【京都/祇園・清水】老舗・京料理懐石の名店20選(予算1万円以上)
全国の美食家たちが一度は訪ねてみたいと願うグルメエリア祇園・清水。数多くの名店が軒を連ねる、日本屈指の美食スポットとして知られています。伝統に重きを置いた京料理の懐石や、ハイレベルな料理を堪能したいグルメな方へ向けて、人気の名店をピックアップしました。
京都には、懐石や京料理はもちろん、おばんざいやにしんそば、湯葉、鰻など、さまざまなジャンルの料理があります。トラベルコでは、観光で訪れたら必ず食べたい名物グルメの人気店をセレクト。予算1万円以上の高級料理を味わえる名店から、予算1万円以下の人気レストランまでを一挙にご紹介します! この記事をたよりに、祇園の名店を訪ねる旅を計画してみませんか?
※調査日時点の情報です。店舗の状況により営業時間や料金が変更になっている場合があります。訪問前に必ず各店舗の公式サイト等で最新情報をご確認ください。
全国の美食家たちが一度は訪ねてみたいと願うグルメエリア祇園・清水。数多くの名店が軒を連ねる、日本屈指の美食スポットとして知られています。伝統に重きを置いた京料理の懐石や、ハイレベルな料理を堪能したいグルメな方へ向けて、人気の名店をピックアップしました。
特別な日に訪れたい、最高級の一軒
京都の吉兆で修業を積んだ日本料理界のレジェンド、石原仁司氏が営む京懐石の店で、円山公園の緑に包まれた静かな場所にあります。「料理の一品一品を最高のタイミングで提供し、未在流の茶懐石を最後まで余裕をもって召し上がっていただきたい」という思いから、18時に一斉スタートし、約3時間かけてもてなすという独自のスタイルを貫いています。
店名は、禅語で「未だ此処に在らず」。限りがないという意味で、向上心を常に持ち続ける石原氏が長年座右の銘として心に刻んできた言葉です。料理は折敷にご飯、汁物、向付の茶懐石の形式で始まりますが、茶懐石の作法を心得ていなくても大丈夫とのこと。季節感を大切にした料理の数々はもとより、器との調和、細部までこだわりを込めたしつらえなどすべてが格別です。予約は一年前から可能。特別な日に訪れたい一軒です。
今日のお店は京都、いや日本の最高峰の1つといっても過言ではないでしょう。
京都は円山公園の近く、懐石料理「未在」さんです。
ミシュラン京都6年連続三つ星獲得。
食べログ4.6越え。
予約1年2年待ちは当たり前。
普通なら一介のサラリーマンである僕がいけるお店ではないのですが、この度ご縁をいただきまして念願の訪問。
写真は外観や店内のしつらえなどのみ撮影可能ですが、お料理の撮影は禁止。
吉兆の総料理長を務め上げた石原氏によるお料理の数々は繊細かつ絢爛。
インスタ映えなんてやすい言葉の使用は憚られますが、写真撮れないのは残念・・
店名は、料理の道に終わりは無く、常に道を追求していくという意味だそう。かっこよすぎ。
15席のカウンターはピンと張りつめた空気に包まれ。
みなさん、18時の一斉スタートを緊張と期待の面持ちで待たれています。
コース40,000円也
お料理はコースのみ。
お値段は40,000円也。
過去最高額です。
「未在で食べた」というブランドはありますが、お料理の方も値打ちあります。
食前酒
青谷の上州白の自家製梅酒
シャリシャリの氷が冷たくて気持がいいです!
この日は蒸し暑かったので嬉しい。
茶懐石の始まり
最初だけ店主から茶懐石の作法の説明があります。
まずは折敷に乗った出来たての白ごはんとおつゆを交互にいただきます。
白ごはんは石原氏の生まれである島根県の仁多米を柔らかく炊いて、甘さを楽しみ。
汁は八丁仕立てで破竹と煮山椒で香りよく。
そしてここでお酒を一献。
伏見の純米大吟醸「未在」
蔵元に特注されているそうです!このほかにも「未在」の名前のお酒は何種類かありますよ!
向付
ここからは自由に料理を楽しみます!
水無月豆腐
胡麻豆腐の上には6種類のお豆さん。
半年間無事に過ごしたことへの感謝と、これからの半年を無事に過ごすことを祈願する意味を込めて。
下には煮こごりで旨味ダシのジュレがひいてあります。豆腐と絡めていただきます。
純銀のサジはこのためにつくったものらしい。
赤芋茎の酢の物が添えてあります。
白ゴマたっぷりの爽快な小皿です!
お造り
まずは、いかさ(イカの刺身)から。
対馬の剣先イカに細かい包丁を入れてあります。
口に入れた瞬間のトロけかた。そして甘味。
抜群。
胡麻和えしたイカの耳と、おかひじきが添えてあり、食感の違いを楽しめます!
生姜と塩酢で食べるのが未在流でした。
そして刺身盛り!
