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奈良県周辺で農業体験を楽しむなら、信貴山がおすすめです。
奈良県の農業体験の平均予算は1,200円で、1,000円~2,000円のプランが多いです。内容によって予算が異なるため、詳細は各プラン内容をご確認ください
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広大な敷地をもつ奈良公園内にある、華厳宗の大本山。奈良時代、聖武天皇が幼くして亡くなった皇太子の菩提を弔うために建てた金鍾山寺(きんしょうさんじ)が東大寺の始まりとされています。後に大仏造立が始まり、752(天平勝宝4)年に大仏開眼供養会が開かれると巨大な伽藍をもつ寺院へと発展し、現在の東大寺へと至っています。東大寺の正門にあたる南大門は、鎌倉時代に建てられたもので国宝に指定されています。門の両脇には、鎌倉時代を代表する仏師、運慶や快慶らによって造られた金剛力士像が勇壮な姿で立っており、こちらも必見です。南大門を抜けてまっすぐ進むと中門があり、その奥に見えているのが大仏殿です。奈良時代に建立された後、二度の焼失に遭い、現在の建物は江戸時代に建てられたもの。世界最大級の木造建築であり、高さ約48m、幅約57m、奥行約50mというスケールの大きさには目を見張ります。そして大仏殿内に安置されている、奈良のシンボルでもある大仏(盧遮那仏座像)は、高さ約15m。顔の幅は3.2m、右の掌の長さだけでも2.56mあり、迫力満点! 正面から拝観するだけでなく、左右の側からも異なる表情を感じてみましょう。大仏殿内で向かって右奥にある一本の柱には、高さ約37cm、幅約30cmの穴が空いています。大仏様の鼻の穴と同じ大きさといわれ、くぐり抜けると厄除けになるのだとか。小さな子供がこのくぐり抜けによくチャレンジしていますが、大人がくぐろうとするとなかなか難しいかもしれません。大仏殿から東の方向にある法華堂(三月堂)も見逃せません。東大寺の中では最古の建築物とされ、国宝に指定されています。内部には御本尊である不空羂索観音立像(ふくうけんさくかんのんりゅうぞう)をはじめ、奈良時代に造られた10体の仏像が並びます(いずれも国宝)。凛とした空気が漂う堂内で、3mを超す迫力ある仏像群と対峙していると、天平文化を代表する彫刻の美しさにただただ引き込まれていくことでしょう。法華堂のすぐ北にあるのが二月堂です。西側に展望が開けた舞台からは、大仏殿をはじめ、奈良市街を眺めるのにおすすめスポット。こちらでは1260年以上もの間、鎮護国家や五穀豊穣などを願うため、修二会(しゅにえ)という行事が旧暦の2月に行なわれてきました。とくに、3月12日の深夜(3月13日の午前1:30頃)に行なわれる「お水取り」は、松明(たいまつ)の明かりが灯される中、観音様にお供えするお香水を汲み上げていくもので、とても幻想的な儀式としても知られています。その他にも、国宝である四天王像が安置されている戒壇堂や、数多くの宝物を収蔵している東大寺ミュージアム、校倉造の建造物としても知られる宝物庫である正倉院など、東大寺には見どころは盛りだくさん。じっくりと時間をかけて境内を見学してみましょう。
東大寺、興福寺、春日大社、さらには奈良国立博物館にも隣接して広がる奈良公園。意識しなくても、自然に足を踏み入れている奈良観光の中心的エリアです。その広さは511ヘクタール余り。芝生の広場があり、池、小川があり、若草山や世界遺産でもある春日山原始林などの山林部もあり。歴史的文化遺産に縁取られた、緑豊かな公園です。近鉄奈良駅から東へ、興福寺がある南側の歩道を6、7分も歩くと、右手に芝生の広場があります。ここは奈良公園の登大路園地です。さらに東へ向かうと、東大寺へ向かう参道に至りますが、この東側に広がるのが浮雲園地と春日野園地、その奥に東塔跡園地も。広大な芝生の広場には鹿も多く群れ、鹿と触れ合う人々でいつもにぎわう場所です。奈良公園といえば鹿(ニホンジカ)で有名ですが、ここで留意しておきたいのが、鹿は野生動物であるということ。人に慣れてはいますが、鹿せんべいで「お預け」などといっても通用しません。