奈良を訪れる観光客の多くが足を運ぶ
奈良公園。その東側に位置しているのが、世界文化遺産にも登録されている春日大社です。
その昔、奈良に都が移された頃、護国繁栄を祈るために、現在の春日大社の背後にあたる御蓋山(み
奈良を訪れる観光客の多くが足を運ぶ
奈良公園。その東側に位置しているのが、世界文化遺産にも登録されている春日大社です。
その昔、奈良に都が移された頃、護国繁栄を祈るために、現在の春日大社の背後にあたる御蓋山(みかさやま)へ、武神・雷神でもある武甕槌命(タケミカヅチノミコト)をお迎えしたと伝わっています。そして768年、称徳天皇の命でこの地に社殿を造ったのが春日大社のはじまりなのだそうです。
武甕槌命とともに国を平和におさめる力を持つ武神、経津主命(フツヌシノミコト)、最高の知恵を持つといわれる司祭神の天児屋根命(アメノコヤネノミコト)と比売神(ヒメガミ)の夫婦神という四柱が祀られ、合わせて春日皇大神(カスガスメオオカミ)として信仰を集めてきました。
古くは平安時代から現代まで三千基にも及ぶ奉納燈籠が、人々の信仰の厚さを物語っています。また、3月13日に行われる神社の大例祭、春日祭は、平安時代から勅使も詣でる日本三大勅祭の一つ。今もなお、国の安寧、発展を祈る神社であり続けているのです。
もう一つ、春日大社の大きな祭りが、12月の春日若宮おん祭。本殿の天児屋根命と比売神の御子神を祀る若宮神社の例祭で、平安時代から続き、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
南門を入って正面にある参拝所から、さらに白砂の庭と中門を隔てて建つ春日造の本殿は、古代から20年に一度行われてきた式年造替によって常に美しさを保ち続けています。一般の人は本殿に入って参拝することはできませんが、特別参拝(500円)では、中門越しに本殿を垣間見たり、影向門の外の御蓋山浮雲遥拝所や樹齢千年の大杉なども巡ることができます。また、古来から御神殿に納められてきた宝物を鑑賞するなら国宝殿(拝観料500円)へ。平安時代の品が数多く所蔵され、「平安の正倉院」とも呼ばれる一級品ぞろいにため息がもれます。
春日大社へは、JR奈良駅・近鉄奈良駅からバスで国宝殿前まで行くこともできますが、ぜひ長い参道も歩いてみたいもの。江戸時代などの日付が刻まれた石燈籠が並ぶ道は、大きな杉の木立に囲まれ、荘厳な雰囲気。春日大社とともに世界遺産となった
春日山原始林の一端に触れるような空間も、ぜひ味わいたいところです。