大きな鉢で出てくる刺身盛りは一つ一つに薬味が添えられて、付け合わせの野菜も珍しいものばかり。
豪快かつ繊細。
愛媛のタイは玉じめのごま油と鯛の肝を絡めて。
プリプリの鯛の甘さに香り良いごま油、さらに肝の旨味の怒涛。
房総のカツオは藁焼きにして香ばしく。
九条ネギと生姜、珍しい野菜であるロックチャイルを添えてシャキッとアッサリと。
愛媛ハモは軽く霜降りにしてレアで。
青のりと梅肉新生姜の2種類の薬味で食べ比べ。
193キロモノの壱岐のマグロは京都の辛味大根おろし、昆布と醤油の煮こごりで。
とろける甘味と辛味大根はナイスバランス。
醤油の煮こごりも面白い!
アジら淡路島極みという品種。
かるくしめて生姜と特製ポン酢!
さらに、針ネギ、長芋、エゴマの葉、アイスプラントを添えることで、魚ばかりでモタレないように気配り。
椀盛
汲み上げ湯葉と鮎のしんじょ。
お酒のアテになるお椀です。
鮎の骨せんべいが添えられていて、サクサクと小気味の良い食感。
焼き物
奥出雲の黒毛和牛のステーキ!
どうやったらここまで柔らかくなるのだろう・・驚かされます!
さらにニホンミツバチの蜂蜜と実山椒をつかったソースが甘いのにスパイシー!
高嶺の朝摘み青トマトのソテーとインカの目覚め、新玉ねぎのソース、天然クレソン、丹波からしいれた野菜が添えられてます。
和え物
スナップえんどうのすりながしにえんどうのピューレとツル。
えんどう豆そのものの甘味を最大限に活かしてます!
マイクロトマトとエビが食感の変化を演出!
八寸
未在さんの玄関をイメージさせる茅の輪くぐりの八寸。
・鮎のおかき揚げは蓼の葉といっしょに。
・柔らかい鴨マスタード
・ハモとエビのすり身の卵焼きは桜で燻して香りよく。
・桜海老のおかき。
・とろろ昆布とハモの肝と浮き袋をつかった煮こごりに山椒をきかせて。
・さつまいもの甘露煮。
・たけのこのヒメカワのピュレとじゅんさい。
・鯛の柿の葉寿司
・鮎の南蛮漬け
最後に山桃を添えて後味さっぱり。
情報量多くて舌も脳もオーバーヒート気味!
油物
そら豆のコロッケは一口サイズの可愛いヤツ。ホクホク素材の味。自家製ソースがまた優しい。
島根県の本バイ貝を添えて。
焚き合わせ
賀茂茄子の揚げ浸しには枕崎の本枯れ節をたっぷりかけて。
賀茂茄子は炭焼きにしてからアナゴの白焼き、パプリカ、満願寺、と具沢山の揚げ浸し。
強肴
伊勢の鮑の身と肝のジュレじたて。
アワビのにこごり、ナルトのわかめ、伊勢平貝しそ和えを添えて。
キュウリの塩和えもあっさり。
幻のマスに黄身おろしと山椒を効かせて。
山椒の使い方に脱帽。
赤い金蓮花の花を添えて彩も抜群。
湯桶
焦がし湯(おこげのお湯)の湯漬け。
おこげの香りが鼻をくすぐります。
ふんわりええ香り。
香の物
山芋、冬瓜、キュウリ、すぐき、ミョウガ、ナス自家製のお漬物たち。
水物
三盆糖の青竹流しの水羊羹。
八阪神社の御神水でたてた抹茶と一緒に。
甘さと苦さ。丁度。
デザートもめっちゃ多いです。
山梨さとにしき、ワシントンのレーニアチェリーのさくらんぼ食べ比べ。
ライチ、天草晩柑のゼリー、和歌山のブルーベリーとマンゴーを味わい。
さらに果物の寄せもの。
なんとこのコース全てで果物58種類を使用しているとのこと。
丁寧に皮を剥かれ、たねを取られ、下ごしらえされた果物たち。
ステビアの葉を添えて甘みのアクセント。
まだデザート!なんと四品目。
甘夏のシャーベットにグラッセを乗せ、下にはジュレ。甘酸っぱい優しいシャーベット。
ここでコースは終了。
ほんまにお腹パンパン。
普段から色んなお店で食べまくってますが、ここまでいっぱい出てくるコースは初めてです!!
茶懐石の最高峰は味、風格だけでなく量も群を抜いてました・・!!