欲しいと思えば突進してきたり、少しでも身の危険を感じれば、攻撃に転じてくるので、気をつけたいもの。また、鹿がゴミを食べて亡くなることもあり、公園内にはゴミ箱がありません。ゴミは持ち帰るようにしましょう。ここまでは奈良へ観光に来たことのある人なら一度は訪れるおなじみの奈良公園ですが、オススメしたいのが浅茅ヶ原園地です。春日大社一之鳥居から大社へと向かう参道の右手に広がる起伏のあるエリアで、片岡梅林があったり、起伏を越えた南側には池も広がります。この鷺池にかかる橋には浮見堂という六角形のお堂が建てられ、静かな水面にお堂が映る風景は情趣満点。奈良公園の中でもぜひ訪れてほしいフォトジェニックな場所です。奈良公園は桜や紅葉の名所であるほか、さまざまなイベントも催されます。大勢の人が訪れる場所ですが、浅茅ヶ原園地やその南に広がる荒池園地は比較的人の少ない穴場スポット。ゆったり散策も楽しめるはずです。
奈良を訪れる観光客の多くが足を運ぶ奈良公園。その東側に位置しているのが、世界文化遺産にも登録されている春日大社です。その昔、奈良に都が移された頃、護国繁栄を祈るために、現在の春日大社の背後にあたる御蓋山(みかさやま)へ、武神・雷神でもある武甕槌命(タケミカヅチノミコト)をお迎えしたと伝わっています。そして768年、称徳天皇の命でこの地に社殿を造ったのが春日大社のはじまりなのだそうです。武甕槌命とともに国を平和におさめる力を持つ武神、経津主命(フツヌシノミコト)、最高の知恵を持つといわれる司祭神の天児屋根命(アメノコヤネノミコト)と比売神(ヒメガミ)の夫婦神という四柱が祀られ、合わせて春日皇大神(カスガスメオオカミ)として信仰を集めてきました。古くは平安時代から現代まで三千基にも及ぶ奉納燈籠が、人々の信仰の厚さを物語っています。また、3月13日に行われる神社の大例祭、春日祭は、平安時代から勅使も詣でる日本三大勅祭の一つ。今もなお、国の安寧、発展を祈る神社であり続けているのです。もう一つ、春日大社の大きな祭りが、12月の春日若宮おん祭。本殿の天児屋根命と比売神の御子神を祀る若宮神社の例祭で、平安時代から続き、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。南門を入って正面にある参拝所から、さらに白砂の庭と中門を隔てて建つ春日造の本殿は、古代から20年に一度行われてきた式年造替によって常に美しさを保ち続けています。一般の人は本殿に入って参拝することはできませんが、特別参拝(500円)では、中門越しに本殿を垣間見たり、影向門の外の御蓋山浮雲遥拝所や樹齢千年の大杉なども巡ることができます。また、古来から御神殿に納められてきた宝物を鑑賞するなら国宝殿(拝観料500円)へ。平安時代の品が数多く所蔵され、「平安の正倉院」とも呼ばれる一級品ぞろいにため息がもれます。春日大社へは、JR奈良駅・近鉄奈良駅からバスで国宝殿前まで行くこともできますが、ぜひ長い参道も歩いてみたいもの。江戸時代などの日付が刻まれた石燈籠が並ぶ道は、大きな杉の木立に囲まれ、荘厳な雰囲気。春日大社とともに世界遺産となった春日山原始林の一端に触れるような空間も、ぜひ味わいたいところです。
藤原氏の氏寺として栄え、天皇家からの帰依も厚かった興福寺。多くの堂宇や文化財を有している中でも、猿沢池から眺める五重塔は優美さが際立っており、奈良を代表する景観の一つにもなっています。その五重塔(国宝)は、奈良時代に聖武天皇の皇后、光明皇后によって建立されました。しかし五度もの被災と再建をくり返し、現在の塔は室町時代に建てられたものです。高さは50.1m、均整のとれた塔は実に迫力があり、初層内部には薬師三尊像、釈迦三尊像、阿弥陀三尊像、弥勒三尊像が安置されています。五重塔の北側には東金堂(国宝)があり、こちらは聖武天皇によって建立されました。現在ある建物は室町時代の建築ですが、内部には本尊である薬師如来像をはじめ、重要文化財や国宝に指定された仏像がずらりと並びます。東金堂のさらに北側にあるのが国宝館で、興福寺の貴重な文化財が収蔵されています。数ある国宝の中でも必見なのが、元は飛鳥の山田寺にあったという銅造仏頭。