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エリア:
- アフリカ > タンザニア > アルーシャ
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- アフリカ > タンザニア > セレンゲティ
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テーマ:
- 世界遺産
- / 動物
ケニアにサファリに行ったのは約6年半前。もうそんなに経ったんだと思いつつ、今回のタンザニアの旅へ出かけた。前々から思っていた疑問、ケニアとタンザニアの違いって何、という答えを自分なりに見つけようということを一つの目的にした。
なんとなくのイメージでタンザニアの方がより自然に近い形で動物を観られる、というぼやっとした表現しか思いつかない。もちろん時期によって観られる動物や天候も違うので一概には比べられないのは承知だが、できるだけ具体的に書き連ねていこうと思う。
私が旅した行程は以下の通りだ。
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1日目(2/19)カタール航空にて夜成田発(機内泊)
2日目(2/20)アルーシャ到着 (アルーシャ泊)
3日目(2/21)マニャラ湖を経由してンゴロンゴロ近くへ (ンゴロンゴロ泊)
4日目(2/22)ンゴロンゴロ経由して ンドゥトゥへ到着 (ンドゥトゥ泊)
5日目(2/23)セレンゲティを1日サファリ (ンドゥトゥ泊)
6日目(2/24)ンゴロンゴロのクレーターへ (ンゴロンゴロ泊)
7日目(2/25)ンゴロンゴロにてウォーキングサファリ、その後アルーシャへ(アルーシャ泊)
8日目(2/26)アルーシャ郊外観光 そして空港へ(機内泊)
9日目(2/27)帰国
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2月20日
日本を出発して約24時間後、キリマンジャロ空港到着。暑い!タラップを降りた瞬間私は暑さで顔をしかめた。「キリマンジャロ空港」という名前から涼しげな場所を想像していた。日本から飛行機に乗り込んだ後は外気に触れることなく飛行機の中でほとんど過ごしたものだから、機内ではヒートテックとダウンジャケットとウインドブレーカーを重ね着していた。キリマンジャロに到着すると一刻も早くそれらを脱ぎたくなった。
空港に到着して、まずは入国カードを記入する。特に難しい質問はない、同じ飛行機に乗っていた欧米人達はほとんどビザを空港にて取得するようで、私のように出発前に取得していた人はあまりいなかった。そのため入国の列に並ぶことなくスムーズに入国できた。荷物をピックアップしてガイドのラマさんと合流。
ラマさんは日本語が大変上手。時々言葉を知らないこともあるがイントネーションが何より自然なので聞きづらさはない。なぜこのように離れた土地でこんなに日本語が流暢に喋れる人がいるのか不思議なほどである。もちろん日本には来たことがない。最初は日本に住んでいたというケニア人の先生に1年半ほど習い。その後、日本人経営(弊社もお世話になった大串さん)の旅行社で勤務しており、そこでも週に2回ほど日本語のレッスンを受けていたそうだ。ちなみにラマさんの名前は断食のラマダンがその名前の由来だそうである。なるほどタンザニアではイスラム教徒が多く、宗教はキリスト教とイスラム教が二分しているようである。アルーシャにもモスクが多い。これはキリスト教が圧倒的大多数を占めるケニアとは大きな違いだ。
キリマンジャロ空港を出て1時間かけてアルーシャを向かう。これまで北アフリカを除くアフリカの国ではエチオピアやケニア、南アフリカなどの南部アフリカには訪れたことがある。それらのゲートシティとなるような空港にはアフリカと言っても近代的な幹線道路が引かれていたので想像していたよりも都会で驚いたが、今回到着したキリマンジャロ空港はまさにサバンナの真ん中にあるような空港でサファリに来たな〜という気分を高めてくれる。街に近づくに連れて乗合バスやスクールバスなどたくさんの人を乗せた車が多くなってくる。また道路を拡張工事しているようで交通渋滞が起きていた。サバンナの広がる空港から、忙しそうな街へと徐々に景色が移り変わる。
本来であればこのまま空港から直接アルーシャ郊外のホテルに向かう予定だったがラマさんにお願いして民芸品や鉱石タンザナイトなどが売られているお土産屋さん「カルチャル・ヘリテイジ」と市内のスーパーマーケットに立ち寄ってもらった。「カルチャル・ヘリテイジ」は旅行客向けのお土産屋さんで木彫りの置物やマサイ族が書いたような絵などが売られていた。タンザナイトの原石も見せてもらったが気軽に購入できる値段ではなかったので特に何も買わずスーパーマーケットへ向かった。タンザニアの市民はあまりスーパーマーケットでは購入はせず青空市場で野菜や果物を農家から直接購入するそうなので基本的には品揃えは少なめ。そのため生鮮食品というよりも加工食品がメインの品揃えである。スナック類やアイスクリーム、ソフトドリンクにアルコール類。その他キッチン用品などの生活雑貨も売っていた。お土産になりそうなオシャレなパッケージで売っていたコーヒー豆もあったのでお土産にはこれを買おうと思った。私はホテルで飲む用のアルコールやソフトドリンクを購入。ビールは1缶約1ドルなので日本と比べて安い。
