平等院がある宇治は、古来、奈良や滋賀を結ぶ交通の要所として、政治的にも重要な役割を果たしていた地域。そして平安時代には栄華を極めた大貴族、藤原氏の別荘地として栄えました。
平等院が開創したのは
平等院がある宇治は、古来、奈良や滋賀を結ぶ交通の要所として、政治的にも重要な役割を果たしていた地域。そして平安時代には栄華を極めた大貴族、藤原氏の別荘地として栄えました。
平等院が開創したのは1052(永承7)年。この年は、仏の教えが弱まり正しく伝わらなくなる末法の初年に当たるとされ、現世での救済が叶わないことから社会全体の不安が高まり、あの世へ救いを求める浄土信仰が盛んになりました。そして藤原頼通が極楽浄土のような空間をつくるために父、道長の別荘である宇治殿を寺院に改めたのです。
正門から入ると極楽浄土の世界を模した浄土式庭園が広がっていて、阿字池(あじいけ)の中央に建っているのが国宝の鳳凰堂です。
お堂全体を正面から見ると建物がシンメトリーになっており、翼を広げたような姿は10円硬貨にも刻まれています。
堂内に安置されているのは本尊の阿弥陀如来坐像。平安時代後期に活躍した大仏師・定朝(じょうちょう)の作品で、おだやかさと威厳を備えた姿は仏像彫刻の理想像とも讃えられています。
また堂内の壁に懸け並べられた雲中供養菩薩像は、雲に乗って楽器を演奏したり優雅に舞を舞ったりなど、ユニークな仕草や表情は見ごたえがあります。
南門の近くにある併設のミュージアム鳳翔館では、26躯の雲中供養菩薩や1万円札にも描かれている初代の鳳凰像など、多数の国宝を展示しています。
また、日本を代表するお茶どころでもある宇治を訪れたら、やっぱり宇治茶を味わいたいもの。
平等院の境内にある日本茶専門店「茶房藤花」で宇治茶をいただきながら、ひと休みしてみるのもいいですよ。