白鳳文化を代表する文化財であり、スッと伸びた鼻にふっくらとした頬の輪郭も印象的です。歴史の教科書でも目にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。そして、国宝館で収蔵されている文化財の中でもとりわけ注目されているのが、やはり阿修羅像でしょう。釈迦を守護する神ともいわれ、三つの端正な顔と、すらりと伸びた六つの手を持つ三面六臂(さんめんろっぴ)のこの像は、奈良時代の天平彫刻の傑作として広く知られています。スマートなシルエットと、美しすぎる腕の配置に見入ってしまう人も多いはず。平安時代末期には、平家の兵火によって興福寺では多くの堂宇を失ってしまいましたが、奇跡的に焼失を免れたこれらの文化財をじっくりと鑑賞しておきましょう。境内の中心部にあるのが、2018年に再建された中金堂。もともとは、710(和銅3)年から約7年の歳月をかけて藤原不比等が創建したものでしたが、他の建物と同様に度重なる被災と再建がくり返され、現在は美しい姿に蘇っています。中金堂の西側には、北円堂(国宝)と南円堂(重要文化財)があり、いずれも美しい八角円堂です。そして見逃してはいけないのが、境内の中でも南西の位置にある三重塔(国宝)。鎌倉時代に建てられたもので、興福寺の中では最古の建物になります。五重塔などに比べると、ややこぢんまりとした印象はあるかもしれませんが、優美な塔と静かに対峙してみるのもいいですよ。
7世紀の初め頃、聖徳太子が父、用明天皇を弔うためにお寺の建立を発願したのが法隆寺の始まりと伝わっています。法隆寺の境内は、金堂や五重塔がある西院伽藍(さいいんがらん)と、夢殿のある東院伽藍(とういんがらん)に分かれ、飛鳥時代をはじめとする仏像や建造物が数多く残されています。まず、南大門から境内に入って直進し、中門(国宝)の左手にある拝観受付から内部へ入ると、金堂と五重塔が並ぶ伽藍が目に飛び込んできます。世界最古の木造建築である金堂(国宝)は、飛鳥時代の様式を色濃く残す入母屋造りの建造物です。堂内にある御本尊、釈迦三尊像(国宝)は飛鳥彫刻を代表する仏像で必見です。その他にも薬師如来像や四天王像(いずれも国宝)など、貴重な仏像群を拝観できます。五重塔(国宝)も金堂と同様に世界最古の木造建築です。上の層になるほど軸部や屋根が小さくなっていて、安定感のある建造物といえるでしょう。初層には裳階(もこし)という小さな屋根があり、金堂の下層にも同様の裳階が見られます。金堂と五重塔の奥には大講堂(国宝)があり、こちらは平安時代に建立されたもの。堂内には薬師三尊像が安置されています。法隆寺を代表する寺宝が収蔵されている「大宝蔵院・百済観音堂」ももちろん必見です。飛鳥文化の意匠が色濃く残る玉虫厨子(国宝)や、悪夢を吉夢に替えてくれるとの言い伝えもある夢違観音像など、印象深い芸術のオンパレード。中でも、像高約2mでスマートさが際立つ百済観音像(国宝)はじっくりと鑑賞したいところ。優しいお顔の表情や、しなやかさを感じる指先など、その美しさにさまざまな角度からうっとりと見入ってしまいます。大宝蔵院から徒歩で5分ほど東へ向かうと、夢殿のある東院伽藍へ。夢殿は奈良時代に建てられた八角円堂(国宝)です。堂内に安置されている御本尊、救世観音像(国宝)は毎年2回(4月11日〜5月18日、10月22日〜11月22日)公開されます。聖徳太子の等身像ともいわれ、長きにわたり秘仏として保存されてきたため、制作当時の輝きを今なお見ることができます。
680(天武天皇9)年、天武天皇が皇后の病気平癒を祈って、建立を発願したのが薬師寺の始まり。元は飛鳥の地に建てられていましたが、奈良時代になってから現在地へと移された法相宗の寺院です。近鉄橿原線の西ノ京駅からすぐの場所にあり、北側の受付で拝観料を支払ってから、南へと進んでいくと観音池のほとりにあるのが東院堂(国宝)です。鎌倉時代に再建された堂内には、聖観世音菩薩像(国宝)が安置されています。美しさが際立つ白鳳期の仏様をじっくりと堪能しましょう。東院堂を拝観した後は、いよいよ薬師寺の独特な伽藍とご対面です。きらびやかな金堂を挟むように、東塔、西塔の二つの美しい塔が建っているのは薬師寺ならでは。