街で買い出しを終えてこの日のホテル、MOIVARO LODGEへ。
<MOIVARO LODGE モイバロロッジ>
アルーシャ近郊、モイバロ山の裏手に位置するホテル。いかにもタンザニアらしい茅葺き屋根と土塗りの壁の建物ながらも色使いやインテリアがオシャレでいて落ち着きのある雰囲気。モイバロ山の山道が悪路だったため正直そんなに期待していなかったのだが、こんなにセンスの良いホテルがこの場所にもあるのだなぁと何だか不思議だった。客層はサファリ帰りやこれからサファリに出発するような欧米外国人観光客たち。部屋はそれぞれ1棟1部屋のロッジタイプになっており開放感がある。室内には冷蔵庫やテレビ、ドライヤーなど機械類はない(電源はある、念のため)。天蓋付きのベッドに、バスタブとシャワー、無料の水。それくらい。スリッパもなし。WIFIはメインの建物だけ無料で利用可能で室内では使えない。メインの建物にはレストランに、バー、それにちょっとした図書コーナーがある。メイン館の側には小規模なプールと売店がある。スタッフもフレンドリーですれ違うとジャンボ!と挨拶を交わしてくれる。夜7時からのブッフェの夕食もとっても美味しかった。市内中心部までは車で20分程度。私基準で星4つ(★★★★)。
*後日再訪した時はバスタブのない部屋だった。
スーパーで買ったビールを飲み就寝。
2月21日
鳥たちの鳴き声で目がさめる。日本では決して聞かないだろう一定の間隔で金属を打ち付けるような変わった鳥の鳴き声もある。どんな鳥なのだろうか。
7時から朝食なので、7時ぴったりにレストランへ。すでに他の宿泊客たちで賑わっていた。
トーストやコンフレーク、卵焼きを食べたあとは荷造りを終えて朝9時にチェックアウト。
この日はアルーシャからマニャラ湖国立公園を経由して、ンゴロンゴロそばのホテル・ンゴロンゴロファームハウスへ目指す。
まずはアルーシャからマニャラ湖へ。最初ラマさんはマニャラ湖まで約2時間と言っていたが、結局お茶を飲んだり、赤バナナが名産の村で試食の休憩を挟んで約3時間かかった。さらに国立公園の駐車場で入場許可を受けるのに1時間ほど待ち、入口の休憩所でボックスのランチを取った後でサファリに出発。結局サファリを開始したのは午後2時ごろだ。
<マニャラ湖国立公園>
アルーシャからンゴロンゴロへ抜ける途中にあるため、ツアーに組み込まれていることの多い国立公園。タンザニアの中でも規模は小さめの国立公園ではあるが敷地の3分の1を占める湖からグレートリフトバレーまでの複雑な地層、そしてサバンナから沼地、森へと移り変わる植物の多様性を見られるという点で非常に興味深い国立公園である。かつては木登りライオンで有名だったが昨今は滅多に見られないそうだ(私が行った時には木登りどころかライオンすら遭遇しなかった)。ライオンに次いでこの国立公園の目玉になっているのがカバ。公園内にはヒポプールと呼ばれるカバの水浴びの池がある。しかし私が行った2月は雨季のため、ヒポプールに来なくとも池はそこら中にあるとのことで、ヒポプールにはカバは全くいなかった(ヒポプール前には「ここがヒポプールですよ」とアピールするためのカバのイラストの大型看板があったのだが無残にもへし折られていた。ラマさんは風の影響と言っていたがきっと観光客が怒りに任せておったのだと思う)。正直期待はずれの部分はあったにせよ、サファリカーの通り道にたくさんの象たちを見られた。マニャラ湖のアフリカゾウは大人しいのかサファリカーが目前に近づいても呑気に草を食んでいたのでじっくり鑑賞するには良かった。
このマニャラ湖ではタンザニアでは珍しいナイトサファリも行われているそうなので、もし時間に余裕があればここで1泊してナイトサファリをするという選択肢もありかもしれない。
*******マニャラ湖で見かけた動物*******
バブーン
ブルーモンキー
カバ
サバンナモンキー
エジプトガン
アフリカトキコウ
ペリカン
サギ
マサイキリン
イボイノシシ
バッファロー
アフリカゾウ
フラミンゴ
ブッシュバック
インパラ
ヌー
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マニャラ湖を後にしてお土産産に立ち寄った後は約40分離れた、ンゴロンゴロそばのホテルへ。
<Ngorongoro Farm House ンゴロンゴロファームハウス>
その中の通り、ンゴロンゴロ自然保護区近くの農園をまるごと宿泊施設にしたようなホテル。広大な敷地に色とりどりに咲く植物が美しい。茅葺き屋根と真っ白な壁が印象的なメインビルディング。1棟2部屋のロッジタイプの部屋になっており、各部屋の目の前にサバンナのパノラマが広がっている。室内も天井が高くゆとりのある造り。天蓋付きのベッドにサバンナの風景を描いたタペストリー、精巧な彫刻の施されたインテリア。高級なのだろうが敷居の高さを感じさせない雰囲気のよさ。タンザニアにこんなホテルがあったなんて。電話やドライヤー、セーフティーボックスあり。バスタブやスリッパはない。無料のWIFIはレストランなど共有エリアのみ利用可能だ。ホテル内で栽培した豆を利用した無料のコーヒーや夕食前のローカルダンスショーなどさりげないゲストへのホスピタリティが嬉しい。細かい点を言えば、シャワーのお湯の出る蛇口が触ると火傷しそうなほど熱くなったので浴びるときに少々てこずったくらいか。私見で星4.5(★★★★☆)
