堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島でひと際目を引くのが、大阪市中央公会堂。建物は地上3階・地下1階建ての重厚なネオルネッサンス様式の鉄骨煉瓦造りで、2018年には開館100周年を迎えました。
目を凝らし
堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島でひと際目を引くのが、大阪市中央公会堂。建物は地上3階・地下1階建ての重厚なネオルネッサンス様式の鉄骨煉瓦造りで、2018年には開館100周年を迎えました。
目を凝らして建物の上をよく見ると、正面アーチ屋根の上に一対の像があります。工業の神「ミネルバ」(右)と商業の神「メルキュール」(左)で、大阪の発展の願いを込めて設置されたものだとか。
ところで、この建物は一人の大阪人、岩本栄之助の寄付によって建てられたものです。岩本は大阪の両替商の次男として生まれ、家督を相続して株式仲買人となりました。1907(明治40)年の株の大暴落前には全財産を投じて売り方に回って、北浜の仲買人らを救い、「北浜の風雲児」と称えられた人物です。
父の死後、その供養を兼ねて100万円を大阪市に寄付。その使い道が誰もが利用できる公会堂の建設だったのです。1913(大正2)年に着工し、1918(大正7)年に竣工。しかし、岩本は1916(大正5)年の相場で大損失を出し、周りの寄付の一部を返してもらったらという声に「一度寄付したものを返せというのは大阪商人の恥」と拒否し、同年10月22日、自死を図りました。大阪市中央公会堂地下1階には展示室が設けられ、銅像や遺品が展示されているので、ここもお見逃しなく。
現在もオペラやコンサートの他、著名人による講演会なども数多く開催され、大阪の文化・芸術の発展に深く関わっています。国の重要文化財にも指定されている公会堂ですが、イベントや会議、セミナー等で利用できる部屋の貸出も行っています。また、地下1階には公会堂ショップやレストランなどがあり、気軽に利用できます。
定期的に開催されている館内ガイドツアー(500円)では、部屋そのものが芸術品といわれる「特別室」も見学できます。ツアーはお土産付きで、ランチがセットになったコース(2,500円)もあります。