中門をくぐって右手に見えるのが東塔です(2020年4月に修復完成)。創建当初の建造物として残る塔で、国宝に指定されています。各層に裳階(もこし)と呼ばれる屋根が付いているため六重に見えますが、実際には三重塔です。どこかリズミカルな美しさをもつことから、「凍れる音楽」とも評されています。そして中央に位置しているのが、1976(昭和51)年に復興された金堂。内部には御本尊、薬師三尊像(国宝)が安置されています。中央の薬師如来坐像をはじめ、両脇の日光菩薩像、月光菩薩像は白鳳期に造られた仏像として傑作といわれています。とくに日光・月光菩薩像の腰をひねったような立ち姿は、そのたおやかな美しさに見惚れてしまいます。金堂の西側にあるのが、1981(昭和56)年に復興された西塔です。東塔と同じく、こちらも三重塔。東塔よりもやや高く造られており、これは経年変化で木材が縮むことで、いずれ東塔と同じ高さになることが想定されているのだとか。金堂の奥には、2003(平成15)年に復興された大講堂があり、弥勒三尊像(重文)や仏足石・仏足跡歌碑(ともに国宝)が安置されています。また境内北部には、玄奘三蔵院伽藍(げんじょうさんぞういんがらん)があり、玄奘塔では、法相宗の祖である玄奘三蔵(『西遊記』のモデルとしても有名)の遺骨と像が祀られています。
近鉄橿原線の西ノ京駅から北へ10分ほど歩いたところにある唐招提寺(とうしょうだいじ)。唐の高僧、鑑真和上(がんじんわじょう)が開いた寺として知られ、奈良時代に建てられた金堂や講堂、そして天平文化を代表する仏像の数々など、貴重な国宝、重要文化財の宝庫です。鑑真和上といえば、唐からの渡航では5度も失敗し、6度目にしてやっと日本の地を踏むことができたエピソードは有名です。苦難の末、戒律を日本へ伝えるために訪れた鑑真の大きな功績と精神が息づくお寺を、じっくりと拝観しましょう。境内の南側にある南大門から入場すると、正面に見えるのが金堂(国宝)です。8世紀後半に建てられたとされていて、左右に均整のとれた美しいたたずまいが特徴。屋根の上に乗せられた鴟尾(しび)も印象的です。金堂内には、御本尊である盧遮那仏坐像をはじめ、薬師如来立像、千手観音菩薩立像(いずれも国宝)などが安置されており、天平時代から今日に至るまで経てきた歴史と趣には見ごたえがありますよ。ちなみに、唐招提寺の千手観音菩薩立像は大小合わせて953本の手があるようですが、かつては千手観音という文字通り1,000本の手があったと考えられているのだとか。金堂の奥に建っているのが講堂(国宝)です。平城宮にあった東朝集殿(ひがしちょうしゅうでん)が移築されたもので、平城宮の遺構を見られる建造物として非常に貴重なものだそうです。内部には御本尊の弥勒如来坐像(重文)が安置されています。講堂の裏手にある開山堂では、2013(平成25)年に造られた鑑真和上御身代わり像を拝観できます。ちなみに、奈良時代に造られた鑑真和上坐像(国宝)は、6月5日〜7日のみの特別公開(2020年は中止)となります。そして境内の一番奥にあるのが、開山御廟(鑑真和上のお墓)。厳かな雰囲気が漂う中、はるばる日本の地まで戒律を伝えた鑑真和上に思いを馳せながらお参りしましょう。
710(和銅3)年、藤原京(現在の奈良県橿原市)から奈良盆地の北端に都が移され、平城京は生まれました。南北約4.8km、東西約4.3km、その東側に張り出し部が付いた形の都で、中央北端には、都の中心として平城宮が造られました。大極殿などの宮殿、天皇の住まいである内裏、国の役所などが、立ち並んでいたといいます。奈良市中心部からバスでやってくると、到着する平城宮跡歴史公園「朱雀門ひろば」。ここでまず目を引くのが、復原遣唐使船(乗船無料)です。船の正確な史料が残っていないので、関係資料から類推して造られていますが、奈良時代への想像を早速かきたててくれます。朱雀門や第一次大極殿へと進む前に、まずは朱雀門ひろばのエリアにある「平城宮いざない館」へ。ここはさまざまな展示で平城宮について知ることができるガイダンス施設です。知識があれば、公園内の各施設をより実感できるので、オススメ。ボランティアガイドの説明を聞くこともできます。