2月22日
昨日の夜はひどい雨だった。室内の音が全て雨の音でかき消されるほどだった。2月は雨季の手前の季節とはいえこんなにも雨が降るんだなと思った。何より心配だったのは、翌日も土砂降りにならないことだ。
迎えた朝は何事もなかったように青空が広がり鳥の鳴き声が聞こえ爽やかだった。朝食を食べてランチボックスの用のサンドイッチを作ってもらう。そうファームハウスはランチボックス用のカウンターがあってそこで自分の好きなサンドイッチを注文できたり、ビスケットやフルーツを好きなだけ詰め込んでもいいのである。ランチボックスはホテルや旅行社によって当たり外れがあるのでこういった自分でセレクトできるシステムは面白い。
今日はンゴロンゴロを経由してセレンゲティの入り口のエリア「ンドゥトゥ」を目指す。8時にチェックアウトまず向かうのはンゴロンゴロ自然保護区。ファームハウスから車で約5分だ。ンゴロンゴロにて受付をしている間、入り口の博物館を見学。受付が終わりようやくンゴロンゴロの中に突入だ。
<ンゴロンゴロ自然保護区>
セレンゲティ国立公園に隣接する、8300㎢もの広さを持つンゴロンゴロ自然保護区。アルーシャからセレンゲティへ向かう際の通り道になっており、タンザニアの観光スポットの中でハイライトの一つになっている。中でも動物たちの絶好の観察ポイントとなっているのがクレーターと呼ばれる大きな火口原。300㎢、山手線内3つ分がおさまるというこの巨大なクレーターの中にはライオンをはじめアフリカに生息するほとんどの種類の動物を見ることができる。クレーター内部では湖や湧き水が出るためほぼ1年中緑が生い茂っており、草食動物に関してはここで一生を過ごす動物が多い。そのため季節に関わらず確実にたくさんの動物を見ることができるのがこのンゴロンゴロの特色なのである。なおマサイ族が住む地区であることから国立公園ではなく自然保護区という扱いになっている(タンザニアでは国立公園では人は住んではいけない決まりとなっている)。狩猟をしないマサイ族と野生の動物達の共存、古代からの景色がこのンゴロンゴロにはまだ残っているため、ンゴロンゴロ自然保護区は世界複合遺産として登録されている。
<ンゴロンゴロ(クレーター外)>
前振りが長かったのに恐縮だが、この日はクレーターには降りない。クレーターに降りるにはガイドやドライバーの代金の他に1日300$という車両通行料を入場料とは別に払わないといけないのでたっぷり1日観光をできる日でないと損なのである。セレンゲティとンゴロンゴロの境のエリア「ンドゥトゥ」まではンゴロンゴロの入り口から車で約2時間。車でまっすぐいけばさほど遠くない場所ではあるが、ンゴロンゴロのクレーター外にも見所がいくつかあるのでそこを経由しながらンドゥトゥを目指した。(クレーター内に関しては「2月24日」に訪問)
・展望台
まず訪れたのはゲート付近にある展望台。ここからの景色でンゴロンゴロのクレーターの形が手に取るようにわかるため、これからクレーターへ向かう前に訪れたい。ただし我々が訪れたのは雨季の手前の時期のため雲が多く、あいにく全景はうっすらとしかわからなかった。
・オルドパイ渓谷
ンゴロンゴロの入り口からガタガタ道を行くこと約1時間。世界で最初の人類と言われるアウストラロピテクスの骨や足跡が見つかったとされる場所。エチオピアからケニアやタンザニアを経由してモザンピークを抜けるグレードリフトバレーには人類の初期の遺跡が数多く見つかっている。中でもこのオルドバイ渓谷には人類の祖先が住んでいたという証拠の他に獲物を仕留めるための武器や作業用の道具など生活のための石器が次々を出土した。この「オルドパイ文化」は今から180万年から次の人類が出てくる数十万年前まで続いたと言われるから驚きだ。渓谷のすぐ近くにはミニ博物館がある。中でも面白かったのはニール・アームストロングの足跡の写真と比べてアウストラロピテクスの足跡を「地球の第1歩」と題したパネル。ちなみにオルドパイという名称はこの付近に自生している植物から取られている。なおアメリカ大陸の最南端から人類発祥の地であるこのオルドパイまで自転車で旅した日本人冒険家・関野吉晴氏を讃えたミニギャラリーもある。
・ンドゥトゥ
セレンゲティとンゴロンゴロのちょうど境に位置するエリア。このあたりはンドゥトゥと呼ばれ、特に12月から2月はヌーの通り道となっている。ヌーはこの地のミネラル分を含む草を好むことと見渡す限りの平原が続くエリアなので見通しがよく天敵が襲ってくるのにも気付きやすいという利点があり(逃げ足だけ早い気持ち悪い奴だと思っていたけど、頭いいんだなぁヌーって)ヌー達は好んでこのルートを通るとか。そのためンドゥトゥはヌーの大移動を見たい人々にとってはお勧めなスポットなのである。さらにンドゥトゥエリアはンゴロンゴロのクレーターやマニャラ湖、セレンゲティ等と違い特に決められた道はなくオフロード走行OK。動物にもかなり近づける。大人数の団体ツアーではあまり立ち寄らない場所なので、セレンゲティやンゴロンゴロよりもサファリカーの数も少なくより自然に近い体験が楽しめるのが嬉しい。ヌー以外にもライオンやチーター、キリン、ガゼルや鳥類など動物達の宝庫となっている。360度地平線が広がるサバンナを動物を探しにガタガタの道無き道をひた走ることもあるため酔い止めや汚れてもいい服や靴を持って行こう。私はこのンドゥトゥで貴重な瞬間を見ることができたのでそれを紹介したい。
