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旅倶楽部「こま通信」

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アヴィラのサンヴィセンテ教会

2015/04/25 11:20
外観1
エリア:
  • ヨーロッパ > スペイン > アビラ
テーマ:
  • 観光地
  • / 街中・建物・景色
  • / 歴史・文化・芸術
マドリッドから北西に一時間半、中世の城壁が見事に残るアヴィラ。
アヴィラ城壁
この町で必見のロマネスク教会はサン・ヴィセンテだろう。
城壁のすぐ外に位置している。その理由は、城壁のすぐ外で処刑が行われていたからだ。
外観1

西暦4世紀はじめ(ディオクレティアヌスが303年に出したキリスト教徒への迫害令の時と言われる)、聖ヴィセンテとサビーナとクリステタの二人の妹がここで殉教した。正確なその場所は教会の奥・アプスの南側部分の地下に今も残る岩場だったとされている。

最初の小さな礼拝堂、その後の最初の教会はアラブ時代を経て荒れ果てていた。
12世紀後半、アヴィラ生まれのペドロ・デ・バルコという聖者の遺体をまつる場所を決めるとき、聖者の遺体を引く目隠ししたロバが、この教会にたどり着いて死んだ。この事から現在見られる大規模な教会へ改修されたのだという伝説。


三角の破風は13世紀に形成された、建物で一番新しい部分。
外観2
南側には列柱のポータルがあるが、これは巡礼たちのための場所か。新しい時代に設置されたもののように見える。
外観3

南側の門。シンプルなロマネスクのアーチの下に数体の彫刻がある。
南のポータル1
向かって左側に、対話するような受胎告知
南のポータル左
向かって右側「ダビデ王と聖女サビーナ」と題されている二体。
左のダビデ王は、実はアラブ人の手からこの町を取り戻したアルフォンソ六世の姿をうつし、その隣にすっくと立つ女性は聖女の姿を借りて後継者となった娘・ウラカの姿を彫ったと言われている。南のポータル右

西側のファサード
西側ファサード
フランス南部のロマネスク教会と同じ雰囲気を感じさせる。

西側ティンパヌム

西のファサード彫刻より

内部、奥右手にある、これぞ必見のロマネスクの記念棺。
サルコファゴス1
上部は15世紀の木製装飾天蓋だが、下の石の部分は12世紀の末(=日本の平安の終わりから鎌倉時代にかけて)に製作されたもの。

これだけ美しく彩色が残っているものは、そうは多くない。
サルコファゴス2

サルコファゴス4


サルコファゴス3

側面の彫刻を四つの場面に区切って紹介いたします
★聖ビセンテの生涯、その1
左:ディオクレティアヌスの前に引き出されるヴィセンテ
サンヴィンセント1
中:ジュピターへの礼拝を拒否するヴィセンテ
右の兵士が彼を動かそうとがんばっている。左の兵士がヴィセンテの足元が石のように固くなっている?のを指さしている=意志の強さを表す?
右:二人の妹がヴィセンテを訪ねてくる

★聖ヴィセンテの生涯 その2
左の王に報告する兵士、馬に乗せられる聖ヴィセンテと妹ふたりが右方向へひかれてゆく
サンヴィンセント2

★聖ヴィセンテの生涯 その3
左:着衣を脱がされる三人、
中:処刑される三人
右:頭をつぶされる三人(この図で赤い服を着ているのがユダヤ人エゼキエル。ヴィセンテを告発した人物とされている)
サンヴィンセント3

★聖ヴィセンテの生涯 その4
左:三人の遺体から巨大な蛇が現れ、エゼキエルに絡みつく。
エゼキエルは回心して神に祈りをささげる。
※大蛇は城外に晒された三人の遺体を野獣から守っていた
右:エゼキエルは三人の墓をつくる
サンヴィンセント4

現代の我々が見てもそのまま分かりやすく、力強い表現の彫刻であります。
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