平城宮について理解を深めたら、いざ公園散策へ。まずは、平城宮の正門、朱雀門です。前に延びる朱雀大路は、当時とほぼ同じ道幅約74m。そのスケール感に驚かされます。朱雀門をくぐり、近鉄奈良線の線路を越えると、奈良時代に式典などが行われた中央区朝堂院が広がります。正面では、南門が復原工事中です(2022年完成予定)。その向こうには、復原された第一次大極殿が朱塗りの美しい姿を見せています。建物の中にも入れ(無料)、天皇が着座する高御座などを見ることができます。ほかに、公園内には、平城宮の東側の張り出し部分で発見された庭園跡を復原した東院庭園、塀や建物を復原した推定宮内省、さらに遺構展示館や復原事業情報館などの施設もあります。
興福寺五重塔前から三条通りを横切り、52段あることからその名も「五十二段」と呼ばれる石段を降りたところにある猿沢池。興福寺の放生池で、ここも奈良公園の一角。猿沢池越しの五重塔の眺めは、奈良を代表する景観の一つです。古くから、猿沢池は「澄まず濁らず、出ず入らず、蛙はわかず、藻は生えず、魚が七分に水三分」という言い伝えがあるといいます。確かに、池の水は濁ってもいないし、澄んでいるわけでもなく、水の出入りがあるのかないのかもよくわかりません。魚の姿は今はあまり見られませんが、亀が甲羅干しをする様子は有名です。360mほどの周囲には柳が植えられ、中でも衣掛柳と呼ばれる柳が北東の岸にあります。昔々、平城京の帝に仕え、寵愛を受けた美しい采女(うねめ)がいたが、やがて帝の心が離れたのを苦にし、この柳に衣をかけて身を投げたのだとか。その采女の霊を慰めるために建てられたのが、対岸にある采女神社であるとも伝わります。小さな社で、普段は門が閉ざされていることがほとんどの神社ですが、毎年、命日に近い中秋の名月の頃に行われる例祭、采女祭では門が開けられ、花扇奉納行列が行われたり、池に管弦船が浮かべられたりと華やか。室町時代から伝わる伝統行事です。また、祭当日には縁結びのお守りなども並び、若い女性に人気です。普段の猿沢池はのんびりした風情。南西の一隅にはベンチが並び、景色を眺める人、談笑する人、スケッチをする人など、人の姿が絶えることはありません。
パワースポットとして名高い大神神社。50万人を超える参拝者が集まる正月三が日だけでなく、平日でも訪れる人の姿は絶えることがありません。なんといってもここは日本最古ともいわれる神社なのです。その昔、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が三輪山に祀られることを望んだと『古事記』や『日本書紀』に記され、ご祭神がお山に鎮まるよう、祈りを捧げたことがこの神社の始まりとされます。以来、神を祀る本殿を設けず、三輪山を神として祀るという古代の信仰形態を今に伝えています。JR三輪駅から徒歩5分ほど。二の鳥居をくぐると、三輪山の裾野に広がる杉やヒノキ、松などに囲まれた参道が延びています。山に向かって進み、正面の階段を上ったところにある現在の拝殿は、1664(寛文4)年、江戸幕府4代将軍徳川家綱によって再建されたもの。その奥にはご神体の山との境に立つ三ツ鳥居(国の重要文化財)がありますが、三ツ鳥居より奥は普段より神職ですら足を踏み入れない神聖な場所とされています。拝殿で祈りを捧げた後は、神の宿るお山の裾に広がる境内のパワースポット巡りへ。拝殿前にそびえる「巳の神杉」もその一つ。樹齢500年ともいわれる杉の木で、根元に洞が開き、ここから神様が白蛇の姿で現れると伝えられています。親しみを込めて「巳さん」と呼ばれる神様の好物、卵を供えるのがここの願掛けスタイルです。また、参集殿の玄関に置かれた「なで兎」もお忘れなく。元は大神神社の大鳥居前に1740(元文5)年に奉納された鉄の灯篭に据えられていたもの。いつの頃からかこのウサギの置物をなでると、願い事を叶えてくれる、体の痛いところを癒やしてくれるという言い伝えが。ウサギといえば、大神神社の例祭である大神祭は、崇神天皇の8年という卯の年の卯の日に始まったとされ、ご神縁が深い動物。今も、人々になで続けられ、いつもピッカピカです。特に正月には長い行列ができるので、専用の建物が建てられるほどの人気です。大物主大神は酒造りの神様、素麺作りの守護神など、さまざまな神話、逸話が伝わっていて、これこそ古代から信仰を集めるパワーの証。山の辺の道の南の起点にも近いので、ハイキングの途中にも、ぜひ立ち寄りたいところです。