1つは木陰で休んでいたライオンの親子。親子は仔ライオンとお乳を飲ませる牝ライオンで、仔ライオンはびっくりするほど小さくてぬいぐるみみたい。仔ライオンが寝ているお母さんのおっぱいをまさぐってミルクをどうにか飲もうとする仕草が可愛い。そんな仔ライオンの奮闘をもろともせずスヤスヤ眠る母ライオン。
2つ目はチーターの家族。チーターはケニアで見ることができなかったため私は大興奮。スルリと伸びた4本の足とすらっとした胴体、そしてゴージャスな細かな斑点はやはりこの動物を特別なものと感じる。まさに「サバンナの女王」という称号があったらきっとぴったりだろう。チーターは昼間に狩りをするらしいが、残念ながら狩りの瞬間見られなかった。
3つ目、これはセレンゲティからアルーシャに戻る別の日でのタイミングだったが、ヌーの群れを見ることができた。キチンと列をなして遠くから草原のさらに先まで列が続いている様子は圧巻だ。なぜ本能だけでこんなにも整然と統制が取れた動きができるのだろうか。まさに「生命の不思議」だ。また一匹だけ仔ヌーが群れに取り残されたようで、探し回るでもなくじっと周りを見渡していた。ガイドのラマさん曰く「ああなったらもうおしまいです。後はハイエナなどに見つかったら餌食になります」。なんとまぁ厳しい自然界。人間だったら迷子になっても誰かしら助けてくれるだろうが、動物であればそうはいかない。子供であろうが些細なミスが命取りになる。ああ、人間でよかった。
*******ンドゥトゥで見かけた動物*******
ライオン
チーター
マサイキリン
シマウマ
ジャッカル
トムソンガゼル
グランツガゼル
ハゲワシ
アフリカハゲコウ
アフリカオオノガン
ヌー
ハイエナ
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ンドゥトゥエリアをサファリした後はセレンゲティ国立公園内にあるNDUTU UNDER CANVASへ向かう。
<NDUTU UNDER CANVAS ンドゥトゥアンダーカンバス>
ンドゥトゥのサバンナと悪路を越えて突然車を止めるドライバー。一体どこにホテルがあるの?と感じずにはいられない見渡す限りの大自然の中、ホテルのユニフォームらしく、統一された身なりの人達が我々の車を目指してやってくる。どうやらホテルスタッフらしいがここからではホテルらしき建物は見えない。しばらくスタッフの向かう方向に歩くと徐々に見えてくるテント。どうやらここがメインエントランスのようだ。
ンドゥトゥにある宿はほとんどがこうしたテントを利用した隠れ家ロッジなのだ。なぜテントなのか?実はンドゥトゥのホテルはヌーの移動の時期に合わせて年2回移動しているのである。そのためヌーの大移動を一目見ようとタンザニアにくる欧米のサファリ愛好家に移動式のテントロッジは大人気なのである。テントといってもンドゥトゥのテントはとってもラグジュアリー。各客室にはお手洗いやシャワーは完備、照明など最低限の電源は確保。夕食もいわゆる「キャンプご飯」のような簡単なものでなくアルーシャから運んできた野菜や新鮮なお肉を専属のシェフが調理、一般的なホテルの夕食よりもよほど美味しい。そして何よりセレンゲティの大自然と一体化した環境での宿泊。ホテルのように大きな場所を必要としない移動式テントロッジは宿泊人数は限られているものの、一般の人々が足を踏み入れられないとっておきのサバンナの景色をゲストのみで独占できる。設備の整ったホテルに宿泊するよりも、タンザニアの動物たちの世界にどっぷり浸かるにはこれ以上ない選択なのである。
なおNDUTU UNDER CANVAS ではアルコールを含めた飲み物代金は全て含まれている。充電は室内でなく受付のみ可能。WIFIはないがネットの世界よりも夢中にさせてくれる生き生きした素晴らしい世界がすぐその前に広がっている。なおシャワーはスタッフがバケツで温かいお湯をテントの後ろから補給してくれるので予約制となっている。なお私が宿泊した時は客5組に対してスタッフが7人ほどが働いていた。特に感動的だったのはエントランスを抜けたところに湖が広がっているのだがそこに野生の象達がいたこと。評価は星5つ(★★★★★)。
夜7時にシャワーを浴びて、7時半に夕食をとり就寝。
2月23日
あいにくの土砂降り。しかも今日は朝まで続いていた。仕方なく朝スタッフが置いておいてくれた傘をさしレストラン会場へ。すでにガイドのラマさんとドライバーのアンドリューさんが朝食を食べて待っていてくれた。
ラマさんに思わず尋ねる。「雨が降っていてもサファリはできるの?」。
「雨でもサファリはできます。でも肉食動物は木の上や物陰に隠れるので見つかりにくくなります。草食動物であればさほど問題はありません。それにセレンゲティは広いです。ある場所で雨が降っていても他の場所では降っていないこともよくあります」。
「そうですか・・・・」。今日のサファリに関しては絶望に近いものを感じていたがラマさんの言葉を聞いて少しばかり期待が出てきた。待ってろセレンゲティ!