京都の料亭として国内外に抜群の知名度を誇る一軒です。3代目主人村田吉弘氏曰く「料亭の基本は飯屋。普通の人が普通に働いて、人生の節目の日に少しだけぜいたくな気分を味わえる、そんな店でありたい」という思いから、昼懐石には1万円台のコースも用意されています。
店名は、豊臣秀吉の正妻・北政所が茶の湯に使った「菊水の井」を、店主の祖先が守っていたことに由来します。京料理の要となる出汁は、この井戸から汲み上げる水と、北海道の利尻昆布、削りたてのかつおを合わせて取っており、まろやかで奥深い味わいです。料理は、質素さのなかに趣を感じる「侘び寂び」に美しさを備えた「きれい寂び」を心がけており、伝統を継承しながらも新しいアイデアを盛り込んでいます。八坂神社や高台寺も徒歩圏内の京情緒豊かな立地も魅力で、料亭デビューにおすすめです。
創業1912年の歴史ある和食の名店。
京都の和食屋さんといえば、カウンター席で大将とお弟子さんの掛け合いを楽しみながら食事するお店が多いですが、こちらのお店は個室でゆったり食事をいただけるようになっており、これはこれで良さがあります。
今回いただいたのは、昼の懐石コース。弥生の献立はひな祭りの季節ということもあって、華やかな初春を感じる食材が勢揃い。美しいお重に詰めた八寸から感動の連続で、特にとろける食感の蛸柔らか煮や、うどや筍などを使用した香り豊かな木の芽和えが最高です。
弾力のあるイカや明石鯛のお刺身、滋味深く意外と食べ応えもある蛤真薯、ふっくらとした食感とカラスミのサクサクした食感が見事に融合した甘鯛のカラスミ粉焼き、冬と春をつなぐ鰆と海苔の鍋料理など、どれも日本料理ならではの食材を十二分に活用した料理ばかりでした!
締めのちらし寿司や、フレンチ料理のようなきのこスープ、スイーツのマンゴーソルベや桜餅に至るまで、非の打ち所がないコースだったので、ぜひ訪問してみてください。
ごちそう様でした!
祇園のメインストリートである花見小路からすぐ、お茶屋や料理店が軒を連ねる石畳の路地にのれんを掲げる炭火割烹の店です。京料理の老舗で料理長を務めていた山本典央氏が、炭火の魅力を知ってもらいたいと2005(平成17)年に開いた店で、オープンから6年後、現在の場所に移転しました。食材も店も、そのままではなく何かひと手間加える、つまり「息を吹きかける」ことで、より満足が得られるようにとの思いが店名に込められています。
坪庭を望むカウンター7席と個室を備えた店内は、和モダンな雰囲気。中央に据えた焼き場の炭火を活用し、オリジナリティあふれる京懐石を提供しています。食材選び、食材一つ一つを見極めて行う丁寧な下ごしらえ、火入れなど、料理を作るすべての工程に手間暇を惜しみません。営業は夜のみ、コース仕立てとなっています。
花見小路から一筋離れた西花見小路にある割烹料理店です。格子戸を開けると打ち水でしっとりと濡れた石畳が玄関まで続いており、趣深い光景に胸が高鳴ります。店内は、網代天井に仕立てた端正なカウンター席、坪庭を望む個室など凛とした和の趣をたたえています。
老舗旅館で料理長を務めた経歴をもつ店主は、茶懐石の心を大切にすることを信条としています。野菜から調味料に至るまで、無農薬のものを中心に使用し、素材が本来もつ味わいを感じられるよう、一品一品心を込めて提供しています。また、料理と合うよう特注した器を使って季節感を表現した盛り付けを行い、目でも楽しめるような工夫がなされています。ランチは、先付(温菜・冷菜)、椀物、向付、凌ぎ、焼物、八寸、後吸、御飯、水物で構成された、1万円台のコースも用意されています。
友禅の絵付師をしていた祖父に導かれ、幼い頃から日本料理や一流の粋にふれてきた西川正芳氏による京懐石の店です。京都の名店での修業を経て2009(平成21)年、下河原通に店を構えたところ、わずか1年余りで著名なグルメガイドにおいて星を獲得し、またたく間に人気店となりました。
料理は和食の伝統を礎に、食材のひとつひとつと対峙しながら、四季折々の節句を意識した一皿を作り出しています。季節や味わい、器選びはもちろんのこと、温度のバランスまで吟味しています。通常コースのほか、同じ内容で量が少なめのライトコースも用意されており、小食の人にも喜ばれています。料理との相性を考えてセレクトされた日本酒、シャンパンやワインなどアルコール類のほか、釜炒り緑茶、宇治の碾茶、玉露ほうじ茶などノンアルコールのドリンクも充実しています。
京都に多数店舗のある日本料理店の中でも、トップクラスの人気を誇るこちらのお店。
大将のユーモア溢れる会話も素晴らしく、途中たまたま電気が消えるハプニングもありましたが、その状況でも笑っているお客様ばかりで、客層の品の高さを感じました。
今回は人気メニューのお昼の懐石料理を注文。マスを家に見立てて、福のお皿を中に、鬼のお皿を外に配置することで、節分をイメージされたという遊び心のある先付け。そこからコースが始まり、透明なのにお出汁の味をしっかりと感じる椀物や、鰤の炙り焼きと大根の煮込みを合わせたぶり大根風の魚料理、ほくほくの炊き立て土鍋ご飯に、スッキリとした苺のシャーベットまで、どの料理も非常に丁寧に調理されていて絶品でした!