吉野山と聞いて、まず思い浮かぶのは桜でしょう。4月上旬〜下旬にかけて、大峰山系の北端の尾根、吉野山を埋め尽くす桜は、シロヤマザクラを中心におよそ200種3万本ともいわれています。標高の低い下千本に始まり、中千本、上千本、奥千本と次々に桜で彩られていく様は、5,000人を引き連れて大花見を催した豊臣秀吉だけでなく、今も昔も多くの人々を魅了し続けています。それだけに桜の時期の混雑は必至。4エリアを桜前線が移動していくとはいえ、桜の開花期間が短いことも花見客が集中する理由です。少しでもゆったり桜を楽しみたいなら、朝早い時間帯、夜明けから8時くらいまでに訪れるのが狙い目です。また、最も広い面積の桜を楽しみたいなら、中千本から上千本の開花時期がオススメ。一目千本といわれる吉水神社の境内からの眺めや、花矢倉展望台からの眺めが有名です。その桜が紅葉する11月上旬〜12月上旬もまた、桜の花とは違う彩りで、全山が華やぐ時期。ライトアップが行われる金峯山寺周辺、高城山展望台、中千本公園などが紅葉の美しいスポットです。もちろん、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の吉野山は見どころもいっぱい。金峯山寺の蔵王堂(国宝)・仁王門(国宝)をはじめ、吉水神社(書院が重文)などはぜひ訪れておきたいところです。また、いちばん奥にある奥千本エリアでは、子授けの神としても信仰される吉野水分神社(重文)や吉野山の地主神を祭る金峯神社、西行がこもったといわれる西行庵があります。その手前、上千本エリアでは、神仏習合の道場である桜本坊や、大和三庭園の一つといわれる群芳園がある竹林院なども必見スポット。中千本エリアでは、後醍醐天皇勅願寺で楠木正成・正行父子ゆかりの如意輪寺などがあります。山内にはバスも走っていますが、本数は少ないので、よく歩ける格好で出かけることをおすすめします。巡るなら、標高の高い奥千本、上千本までバスで行き、下千本方向へと歩くと、道は下り坂なので楽ですよ。
奈良市内のさまざまな場所から見える若草山。近いようにも見えますが、近鉄奈良駅からでも、麓のゲートまで歩くと30分はかかる距離にあります。芝生に覆われた、緑のなだらかな山肌は、ひと目でそれとわかる個性的な姿。一見2段に見えますが、実際には3段の山で、三つの笠を重ねたような形から「三笠山」とも呼ばれています。標高は342m。開山期間中なら、山麓にある北と南のゲートから登ることができます。まずは一段目を上った「一重目」と呼ばれるエリアへ。南北どちらのゲートからでも約20分の上りのルートで、日頃の運動不足を思い知らされる人も。しかし、一重目からでも、東大寺や興福寺五重塔などが眼下に見え、その眺めに汗も吹き飛ぶはず。売店(不定休)もあります。さらに高度40m上の「二重目」へは、一重目から芝生の斜面を上ること約10分。東大寺などは小さくなり、南側には春日山原始林が広がって見えます。さらに10分ほど上れば、「三重目」の山頂展望台です。ここからは奈良盆地が一望のもと。天候にもよりますが、大和三山や葛城山、二上山まで見えることも。周囲の景観を案内する銅板もあるので、確認してみましょう。山頂から見る夜景の美しさも格別ですが、ゲートは閉まっているので、夜に山頂展望台へ行くには、車で春日奥山ドライブウェイ経由で。山頂駐車場から徒歩3分ほどで展望台です。また、山頂には、全長103mの前方後円墳である鶯塚古墳があります(立ち入り不可の禁足地)。毎年1月第4土曜日に行われる山焼きは、奈良に早春の訪れを告げる伝統行事ですが、もとは山頂の古墳の霊を鎮めるため、江戸時代末期に行われ始めたとか。当日は午後から鹿せんべい飛ばし大会などのイベントや聖火行列、大花火の打ち上げも。そのあと、一斉に草地に点火。山肌を伝う火が夜空に輝きます。