<セレンゲティ国立公園>
サファリで最も有名な場所と言えば、セレンゲティ国立公園の名前がまず最初に挙がるだろう。タンザニア北東部に位置する14,763㎢もの広大な敷地は、人気を二分する隣接するケニアのマサイマラ国立保護区と比べてその規模は約8倍というから驚きだ。マサイ語で「果てしない大地」の意味が語源というこの国立公園の特徴はまず何と言ってもその広さ。見渡す限り360度の地平線のサバンナが永遠と続く様はまさにサファリのイメージにぴったりだ。そして「ヌーの大移動」はここセレンゲティの目玉の一つである。ヌーは草を求めて、6月前後にマラ川を渡りマサイマラへ。そして11月頃に再度セレンゲティにやってくる。11月から6月まではゆっくりセレンゲティを一周してまたマサイマラへ向かうのだ。つまりヌーの大群がマサイマラにいるのは7〜10月のだけでそのほかの季節はセレンゲティにいるのである。現在旅行者がマサイマラからセレンゲティへの通り抜けはできないようになっているので、必ずヌーの大群を見たい!という方には圧倒的にセレンゲティの方がおすすめなのだ。ざっくり言えば夏休みに旅するならマサイマラ、それ以外ならセレンゲティと考えていればほとんど100%の確率でヌーの大移動を見ることができるだろう。もちろんセレンゲティの良さはヌーだけではない。あまりに広大な国立公園のため数多くの動物達が生息しており、観光客の憧れビックファイブの遭遇率も高い。個人的な経験でいうとマサイマラではライオンとバッファロー、象、サイを見ることができたがヒョウやチーターはどうしても発見できなかった。しかしセレンゲティではマサイマラで見ることができなかったヒョウやチーターを1日目で簡単に見ることができた。国立公園の敷地が広いのでそれぞれの動物の縄張りも多いため、貴重な動物を観れる確率も必然的に高まる。それに一種類の動物にサファリカーが殺到することもマサイマラと比べてまだ少ないように感じる。圧倒的な広さとその動物の数、これこそがセレンゲティがサファリNo. 1スポットと言われる所以なのである。
我々は朝9時ごろにセレンゲティ国立公園のゲートを出発し、たっぷり時間をかけて午後1時半くらいにセレンゲティの中心地セロネラに到着しランチ。その後午後4時半ごろにセレンゲティのゲートを出てホテルを戻ってきた。サファリを楽しんだのは実質6時間ほど。
ラマさんがいう通り、セレンゲティの入り口付近までは雨が降っていたもののセロネラに到着した頃には雨が降っていたことが嘘のような快晴で、暑いほどだった。
*****セレンゲティで見かけた動物*****
ライオン
トピ
コンゴニ
カバ
サバンナモンキー
バブーン
ミナミジサイチョウ
チーター
ヒョウ
ハゲワシ
リードバック
イボイノシシ
ヌー
シマウマ
ジャッカル
キノボリハイラックス
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NDUTU UNDER CANVAS に戻ってきて、偶然にもホテルから見下ろすサバンナにいた象の群れに大感動。景色をつまみにビールを飲む。最高。
昨日と同様、7時にシャワーを浴びて7時半から夕食を食べて就寝。宿泊客は多くないので夕食のメニューは昨日と同じかな、と思っていたが違うメニューだった。さすがである。
2月24日
朝7時に起床し、朝食。今朝は幸いにも雨は降らず、気持ちの良い朝を迎えることができた。
朝食の後はいつものようにランチボックスに好きなものを詰めて、さぁ出発。
本日からは来た道を戻るようなルートでアルーシャへ向かう。
そして今日はセレンゲティと並ぶタンザニアのもう一つのハイライト、ンゴロンゴロ自然保護区のクレーターの中をサファリする。
NDUTU UNDER CANVAS を出発して、まずはンドゥトゥのエリアを軽くサファリドライブ。このタイミングでヌーの群れを見ることができた(詳しくは「2月22日」の項目で)。
セレンゲティの管理事務所に行き、ンゴロンゴロに入るための手続きを行って、ンゴロンゴロへ出発。セレンゲティの入口からンゴロンゴロのクレーターの入口は約2時間。それもデコボコ道なのでウトウト寝てられない。何かの拍子で岩でも踏んづけたら窓に頭をぶつけてしまうからだ。
<ンゴロンゴロ自然保護区 クレーター>
ンゴロンゴロ自然保護区内に位置する標高約1800m、総面積300㎢ほどのカルデラ。標高2300〜2400mの外輪山に囲まれたこの火口原にはキリンとインパラを除く多種多様な野生動物が生息しているという。特に草食動物に関しては、クレーター内に湖や湧き水が出ることから草もみずみずしく、ほぼ食べるものに困ることはないためクレーターの中だけで一生を終える動物も多い。そして何より青々とした高い峰と草原に囲まれた中で遊ぶ動物達は幸せそうだ。「動物達のサンクチュアリ」があるとしたらきっとこのような場所のことを指すのだろう。サファリ目当ての観光客にとっても他の国立公園や保護区と比べて面積が狭く、動物が隠れるための木も多くないことから効率よく沢山の種類の動物を見ることができる。タンザニア観光においてはセレンゲティに並び必ず訪れたい場所だ。
ちなみに私が訪れた際には特にライオンとの遭遇率が高かった。クレーターの中でも3回ほど写真を撮るチャンスに恵まれた。もっともとても気持ち良さそうに居眠りをしていたので写真ではあまり威厳のある姿を撮るとはできなかったが。。。
*****ンゴロンゴロ自然保護区クレーター内にて見ることができた動物*****
トムソンガゼル
アオアシコ
ゴマバラワシ
サバンナモンキー
ソウゲンワシ
バブーン
イボイノシシ
クロサイ
カンムリヅル
ダチョウ
アルマジロ