有名店にしては珍しく、ネットでランチ予約が可能なので、ぜひ訪問してみてください。
ごちそう様でした!
味:★★★★★
価格:★★★☆☆
接客:★★★☆☆
清潔感:★★★★☆
高台寺土井や高台寺和久傳など有名店での修業を重ねた丸山嘉桜氏が、1988(昭和63)年に開いた料亭「祇園 丸山」。京都らしい美しい町並みを今も残す祇園南の名店です。数寄屋造りの店構えは凛とした空気を漂わせていますが、玄関の先に続くアプローチは打ち水で清められ、訪れる客をあたたかく迎えます。1階はカウンター席と掘りごたつ式の席、2階は個室が用意されており、部屋のしつらえや掛軸、さりげなく飾られた花に至るまで、「食の総合演出家」と称される店主のもてなしの心が感じられます。
料理は、春のタケノコ・夏の鮎・秋の松茸・冬の松葉ガニなど京都ならではの旬の食材を使用。伝統を大切に守りながらも進化し続ける手業により、素材の味わいが存分に引き出されています。光、音、香りなどの五感を潤す料理の数々を堪能しましょう。
美しい透き通ったお出汁と柚子の香り、鱧の食感が合わさった椀物や、身がふわっと柔らかい鰆の柚庵焼き、京野菜をふんだんに使用した炊き合わせなど、京都らしい食材と上品なお出汁を堪能できる名店です!
味:★★★★★
価格:★★★☆☆
接客:★★★★☆
清潔感:★★★★☆
京都最古の禅寺建仁寺の勅使門を経て、八坂の塔へと続く八坂通にのれんを掲げる料亭「建仁寺 祇園 丸山」は、1988(昭和63)年の「祇園 丸山」開業から10年後にオープンした姉妹店です。1階は掘りごたつ式の席、椅子も使える座敷席、裏千家の茶室「⼜隠(ゆういん)」を写した本格的な茶室・無雙庵(むそうあん)を備えています。また、2階にも椅⼦が使える座敷席が3部屋あります。
4月は京タケノコ、5月は明石産桜鯛、6月から8月にかけては天然鮎や淡路産鱧、9月から10月は松茸や子持ち鮎など旬の素材を最大限に生かした料理の数々が提供されます。たとえば、初夏なら旬の鮎を客席の目の前で炭火を使って焼き上げるなど、目で見て楽しく、香りや音を感じられる工夫がなされています。昼夜ともに子ども用のミニ懐石もあり、家族で利用できる貴重な一軒です。
2022(令和4)年、京情緒が香る祇園南の一角にオープンした日本料理店「凌霄(りょうしょう)」。店名は、「天高く、志(料理)を極めていきたい」という思いを込めて命名されました。数寄屋建築の匠「中村外二工務店」監修による店内は、和と洋がほどよく融合した上質なしつらえで、ケヤキの一枚板を使ったカウンターの席のほか、4名から8名まで可能な個室一室が用意されています。
料理長が腕を振るう繊細な料理は、昼の部、夜の部ともに一つのコースのみというシンプルなスタイル。その日に仕入れた季節の食材を生かした、お任せのコースとなります。また、料理に合わせるお酒にもこだわり、ソムリエが厳選する希少な蔵出しワインや日本酒と、料理とのマリアージュも楽しみのひとつです。歴史ある祇園で、新感覚の日本料理のスタイルを創り出す「凌霄」に注目しておきましょう。
祇園北側にのれんを掲げる「八寸」は、京都の伝統的な料理が楽しめる本格割烹です。1945(昭和20)年、かつて京都と大津の間にあった名料亭で腕を磨いた久保田守氏が開業した店を、現在はバトンを受け継いだ2代目が守っています。
店内は、木の温もりが感じられるヒノキの一枚板のカウンター席のほか、掘りごたつ式の個室も用意されており、ゆったりと過ごせる造りとなっています。素材に肉は使わず、魚介と旬菜を主軸に構成。夏は天然のウナギ、秋は丹波の松茸、冬は間人(たいざ)のカニなど四季折々の食材を厳選し、魚介は信頼を寄せる魚屋から毎日仕入れています。丁寧な下ごしらえ、伝統的な技法で調理された料理の数々は、日本料理の真髄を感じさせます。店名と同じ八寸をはじめ、ひと品ごとに技とセンスが光る優雅な盛り付けや器づかいにも注目です。
お出汁にこだわった正統派の人気和食店。
お料理の素晴らしさはもちろんのこと、明るく楽しい接客も魅力的で、食材へのこだわりや周辺の人気店に関する話など、話題は尽きませんでした。
今回は人気メニューのおまかせ会席を注文。5年近く天日干しした天然の昆布から取れる出汁は、養殖のものとは違って雑味がなく、深みのある味わいで絶品です。こだわりの出汁をベースに作った椀物や、出汁をたっぷりと吸った大根など、どの料理も想像以上に素晴らしく、人気なのも納得のクオリティでした!