長谷寺(はせでら)は、奈良県桜井市初瀬(はせ)にある真言宗豊山派の総本山の寺院。山号は豊山(ぶさん)、院号は神楽院(かぐらいん)。本尊は十一面観音(十一面観世音菩薩)、開山は僧・道明とされる。西国三十三所第8番札所。寺紋は輪違い紋。
「紀伊山地の霊場と参詣道」の中で世界遺産に登録されている金峯山寺。7世紀後半の白鳳年間に、役行者によって開創されたと伝わる修験道の寺です。ロープウェイ吉野山駅から坂を十数分ほど上ると、平成30年から約10年間の予定で解体修理中の国宝、仁王門が石段の上にそびえています。その奥にあるのが、同じく国宝の本堂、蔵王堂です。堂内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは太い柱の数々です。その数はなんと68本。スギやヒノキ、松、ケヤキ、梨やつつじの木もあります。それぞれ枝を落とし、樹皮をはいだだけの自然に近い形の柱で、薄暗い堂内に林立する様は、まるで深山幽谷のよう。大自然の中で修行を行う修験道のならではの空気が漂っています。その中央、戸帳の奥に安置されているのが秘仏、本尊金剛蔵王大権現三体。毎年、桜の時期や特別な時だけ御開帳されるその姿は唯一無二。高さはおよそ7m。片手片足を上げ、目を見開いている姿は、どう喝しているようでいて、その表情は「恕」(人を思いやる心)。親が子を叱るような表情でもあるといわれます。さらに稀有なのが青黒色の肌の色。当時、“一はけ、米一俵”ともいわれたほど高価な藍銅鉱(アズライト)をすりつぶした顔料が使われています。最初は圧倒されるものの、しばらく見つめていると安らぐような心地も。三体の中央は過去世を救う釈迦如来、右は現世を救う千手観音菩薩、左は未来世を救う弥勒菩薩が権化された姿。過去、現在、未来にわたって衆生を救済してくださるのだとか。古来から日本人は太陽や山などへ、畏敬の念と感謝を込めて祈りを捧げてきました。大自然の中に神や仏を感じてきたのです。修験道では、その厳しい自然の中、命がけで修行することで人間が本来持っている力を取り戻し、生まれ変わることを目指しています。金峯山寺では毎年5〜10月の間、一般の人を対象に、月1回のペース(行事などにより変更あり)で体験修行も実施しています。
『日本書紀』によれば、橿原は、神武天皇が宮殿を建て、第一代天皇となったと伝わる地です。その建国の地に神武天皇を祀る神社を創りたいという民間有志の請願を受けて、明治天皇が京都御所の賢所と神嘉殿の建物を下賜され、本殿と拝殿にし、神武天皇とその皇后を祀るため1890(明治23)年に創建されたのが橿原神宮です。近鉄橿原神宮前駅中央口を背に真っすぐ進むこと約5分、大きな第一鳥居が現れます。大和三山の一つで、神武天皇陵がある畝傍山(うねびやま)のふもとに、甲子園球場約13個分という広さの境内が広がっています。創建当初から何度か拡張工事が行われ、現在の大きさになったのは1940(昭和15)年。第一・第二鳥居をくぐり、南神門をくぐると広大な外拝殿前庭がすがすがしく広がります。神武天皇といえば、九州の地から6年の歳月をかけ、さまざまな苦難を越えてはるばる橿原にやってきたと伝えられています。幾多の困難を乗り越えた強運と、記紀によれば127歳とも137歳とも伝わる長寿だったことから、開運長寿の神様として信仰を集めています。外拝殿から参拝した後はおみくじを引いてみましょう。オススメは金鵄みくじ(500円)。神武天皇が国を統一する際、最後まで抵抗していた豪族との苦戦の最中、どこからともなく金色のトビが飛んできて、勝利に導いたという逸話にちなんだおみくじ。吉兆をもたらす鳥である上、思わず飾っておきたくなるかわいいフォルムも人気です。帰りは北神門から出て、木々に覆われた森林遊苑へ。さらに、神武天皇が眠るという畝傍御陵まで足を伸ばしたいものです。