ライオン
カバ
アフリカオオノガン
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<NGORONGORO WILDLIFE LODGE ンゴロンゴロ・ワイルドライフロッジ>
ンゴロンゴロの外輪山、クレーターを見渡す位置にある高級ホテル。ンゴロンゴロの老舗ホテル、まるで貴族の館かのようなコロニアル調の気品溢れる造りで、一つ一つの調度品も長年使い込まれた匠の品であることが目に見えてわかる。特に素晴らしいのが客室からと開放感あふれたレストランからのクレーターの眺め。窓いっぱいに広がるクレーターの眺めはゲストだけの特等席。室内はこれまでのホテルと比べると少し狭めで、ベッドは硬い。しかしながら設備面は充実、湯沸かし器・ドライヤー・冷蔵庫・セーフティーボックス・バスローブ、バスタブあり。スリッパはない。WIFIは室内では利用不可。共有スペースのみ利用でき、無料なのは最初の15分のみ。その後は1時間5$、10時間10$で利用できる。なお電気の供給は午後5時から夜11時、翌朝は午前5時から昼の11時までに限られている。不便さがないわけではないがこの景色の前ではいかなることも些細なものに感じられてしまうほどの絶景。ラマさんに後から確認したところこちらのホテルはもともと国営ホテルで、ンゴロンゴロの中でももっとも最初に造られたホテルだそうだ。そのためとても立地がよく、景色に関しては他の料金の高いンゴロンゴロのホテルと比べてもワイルドライフロッジがピカイチとのこと。星5(★★★★★)
夕食を食べた後は就寝。
2月25日
朝5時に起床し7時に出発。残念ながら雨季に差し掛かるこの季節は朝靄が厚く、見事なクレーターの絶景は見ることができなかった。
この日は午前中マサイ族とウォーキングサファリをし、その後アルーシゃのホテルへ向かう。アルーシャのホテルに着くのは午後1時だという。どうして午後1時にはアルーシャに着いてしまうのにもっと遅めにホテルを出発しないの?とラマさんに聞くと、どうやらンゴロンゴロ自然保護区の滞在時間は24時間以内でそれ以上滞在する場合はもう1日分の入場料が必要らしい。だから昨日(2月24日)は直接ンゴロンゴロのクレーターに向かわずまずンドゥトゥのサファリをしたのか、と合点がいった。ちなみにクレーターの中をサファリするにはンゴロンゴロ自然保護区の入場料とは別に車両通行料が300$ほど別途必要だ。
<マサイ族とウォーキングサファリ>
実はタンザニアでウォーキングサファリができるところはそこまで多くない。セレンゲティは禁止、ンゴロンゴロのクレーターの中もできない。しかし自分の足で歩いて自分の目線で動物たちを間近に見る方がリアルで、サファリカーよりもドキドキ感があることはいうまでもない。私は一度ケニアのナイバシャ湖の三日月島でウォーキングサファリをしたことがある。その時の楽しさが忘れられず、今回も期待に胸躍らせてウォーキングサファリを楽しみにしていた。
クレーターの入り口にてマサイ族のレンジャーと合流。マサイ族出身ではあるがマサイ族の伝統衣装ではなくレンジャーの制服とライフルを持っているので一見マサイ族に見えないのは残念。しかしマサイ族出身のレンジャーは多いらしい。マサイ族の人々は動物が襲って来た時の対処に慣れているので、その事実は理にかなっているのである。そのためレンジャーのみならずホテルが雇うセキュリティースタッフは確かにマサイ族の人々が多い。
ウォーキングサファリ中、ここぞとばかり私はマサイ族のレンジャーに様々な質問を投げかけた。
1、マサイ族に生まれて都会に働きに行く人は多いのですか?→はい、多いです。
2、働きに出るのは女性と男性どちらが多いですか?→男性です。女性はほとんど都会に出ません。
3、男性ばかり働きに出るとマサイ族で過疎化が進みませんか?→進みますが、マサイ族は一夫多妻制なので、そこまで進みません。
4、街に働きに出るマサイ族は長男でなく次男が多いのでしょうか?→そうとも限りません。
5、ではマサイ族は長子相続ではないでしょうか?→基本男系相続で、遺産に関しては男兄弟で均等分配されます。
そのほかいろいろな質問をしたが話を聞く限りにおいてではあるが、男性については特にマサイ族生まれであるから不便ということはなさそうだ。レンジャーになった彼はちゃんと動物に関しての専門学校にも通わせてもらったらしい。
ンゴロンゴロを散歩している途中、横に果てしなく続く大きな溝を見つけた。どうやらマサイ族の村に水道管を引くらしい。「でもそんなことしたら放牧できなくなりませんか?」「最近のマサイ族はあまり移動しません、子供の学校のこともあるし」「でも家畜は放牧させなければなりませんよね?」「その場合はお父さんだけ移動します」「日本だといわゆる単身赴任ですね、しかし身の回りの世話は誰がするのでしょうか」「お父さん自身です」。
たとえマサイ族であってもお父さんの取り巻く環境は厳しいのだった。
約1時間半のウォーキングサファリで見ることができたのは結果、シマウマとヌーだけ。正直動物にはがっかりだが、マサイ族のレンジャーにいろいろ質問ができたのが興味深かった。
ンゴロンゴロ自然保護区を抜けて約2時間、アルーシャへ向かう。
途中、往路でも立ち寄った赤バナナが名物の村ムト・ワ・ンブにて車を降りる。ドライバーのアンドリューが赤バナナを買うためだ。せっかくなのでバナナ売りのおばちゃんに写真を撮らせてもらった。ちなみにタンザニアの人々を写真を撮るときは了承を得なければならない。そのときは大抵お金を請求されるそうだ。今回はバナナを購入したのでお願いして特別に撮らせてもらった。