炭火でじっくりと焼いた鰆も、身がふっくらとしつつ適度に脂が乗っていて食べ応え抜群、他にもお刺身や、八寸、締めのご飯に至るまで、どの料理も美味だったので、ぜひ訪問してみてください。
ごちそう様でした!
味:★★★★★
価格:★★★☆☆
接客:★★★★★
清潔感:★★★★☆
花見小路の一筋西に構える懐石料理店です。店主の福士卓義氏は、神奈川奥湯河原の高級料亭旅館や東京銀座の割烹料理店などで修業を重ねた後、京都の老舗京料理店へ。研ぎ澄まされた技が評価され、7年間料理長を務めた経歴をもちます。2017年に独立、「あらゆる人やあらゆるものに心をもって接する」という意味を込めて「福志」と名付けた店を開業しました。
茶室を思わせる数寄屋造りの店内は、ヒノキの一枚板のカウンターを中心に、テーブル席も用意されており、落ち着いた雰囲気が漂います。
日本料理の伝統的な技と守りながらも、あふれだす柔軟な発想を取り入れた料理は、季節の歳時記や客に合わせて提供しており、華やかでいて繊細。料理との相性を考慮して厳選された京都の地酒や全国各地の銘酒、ワインとともに、心ゆくまで口福な時間を楽しみましょう。
祇園を流れる白川の畔、巽橋(たつみばし)のほど近くにのれんを掲げる「のぐち 継(つなぐ)」。予約を取るのが困難な店としても知られる上京区「京天神 野口」の2号店として2019年にオープンした割烹料理店です。店名には、本店の味を受け継ぐ、料理人と客を繋ぐ、客同士を繋ぐ、という3つの「つなぐ」への思いを込めています。
本店の味や思いを継承しつつ、料理長の地元である長崎県五島列島の食材を使い、本格派割烹に遊び心をプラスした料理が味わえます。名物は、A5ランクのサーロインのなかでも上質な肉質のものだけを使って作る「肉吸い」。脂の上品なうまみと甘みが感じられる逸品です。ランチやディナーは、この「肉吸い」を含む計3~6品に、ご飯とご飯のおとも、デザート、コーヒーが付くコース料理が基本となっています。もっと食べたい、そんなときには蟹しゅうまいや、塩麹地鶏唐揚げ、手打ち蕎麦などアラカルトの追加注文も可能です。
祇園北を流れる白川沿いにあり、スタイリッシュな白壁の建物が目を引く「鮨 楽味」。2階ウェイティングルームの窓には、川の畔を縁取る桜並木の四季折々の色彩がまるで一幅の絵画のように映ります。鮨を握るのは、名店「祇園さゝ木」に籍を置きながら東京「鮨よしたけ」でも修業を積んだ野村一也氏です。出汁を大切にする京都ならではの和食と、東京の豊洲や静岡の焼津から仕入れる旬の魚を使った江戸前鮨を提供しており、京料理と江戸前鮨の粋が見事に融合した、ここだけの味が楽しめると評判を呼んでいます。
ランチもディナーも一斉スタートの「お任せコース」のみで、赤酢と白酢の2種類を使い分けながら素材の旨味を引き出したにぎりをメインに、先付、造り、一品料理などが付いています。天然ヒノキのカウンターに座り、「一貫」とつづられた書を背に鮨を握る、職人の流麗な技を眺めるのも楽しみのひとつです。
お任せコースのみ、一斉スタートです。
懐石料理店だけあり、つまみのクオリティが
一般的な鮨屋のレベルを超えていますね!!
