早雲寺

箱根の玄関口である箱根湯本駅から歩いて15分ほど、旧東海道沿いに山門を構える早雲寺。うっそうと木々が生い茂る早雲寺林に囲まれていて、駅前のにぎやかさから一変、閑静な地にあります。豊かな箱根の自然と歴史ロマンを感じることができます。

こちらのお寺は、小田原を拠点として戦国時代に関東地方を支配した北条五代を弔う菩提寺。五代にわたって勢力を拡大した戦国大名である北条氏の初代、北条早雲の遺命によって、嫡男の氏綱が1521（大永元）年に創建。五代にわたるお墓が境内に残されています。

壁に囲まれた中門をくぐると、江戸時代に建てられた銅葺入母屋造りの堂々とした姿の本堂に迎えられます。天下統一を果たした豊臣秀吉による小田原攻めの際に消失しましたが、江戸時代の寛政年間に再建。江戸初期の寺院建築を見ることができる、貴重な存在となっています。

本堂や墓所とともに見どころとなっているのが、本堂裏手にある庭園（見学自由）。山の斜面に大小の石を配しており、当時を代表する文化人として知られる北条長綱（初代早雲の四男）が安土桃山時代から江戸時代初期に作庭したと伝わる古山水であり、「香爐峯（こうろほう）」と名付けられています。

本堂手前にある梵鐘も、歴史ファンならずとも必見のスポット。鎌倉時代末期に造られたもので、秀吉が築いた伝説の名城、石垣山一夜城の陣鐘として使われたものと伝わっています。