またガイドのラマさんにお願いして、ムト・ワ・ンブ近くの街・カラトゥ(Karatu)にて庶民的なローカルマーケットに立ち寄り、写真も撮らせてもらった。
タンザニアでは一般的な旅行者はあらかじめ決められたルートでしか旅をしないので、どうしても素顔のタンザニアやそこの住まう人々の様子がわからない。王道な観光地も好きだけど、一方でローカルな雰囲気が感じられないとどうしても旅が消化不良に思うのは私だけではないはずだ。
アルーシャに到着し、土産物屋のベンチでランチボックスの昼食。その後、初日と同じアルーシャのホテル・モイバロロッジ(MOIVARO LODGE)へ。
まだ午後の2時もまわってないので、アルーシャ市内ものぞいて見たいと思いガイドのカストロさんにお願いした。実はこの日までお世話になったラマさんはご家族に不幸があったためアルーシャ市内でお別れし、急遽ピンチヒッターとしてアテンドしたのがカストロさんなのだ。
このカストロさん大変口は達者なのだが、ちょっと私と性格が合わず一悶着あった。
というのは市内に行くために友人だというタクシーに乗せられ、宿泊したモイバロロッジからアルーシャ市内中心部まで往復で30$だというのである。いくらモイバロロッジがアルーシャから少し離れているとはいえども片道10キロもない。30$するなら行かなくともいい、と車を降りる私。何ドルならいく?と聞くカストロさん。相場をしらない私に聞くのも私からすれば意味不明。10$ならこれくらい、30$ならここまでいけます、というのがガイドでしょ?と聞くも口が達者なだけにケムに巻かれ余計に腹がたつ。結果10$で行ってもらいチップはあげなかった。ラマさんが素朴な人柄なだけにちょっと後味が悪い出来事だった。再認識したのは「フレンド」といってくるガイドは私にとってハズレが多い、ということ。
アルーシャ市内ではクロックタワーと欧米観光客に人気のアフリカフェ、それにマサイマーケットと呼ばれる「Mt Meru Curios & Crafts Market」に立ち寄る。正直「これ!」というお勧めできるお土産物屋さんはなかったが、いわゆる旅行者向けのお土産が一堂に揃い、品揃えも豊富なのでタンザニアらしいお土産をお探しの方にはお勧めだ。到着初日に訪れた「カルチャル・ヘリテイジ」よりもカジュアルな感じ。
市内に立ち寄った後はホテルに戻り、ラウンジでゆったり過ごし夕食をとり就寝。
2月26日
この日は午後2時半までフリータイム。事前にラマさんにどこかオススメないですか?と聞くとコーヒーファームはなかなか面白いですよ、とのこと。なるほどコーヒーファームか。実はアルーシャ市内にて何か面白そうなものがないかペラペラとガイドブックをめくってみたものの特に気をひくものはなかった。本場のキリマンジャロコーヒーならお土産にもうってつけだし、コーヒーは好きなのでせっかくだから行ってみようかな、という気になった。後日ラマさんとコーヒーファームの迎えの時間を確認するために電話した時、日本語ガイドつけるかどうかと聞かれたが、昨日カストロさんと喧嘩別れしたこともあって、いらないと答えた。
コーヒーファームのお迎えは午前9時半。観光の後にシャワーを浴びたいなと思ってフロントに9時くらいに行くとすでにお迎えは来ていた。フロントに2時まで使わせてくれる了承を得て、出発。
<コーヒー農園(TENGERU CULTURAL TOURISM)訪問>
モイバロロッジから車で約10分。幹線道路から途中の脇道にそれ、しばらくガタガタ道を進むと立派なお屋敷が見えてくる。これが農場の建物のようだ。すでに欧米人の先客がいた、なんでも彼らはドイツ人の家具職人で椅子のデザインのアイデアを得るために夫婦でここにしばらく滞在しているとのこと。ホテルに迎えに来てくれたスタッフの一人のエリックさんは農家兼家具職人であるので、ドイツ人夫婦はエリックさんと意見交換をしているそうだ。変わった経緯で来る人もいるのだなぁ。
まずはタンザニア伝統のおかゆとお茶でもてなしをうけ、コーヒー農園のガイドから簡単な今後の流れの説明を受けた。どうやらコーヒー農園とは聞いていたものの、コーヒー以外にも多彩な食べ物を生産しているそうである。
シコクビエFinger milletとミルクのおかゆ
タンザニアのさつまいもはカボチャのようなオレンジ色
レモングラスとしょうがを煮詰めたタンザニアのお茶
最初に向かったのは家畜小屋。仔牛も合わせて合計4頭の牛たち。もちろん牛のミルクを摂るのも目的の一つだが、他にも理由はある。牛の糞尿からはメタンガスが発生するため、牛たちの糞尿を攪拌してメタンガスだけを抽出する。そのメタンガスはガスコンロやガス灯のエネルギーとして利用されているのだ。残った糞尿は作物の肥料として無駄なく使われる。化学日肥料は一切使っていないそうだ。つまり100%ナチュラルな資源で、農作物のみならず部屋の明かりや料理さえもできるのである。
「ミルクからガスまで」活躍する牛
メタンガスを抽出するパイプ
「残りもの」は肥料に
100%ナチュラル原料のガス灯とガスコンロ
その後はプランテーションを散策。プランテーションはなだらかな丘陵に沿って約1.5エーカーにわたって広がっている。キリマンジャロ付近で作られているコーヒーの品種はほとんどがアラビカ種でこの種は高地の栽培に適しているため、街に近く標高が比較的低い場所にはアボガドをはじめとしてジャックフルーツ、パッションフルーツなど、標高が高い場所にはコーヒーというように場所のよって種を変え栽培している。なおコーヒーはバナナと一緒に植えられることが多いとのこと。それはバナナの背の高い木と葉っぱがコーヒーの良い日除けになるそうだ。
