温泉の神様、少彦名神(スクナビコナノカミ)を祭神とする古社「湯前神社」。本殿には奉納した名だたる温泉宿の名が刻まれていて、いかに地元の人々の信仰が篤いかをうかがい知ることができます。
神社に残る伝説に
温泉の神様、少彦名神(スクナビコナノカミ)を祭神とする古社「湯前神社」。本殿には奉納した名だたる温泉宿の名が刻まれていて、いかに地元の人々の信仰が篤いかをうかがい知ることができます。
神社に残る伝説によると、749(天平勝宝元)年に神様から「病を除く効果がある温泉がある」とのお告げを受け、そのお礼として祠を立て、温泉の神様を祀ったのが起源とか。かつてはこの地に湧く湯が熱海の源泉とされ、江戸時代に「御汲湯」として江戸城へ献上したと伝わっています。この古式にならい、春と秋の年2回、湯汲み道中などが再現される例大祭が行われます。
境内では本殿のほか、熱海市の文化財に指定されている石鳥居と2基の石灯籠にも注目。いずれも、江戸時代にこの地に湯治した大名が寄進した歴史的な石造物。熱海の名湯ぶりが全国に広まっていたことを知る、貴重な史料です。本殿横では、鎌倉幕府3代将軍、源実朝が熱海の湯を讃え記したという歌碑を見ることもできます。