三十三間堂と清水寺の中間地点、馬町の渋谷通に「佳肴岡もと(かこうおかもと)」が店を構えたのは2013(平成25)年のこと。オープン1年目にして一ツ星を獲得し、話題を集めた割烹料理店です。京町家をリノベーションした店内は、白い壁、赤を効かせた木の椅子、桜の木のカウンターなど、温かみがあり、安らげる雰囲気です。
料理はディナーのみ、先付、酢の物、椀物、お造りなど全10品ほどのコースです。明石から直送される魚介、京都の契約農家から届く新鮮な野菜をメインに、丹精込めた料理が提供されます。名物は「鯖寿司」で、脂がのって身がキュッと引き締まった鯖に、京漬物として知られるすぐきを合わせているのが特徴的です。朗らかな店主の説明を聞きながら、会話を楽しむのもカウンター割烹の魅力のひとつ。酒好きの店主が自らセレクトした全国各地の銘酒も楽しいひとときに寄り添ってくれます。
1970年(昭和45)年、祇園南の閑静な町並みに店を構えた、鮨割烹の発祥とされる名店です。金沢の有名料亭で修業を積んだ二代目が先代からのバトンを受け継ぎ、丹精込めて作る京懐石と、お任せの握りを提供しています。職人技を間近で見ることのできる白木のカウンター席のほか、くつろげるテーブル席が用意されており、地元の常連はもとより、海外からの旅行客も訪れます。
毎日淡路島から届く鮮魚や、旬を迎えた新鮮な野菜など、選りすぐりの食材を生かして丁寧に仕上げる料理は、ランチ、ディナーいずれも付出3種、お造り、吸物、焼物、焚物、握り寿司、デザートの全7品のコース仕立てとなっています。日本酒、焼酎、ワインなど料理に合うさまざまなお酒も取りそろえており、どれも料理との相性がぴったり。アンティークの京焼きなど料理を彩る器づかいにも注目です。
祇園北側の路地にある町家割烹で、岐阜の有名料亭で修業した店主が「シンプルで真直ぐな料理を提供したい」との思いを店名に込め、2018年にオープンしました。 席は端正なカウンター席のみ、片隅に据えた大きな囲炉裏が目を引きます。旬の野菜や鮮魚、ジビエを焼くなど、目の前で繰り広げられる調理の臨場感にふれ、正面の窓に映る中庭の景色を愛でながら料理を待つ時間も楽しいものです。ランチ、ディナーいずれも先付け、煮物、造り、焼き物、揚げ物などで構成された「店主お任せコース」、「旬のお任せコース」、「特選お任せコース」を提供しており、工夫を凝らした料理が味わえます。
1994(平成6)年にオープン、味に定評のある料理店がしのぎを削る祇園南のなかでも名の知られた懐石料理店です。京都の野菜や瀬戸内海の鯛など新鮮な魚に、店主の卓越した技とセンスを掛け合わせ、季節に合わせた料理を作り出しています。営業は完全予約制でディナータイムのみ。9品ほどのお任せコースが月替わりで提供されますが、口どけのなめらかなごま豆腐と、開業以来の肉厚な鯖寿司は必ず登場する名物料理です。
町家を改装した店内には、カウンターのほか、掘りごたつ式の座敷、椅子の設置も可能な座敷の3タイプの席が用意されており、落ち着いた雰囲気に包まれながら京情緒が深まる祇園の夜を心ゆくまで堪能できます。また、名物の鯖寿司は手土産としてテイクアウトも可能。鯖寿司の上に大藤の千枚漬をのせた「八坂の雪」は、毎年10月から3月までお目見えする限定商品です。
嵐山に本店を置く京都吉兆が展開する日本料理店です。歌舞伎発祥地の南座が改築されたのと同時期の1991(平成3)年に「花吉兆」としてオープンし、後に店舗のリニューアルにともなって現在の名に変わりました。1階は京都生まれの和紙作家、堀木エリ子氏によるダイナミックな壁面装飾が目を引くエントランスとカウンター、2階は床の間や建具にこだわった純和風の座敷、3階は個室、最上階の5階は半個室となっています。フロアごとに著名な作家によるアート作品が飾られ、異なる趣を楽しめるのが魅力のひとつです。
料理は茶懐石をベースとし、伝統を重んじながらも時代に合わせて華やかに仕立てたコース料理を提供。また、上質な国産牛を使ったしゃぶしゃぶ懐石やすき焼懐石の鍋料理、造りや椀物、焼物、天ぷらなど単品料理もそろえており、シーンに合わせて利用できます。
祇園南に15年ほどのれんを掲げていた懐石料理店「閼伽井(あかい)」。2022年秋、高台寺や八坂の塔のある東山へ移転し、装いを新たに再スタートしました。魚はすべて天然物にこだわるなど、いちばんおいしい時期を選りすぐって素材を仕入れ、丁寧に仕込み、手間暇かけて料理を作り、美しく盛り付けるといったすべての工程を、店主一人で手がけているといいます。そうして目の前に供される料理は正統派の京懐石で、素材本来のもつ魅力が存分に引き出されたものばかりです。また、店で使用している花や葉物はすべて路地ものを使ったり、人間国宝による器で彩ったりと、料理まわりのものにも店主のもてなしの心が散りばめられています。
ランチ、ディナーいずれも完全予約制で、コースの内容は日替わりです。完全個室タイプの趣ある空間で味わうひとときは、まさに贅沢の極みです。
祇園の花見小路通に構える京料理の名店「杢兵衛(もくべえ)」。です。1928(昭和3)年、材木商を営んでいた初代が大阪に店を開いたのが始まりで、京都の下鴨を経て、1964(昭和39)年に現在地へ移転しました。初代の思いを受け継ぐ4代目が数寄屋大工に依頼し、2019年、屋号の元ともなった「木」を重視した美しい空間に生まれ変わりました。店内には樹齢三千年という台湾ヒノキの一枚板のカウンター席を中心に、テーブル席、2階の個室席敷があり、京唐紙や四季の掛軸が趣を添えています。
料理は京料理の古き良き伝統を守りながらも、新しい感性を取り入れ、時代に合ったものを提供しています。こだわりは、店主自ら毎朝市場へ足を運び、京都の地場産食材や、全国から取り寄せた旬の食材を選りすぐって仕入れていること。また、ブナや桜、花梨などその時々のさまざまな木で作られた箸も名脇役として料理を引き立てています。
祇園北「割烹なか川」で腕を磨いた坂川浩和氏が独立し、祇園南の伝統的な町並みに潜む路地に開業。これまで多くの美食家をうならせてきた割烹料理店です。明るく穏やかな店主が迎えてくれる店内は、シンプルなカウンター席と小上がりの席を備えた和モダンな内装で、気負わずゆったりと過ごせる趣きが感じられます。
料理は、コース料理とアラカルトを提供しており、コースの場合は先付、造り、蒸椀、焼物、汁物、椀物、炙り物、揚物、御飯物、水物で構成しています。京都の旬を知り尽くした店主が吟味する食材は、手を加えるのを最小限にと心がけているため、素材本来のもつ輪郭やうまみが際立ちます。タケノコ、松茸のほか、天然物のもろこ、すっぽん、ぐじといった魚介など季節の移ろいを告げる料理に会えることを楽しみに、繰り返し訪れたくなる名店です。
祇園・清水エリアの名物グルメのなかで、予算1万円以下の人気店をピックアップ! 老舗や新規店を問わず、本当に人気の店だけを厳選しました。京料理はもちろん、おばんざいやにしんそば、湯葉、鰻、鯖寿司など、個性あふれる名店の数々をお楽しみください!