この辺に住む子供達はアジア人が珍しいのか、私の手をとってじっとみる。タンザニア人の真っ黒な手と違うから興味深いのだろう、やけにフレンドリーだった。
農園を一通り散歩(約1時間)した後は収穫したコーヒー豆からどのように一杯のコーヒーを作るかを一緒に実演して教えてくれる。
1・コーヒーの実の皮をむいて乾燥させる
2・乾燥したら薄皮をむくために臼で突く(コーヒーの種は硬いので割れない)
3・薄皮と生の豆を分ける(ザルを使い薄皮を空気で飛ばす)
4・生の豆をローストする
5・黒くなってツヤが出て来たら臼で粉になるまですり潰す
6・コーヒーの粉のできあがり
機械のいらないとても原始的な作業であるがとにかく労力のいる作業だ。
最後にコーヒーの粉を5分ほどボイルしてコーヒーを作る。タンザニアではフィルタリングするよりも煮ることの方が一般的だそうだ。そして出来上がったコーヒーをみんなで飲む。やはり自分が手にかけたものは出来合いのものよりも数倍美味しく感じた。余ったコーヒーの粉はお土産用にパックで包んでくれた。
コーヒーをいただきながらTENGERU CULTURAL TOURISMの今後の活動について教えてくれた。TENGERU CULTURAL TOURISMはサファリに来るお客さんにもっとタンザニアのローカルな人たちと触れ合える場を作ろうというのが目的だそうだ。サファリの観光はあらかじめ決められたルートでしか旅をせず、そこにはローカルの人々と出会う機会はない。しかしTENGERU CULTURAL TOURISMは観光の一環として、地元の農家を接することでタンザニアの美味しい果物やコーヒーなどを味わってもらうことでサファリだけでなく、別の面からもタンザニアを知ってもらおうと試みているのだ。今回私はコーヒー農園観光というプログラムで訪れたが他にもローカルマーケット巡りや小学校訪問など多彩なプログラムを用意しているとのこと。さらには農園内にはゲストハウスもあるので長期間の農業体験もできる。それにより得た利益は、干ばつが激しい村での井戸掘りや、緑化活動、学校支援などに利用されているとのこと。
こういう取り組みをするのは素晴らしいことだと思うし、たくさんの観光客にも訪れてほしい、しかし何より私が感動したのは「援助」「ボランティア」という枕詞がないとしても、今回参加したプログラムは私にとって大変興味深いものだったし、実際楽しかったということ(これまでコーヒー工場には行ったことがあるがここまで丁寧にレクチャーしてくれるところは初めてだった)。「援助」「ボランティア」という言葉でなんとなく胡散臭いと思うかもしれないが(私がそうなので)、それに取り組む農園のスタッフのなんとまぁフレンドリーでホスピタリティ溢れ、気持ちがいい人々なこと。お金は多少かかったが全く惜しいとは感じなかった。
アルーシャにてもし時間があればぜひ訪れてみてほしい。
午後2時前にホテルに戻り、シャワーを浴びてチェックアウト。
サファリをともにしたドライバーのアンドリューさんが迎えに来ていてくれた。
ホテルからキリマンジャロ空港へは約1時間。無事到着し、アンドリューさんと別れカタール航空にチェックイン。
こうして私のタンザニアの旅は無事に終わった。
以前のケニアの旅はホテル視察が中心だったので、ビッグファイブを制覇することはできなかったが今回のタンザニアの旅ではビッグファイブ+チーターも見ることができたので動物に関しては大満足。そしてケニアと比較することでタンザニアの良さが色々見えてきた。
●タンザニアの良さ
とにかく広大な自然(セレンゲティはマサイマラの約8倍の大きさ)
ケニアよりも観光客の密度が少ないのでよりナチュラルな雰囲気でサファリが楽しめる
セレンゲティの見渡す限り地平線とンゴロンゴロのクレーターの絶景
希少動物の遭遇率の高さ
食事や宿泊施設は全体的にレベルが高く、ラグジュアリーなホテルは天井知らずの値段と豪華さ
ヌーやシマウマの群れは一部の期間(7月〜10月頃)を除きセレンゲティ・ンゴロンゴロにいる
●ケニアの良さ
タンザニアのよりも国立公園や自然保護区の入場料や安いため比較的お手軽にサファリができる
特に5つ星ロッジはタンザニアの相場の半額以上にリーズナブル
バリエーション豊かなサファリができる(サファリクルーズのナイバシャ湖、フラミンゴの大群のナクル湖、ホテルに居ながら動物を観察できるアバーディア国立公園など)
動物とふれあいが楽しめる(ジラフセンター、ケニア山国立公園)
夏休みの旅行中はヌーやシマウマの群れはマサイマラに入る確率が高い。
上記の理由から、ちょっとサファリに興味ある方やアフリカへの旅ってどういうもんだろ?というお考えの方にはケニアを、予算もあって動物達をがっつり見たいという方にはタンザニアをお勧めしたい。私の好みはどちらかって?今はタンザニアです。次にまた来る機会があればセレンゲティで動物を「目撃する」だけでなく、ビールでも飲みながら、時間をかけてじっくり生態を観察したいなぁ。
セレンゲティ国立公園 ★★★★★L 希少動物やヌーの群れを見たいならココ!まさにサファリ愛好家達のメッカ。
ンゴロンゴロ自然保護区 ★★★★★ 絶景のクレーターと多種多様な動物達に効率よく遭遇できる。
マニャラ湖国立公園 ★★★★ アルーシャからセレンゲティへの通り道。比較的カバやゾウの遭遇率が高いことで知られている。
コーヒー農場見学 ★★★★☆ タンザニアのローカルな人々の暮らしを垣間見れる体験。本場手作りのキリマンジャロコーヒーのお土産も嬉しい。
アルーシャ ★★★ 小規模な博物館やお土産屋さんのマーケットはあるものの寂しい町。特に時間を割かなくとも良い。時間があるなら農園観光などの方がお勧め。
(2017年2月 橋本康弘)