバならではのこの光景がこれからも旅行者を魅了してくれるに違いない。
<フリープランで旅するなら知っておきたい、キューバお金・交通・ネット事情>
先ほども書いたとおり、キューバは国のシステムが他国といろいろ異なり、もしかすると旅慣れている人ほど戸惑う所があるかもしれません。ガイド付きのツアーなら問題ありませんが、フリープランで旅するならちょっとした予備知識が必要かと思います。
まずはお金事情。キューバ旅行の計画を立てている方は、「キューバには2つの通貨がある」と知り戸惑う方が多いかと思います。旅行者用の兌換ペソ(CUC)と現地人用の人民ペソ(CUP)、という表記が多いですが実際旅行者も人民ペソを使えますし、逆もしかりです。「贅沢品用の兌換ペソ、庶民用の人民ペソ」といった方が正確でしょう。
旅行者と現地人との間の高い壁がある(たぶんこのシステムが一番旅行者を戸惑わせているのでは・・・)キューバでは、旅行者が普段利用するレストランやタクシー、また観光地などはすべて兌換ペソ払いで料金が設定されているため、これだけあればすべて事足ります。しかし後で述べる市バスやフェリーに乗りたい!、ローカルのご飯を食べてみたい!という方は人民ペソが必要になります。1CUC=24CUPのレートで両替でき、ローカルのお店でCUP支払いをするとお釣りがCUPで返ってこともあります。ローカルのお店は物価がかなり安いですが、「外国人=お金持ち」という固定観念が染みついているキューバでは外国人がCUPを使いまくるのも考えもの、とのことです。
ちなみにトリニダーで見た野球の試合チケットの価格は1CUP(約5円)。1CUC(約120円)ではありません。
外国通貨から兌換ペソ、そして兌換ペソ・人民ペソ間の両替は、街中のカデカ(CADECA)と呼ばれる両替所や銀行の利用が一般的。けれども両替所はなぜかいつもどこでも行列ができており、しかも皆順番を守って文句も言わず並んでいるので感心します。ここまで行列に並ぶのに慣れている民族は日本人とキューバ人くらいでは・・・と思うほど。
(そもそもどこでもこんなに行列ができる光景が異様なのでは・・・という突っ込みは置いといて)
これが両替所のマーク
なおハバナ空港の両替所では日本円から兌換ペソへの両替所が可能ですが、地方都市では日本円の取り扱いがしていないことがあり、アメリカドルは多額の手数料が取られるのでユーロやカナダドルからの両替をおすすめします。
ちなみに写真を撮り忘れましたが、3人民ペソ札はゲバラの肖像が描かれており兌換ペソしか使用しない観光客にも大人気。それゆえなかなか手に入りにくいようですが、トリニダーの両替所で人民ペソを入手するときに熱心にお願いしたら(しぶしぶながら)10枚ほど新札を混ぜてくれました。
つぎに交通事情。都市間移動ではバス利用がほとんどになりますが、現在外国人が乗車できるのは「ビアスール(Viazul)」社のバスのみ。バスターミナル(ハバナでのターミナルは中心部から遠く、タクシーで移動することになります)にて出発の1時間〜30分前にカウンターでチェックインをしてチケットを発券してもらい、目当てのバスが来たら荷物を預けてバスに乗車。時間はほぼ定刻通り、というか逆に満席になってもいないのに定刻より早く出発することもあるので要注意です。どうもキューバ人はのんびりした所がある反面、仕事をさっさと終わらせたい傾向にあるようです。
設備は日本の高速バスとあまり変わらず、快適な移動が期待できます。しかし冷房が効きすぎていることが多いため上着や毛布の持ち込みをおすすめします。(私が乗ったときも乗客はほぼ外国人旅行者でしたが、冷房のことは了解済みのようで全員上着や毛布を羽織っていました)
食事の時間をまたぐと路線のみ食事休憩があるようで、今回はハバナからトリニダーへ行く際に途中のレストランに立ち寄りました。10CUCのビュッフェの他サンドイッチもあり。
キューバ周遊の旅で頼りになるビアスールバス
街歩きだけでは見られないキューバの田舎の風景を眺めるのも楽しみですね。
一面に広がるサトウキビ畑
カストロが我が町にやってきた!とアピールする看板
また街中の移動(ハバナ新市街から旧市街など)は、外国人はタクシー利用が主流です。これが意外と高く付き、15分ほど乗って10〜15CUC(約1200〜1800円)。けれど運がいいとクラシックカーに乗れることもあり、そのアトラクションを含めた料金だと思えば納得できるかも。
またハバナやバラデロでは1日5CUCで乗り放題のオープンバスも走っています。
ごく普通にタクシーとして使われるクラシックカー
変わった形のココタクシー。運転手に声をかけると試乗(?)させてくれた
バラデロのオープンバス、「バラデロビーチツアー」。ビーチで遊んだ後はこれで街を一周してみては?
CUPを持っていれば市民の足の市バスにも乗れるので、時間があればチャレンジしてみては?たいてい混み合っていて行き先も判別するのが難しいですが、バス停にいる人や運転手に自分の目的地を言ってみるとどれに乗れば良いか親切に教えてくれます。これも旅の醍醐味ですね。
運転席にゲバラのステッカーが
またハバナ旧市街からハバナ湾対岸のカバーニャ要塞近くまで、同じく市民の足のフェリーが通っています。15分ほどの船旅ですが、自転車をそのまま乗せたり船内から釣りをしたりとなかなか珍しい光景が見られておすすめ。市バス、フェリーともたったの1CUP。
自転車を持った人がごく普通に乗っているフェリー船内
最後にネット事情ですが、他の国では一般的なフリーwifiがキューバではほぼ存在しません。通信会社「ETECSA」オフィスでカード(1時間利用可能で2CUC)で買い、電波の入るところ(ところどころ大勢の人がスマートフォンをいじっている場所があるのですぐ分かる)でカードに記載のIDとパスワードを入れてつなぐようになりますが、オフィスの数は多くなく、しかもやはりキューバ名物の行列ができており非常に不便。主なホテルでも買えるほか、電波が入る場所でカードの闇売人(?)がうろうろしており、ちょっと高値ですが待つことなく買うことができます。ネットの速度は問題ありません。
ハバナ旧市街のメインストリート、オビスポ通りにある「ETECSA」オフィス
ここ最近人気急上昇中の旅行先にもかかわらずなかなか情報が少ないキューバですが、最低限の予備知識があれば誰でもしっかり楽しめます!
【スタッフおススメ度】
●ハバナ ★★★★★
見事な歴史的建造物や博物館をひととおりまわるだけでも一日がかりで、気の向くまま街を歩きまわるだけでも楽しい。どこか儚い街並みと笑顔あふれるハバナっ子とのギャップがまた旅行者を魅了してくれる。
●トリニダー ★★★★★
観光客でにぎわう古都で見応えのある博物館が多い。小さい街なので地元の人の生活に触れる旅もおすすめ。ライブスポットも多く、夜はどこからか楽しげな音楽が聞こえてくる。
●バラデロ ★★★★
キューバいちのビーチリゾートで、ここまで透明な海はなかなかお目にかかれない。オールインクルーシブの豪華ホテルが立ち並ぶほか、誰でも入れる公共ビーチもある。
(2017年1月 伊藤卓巳)