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エリア:
- ヨーロッパ > イタリア > フィレンツェ
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テーマ:
- 観光地
- / 街中・建物・景色
- / 歴史・文化・芸術
イタリアのトスカーナ州ルッカは、かつては、100の教会があった町です。その中でも大聖堂には、すばらしい歴史や美術品、伝説が詰まっています。
今回は、この大聖堂の中に眠っている美女、イラリア・デル・カレットさんについてお話したいと思います。
Foto by wikipedia
Monumento funebre a Ilaria del Carretto
Author:shakko
Licence:Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported (CC BY-SA 3.0)
Link:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Maison_natale_galilee_Pise.jpg
イラリアさんは、中世の時代にルッカの町を支配していたパオロ グイニージさんの二番目の奥さまです。
彼女は、パオロさんから、すぐにお世継ぎを産んでくれる健康な女性をもらいたいという理由で、当時としては多少婚期が遅れていたにもかかわらず選ばれたサヴォイアの名家出身の女性でした。
婚前に面識はない二人でしたが、イラリアさんが、ルッカに輿入れした時に、わざわざ町の外まで自ら迎えに行ったパオロさんは、彼女に一目ぼれをします。
そして結婚生活が始まると、美しいだけでなく、その教養の高さにも驚き、このすばらしい女性を深く愛するようになります。
パオロさん、当時はルッカの支配者といっても、馬に乗りながら、ルッカの支配していた領域を年中視察しなくてはならず、何ヶ月も家を空けることもあったらしいのですが、彼女はこの視察にも一緒についていったそうです。
当時としては大変まれなことだったそうです。
そして視察から戻り、無事に女の子を産みます。
そして翌年、男の子も産まれるのですが、産後に体調を崩し、1405年12月8日に亡くなってしまいます。
彼女の死を嘆き悲しんだパオロさんは、当時活躍していた彫刻家ヤコポ・デッラ・クエルチャに依頼して、1406年から2年かけてこの墓標を作らせたのです。
彫刻のイラリアさんは、まるで眠っているかのように安やかなお顔をしています。そして、髪飾りや、洋服もイタリアではなかなか手に入らなかったフランス風のおしゃれなものを身に着けています。
そして足元には、飼っていた子犬がいます。この子犬、じっとイラリアさんを見つめています。
私は職業上多くの彫刻を見てきましたが、その中でも一二を争うほど美しい可憐な女性です。
あなたもぜひこの美しいイラリアさんを見にルッカにいらしてください。
文 佐藤加代子
写真 WIKIPEDIA から