祇園南の路地にのれんを掛ける割烹料理店で、開業後たちまち美食家の間で話題となり、その名が広まりました。カウンターに立つのは、京都の名店で腕を磨いた辻義勝氏。
驚くべきは、料理の味を極めるために井戸の掘削を行ったことです。この井戸からくみ上げる軟水と利尻産昆布、鮪を使ってひく出汁は、透き通っていながら味は濃厚。椀種をほぐして味わった後の飲み心地まで考え抜いて仕上げているといいます。洛西・塚原のタケノコをはじめ厳選された食材を生かした一皿一皿に、京都の四季と京料理の伝統が映し出されています。
店の中心をなす桐の一枚板のカウンターや個室は、靴を脱いで畳に腰掛ける掘りごたつ式となっています。繊細な竹を生かした窓、廊下に飾られた季節の扇、とある寺院の庭園をイメージしたという坪庭など、美意識を随所に散りばめたしつらえも見どころです。
東山のシンボル、八坂の塔へと続く夢見坂の途中に店を構える割烹料理店「京料理 修伯」。色とりどりの「くくり猿」がSNSでも人気の八坂庚申堂が向かいにあり、京情緒あふれるロケーションです。カウンター席、テーブル席を備えた店内は、天井が高く、開放的な雰囲気に包まれています。
店主の吉田修久氏は、フランス料理を学んだ後、和食料理人に転身するという異色の経歴の持ち主。京都の食材を中心とした伝統的な京料理をベースにフレンチのテイストを吹き込んだ、独創的な料理を提供しています。食材とじっくり向き合いながら調理法を駆使した料理は盛り付けも華やかで、とくに20種以上の野菜を使用した前菜は、心が躍る一皿です。コースのラストを飾るデザートは、和と洋を合わせたものの中から選ぶことができ、女性に好評です。
1948(昭和23)年、東京出身の初代が京都に移り、牛テールの煮込みを創り上げたのが「安参(やっさん)」の始まりです。初代の技とスタイルを受け継いだ二代目が肉割烹へと昇華させ、現在は3代目が店を守ります。
祇園北に構える店内は、カウンター席のほか個室もあり、木のあたたかみを感じる和風の落ち着いた雰囲気です。テーブルや壁ではなく、吊り下げた提灯に「焼物 レバー」「造物 マーゲン湯引き」など品書きがつづられているのがユニークです。
料理のメニューは創業からほぼ変えていないといわれ、信頼のおける業者から仕入れる長野や九州の厳選された和牛を使用しています。肉本来のうま味を味わうため、生、焼き、煮込みの順でいただくのが定番です。とろけるような食感のタンの刺身、さまざまなホルモンを70年近く継ぎ足してきた出汁で炊く名物の煮込みなど、肉好きならぜひ訪れたい名店です。
八坂神社の西楼門から北へ、東大路通に店を構える「わしょく宝来(ほうらい)」。10年間修業を積んで腕を磨いた店主が「本格派の和食をリーズナブルな価格で楽しんでほしい」と、2016(平成28)年に開いた店です。和モダンな店内は、カウンター席のほか、掘りごたつ式の小上がりの席も用意されており、カウンターの椅子はゆったりと座れるソファタイプになっています。カウンター席と店主の立つ板場の間には隔てる壁がなくフラットになっているため、料理ができあがっていく臨場感を目の前で楽しめます。
壁に掛かる黒板には、その日の料理がつづられています。おすすめは、鮮度の高い魚を生かした寿司やお造り、和食の要である出汁をきかせただし巻き、ほろほろとやわらかな牛すじの煮込みなどです。ドリンクはビール、日本酒、ワイン、シャンパンなどひととおりのお酒がそろうほか、ひれ酒があるのもポイント。「コーヒー豆ぷりん」と「ごぼうあいす最中」は〆に味わいたい定番甘味で、他の店では見られない独創的な逸品です。
グルメ通な方からオススメしていただいて気になっていたお店。
カウンターと小上がりの個室が一つ、テーブルが1セット。
品の良い雰囲気の大人の社交場。
爽やかな大将は喋りも達者な方。
料理が出る前から良いお店なのが伺えます。
お料理はお任せでも出してもらえますが、基本はアラカルト。
お通し
お通しは鯛白子の青のりあんかけ。
蓋を開けた時に青のりの香りがフワッと。
たまらない!
