金沢の観光地として有名な兼六園は、もともと加賀藩前田家の居城「金沢城」の庭としてつくられたものです。庭があれだけ広大なのですから、居城の金沢城はさぞやと思われるでしょうが、残念ながら建造物のほとんどは度重な
金沢の観光地として有名な兼六園は、もともと加賀藩前田家の居城「金沢城」の庭としてつくられたものです。庭があれだけ広大なのですから、居城の金沢城はさぞやと思われるでしょうが、残念ながら建造物のほとんどは度重なる火災により失われてしまいました。
重要文化財である石川門や三十間長屋(さんじっけんながや)など、焼失を免れたほんの一部が江戸時代の遺構として残り、金沢のシンボルとして守られてきました。歴史の表舞台からは退いた時代が長かった金沢城ですが、平成になってから「河北門(かほくもん)」「菱櫓(ひしやぐら)・五十間長屋(ごじっけんながや)・橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)・橋爪門」「玉泉院丸庭園(ぎょくせんいんまるていえん)」などが、絵図や文献などをもとに忠実に復元され、在りし日の金沢城を目にすることができるようになったのです。
巨大な復元城郭がそびえる様は圧巻で、歴史好きでなくともテンションが上がります。なかでも3年4カ月もの歳月をかけて復元された「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」は明治以降に建てられた木造城郭建築物としては全国最大規模を誇り、内部の見学も可能(9:00-16:00、320円)です。釘やボルトを1本も使わず巨大な建造物を築いた匠の技や、菱形の櫓を造るために菱形の柱を使った工法など、高度な技術には目を見張るものがあります。
城郭と公園の復元や整備は現在も進められており、最近では2017年に全面ガラス張りで城郭を一望できる休憩所「鶴の丸休憩館」が完成しました。和カフェ「豆皿茶屋」も併設しており、食事から加賀棒茶や金沢珈琲、金箔ソフトまで、金沢らしい味わいが楽しめます。
また金沢城は全国でも屈指の多種多様な石垣が見られることから「石垣の博物館」とも言われています。園内には石垣だけを展示・解説する一画もあり、その奥深さに驚かされます。
嬉しいのは、毎週金曜と土曜、祝前日の夜などにライトアップされた園内を夜間開園(日没-21:00まで)している点。週末の旅行ならぜひ足を運んでみましょう。周囲には多くの有料駐車場があるので、広大な公園のどこから入って何を見るのかを、あらかじめ決めて入園するといいかもしれません。
これほど見どころに富んでいながら、入園が無料なのも魅力です。