近鉄奈良駅から南へ徒歩約15分のところにある、世界遺産「古都奈良の文化財」のひとつ、元興寺。現在の境内は、国宝にも指定されている極楽堂(極楽坊本堂・曼荼羅堂)と禅室を中心とした一角だけですが、奈良時代の創建当初は、現在のならまち全体を含む規模にまで広がっていました。もとは、聖徳太子とともに仏教を広めようとした蘇我馬子が飛鳥の地に建てた法興寺(飛鳥寺)が前身。その後、平城遷都に伴い、718年に現在の場所へ移され、元興寺と改名しました。当時は、南大門、中門、金堂、講堂、食堂などが甍を連ね、諸寺をリードする力を持った大寺院でした。今残る極楽堂と禅室は、当時の僧坊のほんの一部分です。かつては南都七大寺のひとつだった元興寺ですが、平安時代後期になると中央政府の力が衰えるとともに、寺の力も衰退していきます。そんななかで寺を支えたのは庶民でした。極楽往生を願う人々が、奈良時代の元興寺の僧、智光が描いた智光曼荼羅(重要文化財)を信仰し、鎌倉時代にはこれを中心に据えて僧坊を極楽堂に改築しました。その後、火災や明治時代の廃仏の動きなどを経て、現在の元興寺があります。極楽堂内部を拝観した後は、極楽堂と禅室の屋根瓦にも注目してみてください。なめらかな現代の瓦とは色の違う部分が、飛鳥・奈良時代の古瓦です。また、現在の境内から南側の芝新屋町には当時の東大塔の礎石が、南西側の西新屋町には西小塔院跡が残っているので、ならまち散策の際に訪ねてみるのもオススメ。当時の境内がいかに大きかったか実感できるはずです。戦後、行われた解体修理や、ならまちでの発掘などで、寺にまつわるさまざまな史料が発見され、境内の一角に建てられた法輪館(収蔵庫)ではその一部を見ることができます。また、元興寺では寺独自の文化財研究所を設立し、文化財保護の研究も進めています。拝観するにあたって、これまで経てきた時代の流れや人々の思いを知っておけば、より深く元興寺の魅力を知ることができるでしょう。
飛鳥寺(あすかでら)は、奈良県高市郡明日香村にある寺院。現在は安居院という。蘇我氏の氏寺である法興寺(仏法が興隆する寺の意)の後身である。本尊は「飛鳥大仏」と通称される釈迦如来、開基(創立者)は蘇我馬子である。山号を鳥形山(とりがたやま)と称する 。現在の宗派は真言宗豊山派。新西国三十三箇所第9番札所。
ならまちは、近鉄奈良駅から徒歩十数分ほど、奈良の街歩きスポットとして人気が高いエリア。その魅力は、江戸時代末期から明治、大正にかけての古い町家が残る街並み。そこでは昔からの商家が伝統を受け継いでいる一方、こだわりを感じさせる新たなショップやカフェが、古い町家を利用して次々に誕生。歴史ある趣と新たな発見のコラボが多くの人を引きつけています。ならまちの町家のまず第一の特徴は、格子の外観。外からは見えにくく、中からは外が見えるという昔の人の知恵です。また、間口が狭く奥行きが深い造りにも注目。間口が狭いのは、間口の広さによって税金がかけられたからだとか。また、誰もが「表通りに面して住みたい」と願ったことから、こんな家割りが行われたともいわれています。こうした町家の内部を無料で公開している施設もあります。その一つが「ならまち格子の家」。中に入ると、“うなぎの寝床”ともいわれる細長い家の造りを実感できます。階段を有効利用して引き出しにした箱階段や、風情ある中庭も。このならまち格子の家は古い町家2軒を合体しており、保存公開している町家の隣には、情報提供のほか、イベントや休憩ができるスペースも。散策の途中でひと息つく場所としても利用できます。
馬見丘陵に存在する馬見古墳群の保全と活用をするために、奈良県土木部が1984年(昭和59年)に奈良公園に次ぐ県内2番目の広域公園として事業に着手した。計画面積65.3ha(ため池・古墳を除くと56.2ha)の内、2008年(平成20年)3月末の時点で、47.1haまで事業が進んでいた。2012年(平成14年)6月、中央エリア及び南エリアの一部を開園し、全面開園した。園内は、緑道エリア・北エリア・中央エリア・南エリアと大きく4つに分かれており、北エリアと中央エリアは離れているが連絡道があり、行き来する事が出来る。馬見古墳群内に位置する公園のため、園内に多数の古墳が存在する。入園は無料であり、付属の駐車場も無料である。しかし、駐車場は年間を通して8時開場、閉場は通常期18時、6月〜8月は19時、11月〜2月は17時となっている。駐車可能台数は臨時を含めると822台だが、休日は近隣住民やハイキングなどで賑わうため満車となる事もしばしある。
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