中の鯛白子は天ぷらにしているので、サクサクが徐々に水分を含んでいす変化もまた良し。
後味は柚香で爽やかに。
お通しからテンション爆上げしてくれるのは流石の一言。
毛蟹
食べやすく解した毛ガニの身に蟹味噌を添えて。
スダチを絞って蟹酢でいただく。極上。
うど蛍いかてっぱい
訪問は4月だったので旬のモノ。
たまらんです。
お造り盛り合わせ
赤貝・鯛・ぶり。
赤貝は肝まで美味。
脂ののったブリにハリのある鯛。
だしまき
プルップル。
丁寧。
ぶりかま
皮目はパリッと中はホクホクジューシー。
これぞ正解。粗めの大根おろしがよく合うのです。
赤貝ヒモ手巻き
箸休め的に出してもらいました。
コリコリの貝ヒモにキュウリのシャキシャキ食感のコントラスト。
若竹煮
長岡京市の朝掘りもの。ほんのり甘い。
木の芽多めで凄く良い香り。
そら豆かき揚げ
ごぼうとサツマイモとそら豆。
生姜を効かせた技ありなかき揚げ。
何頼んでも美味。
ついつい飲みすぎて1人6杯くらい飲んで2人で3万いかないくらい。
ここは抜群でした。
知恩院や、青蓮院、平安神宮など名だたる神社仏閣が徒歩圏内の白川沿いに、2016(平成28)年オープンした「丹」は、新鮮な野菜が中心の身体にやさしい和食が味わえる食事処です。名の由来は、「小さな真心」という意味と、京都北部の丹後半島で育まれた本当にいいものを紹介したいという思いを込めているといいます。大きな一枚板のテーブルとキッチンを据えた店内は、「親しい友人の家へ遊びに来たような、久しぶりに家族が集まるときのようなあたたかい食卓」というコンセプト通り、ホッとくつろげる場所です。
朝食は、京丹後の契約農家が土作りからこだわり、無農薬、無化学肥料で育てた野菜をメインに、濃厚な卵、京丹波産の自家製米を土鍋でふっくらと炊き上げたご飯、味噌汁などが提供されます。昼食は季節の食材を使ったコース料理、オリジナルの丼物、麺類など、夜は1階がアラカルトやコース仕立ての料理とお酒、2階はよりゆったりくつろげる貸切席となっています。
京都の名店「草喰なかひがし」店主、中東久雄氏を父にもつ中東篤志氏が手がける朝食専門店で、2017年、祇園にオープンしました。賑わう花見小路の西、静けさに包まれた路地にある店は、「作ること、食べること、すべてが修行であり、喜ぶべき尊い行いである」という禅の教えが名の由来となっています。
「喜心の朝食」は、向付の汲み上げ湯葉、土鍋で炊いた白ご飯、汁物、うるめいわしの丸干し、漬物が並ぶ一汁一菜の朝食です。汁物は、京白味噌の豚汁、季節野菜のすまし汁、海鮮和風トマト汁の3種から好みのものをひとつ選べます。また、平飼いのこだわり卵、揚げじゃが芋、焼き海苔、ちりめん山椒など単品メニューも注文できるので、好みの献立にカスタマイズできるのも魅力です。滋味に富む料理の数々をゆったりと味わえば、心豊かな一日になることでしょう。
祇園北側、巽橋へと向かう切通しに風情ある京町家が軒を連ねます。そのなかの一軒がおでんの専門店「おいと」。白い割烹着を着た主人が迎えるカウンター席のみのこぢんまりとした店内は凛とした雰囲気に包まれ、おでん鍋から立ち上る湯気がえもいわれぬ香りを漂わせます。
暑さの厳しい土地柄、7~8月は休業となるのでご注意を。夜は完全紹介制、いわゆる「一見さんお断り」ですが、ランチタイムなら馴染み客からの紹介がなくても「おでん御昼食」を味わえます。玉子、豆腐、厚揚げ、こんにゃく、牛すじ、ロールキャベツなどから好みのものを選べるおでんが5種と、季節の炊き込みご飯のセットになっています。おでん種にはひとつひとつに自慢の出汁が染み込み、とくに箸を入れるとほろりとほどける牛すじは人気です。味わうほどにその奥深さに引き込まれる、京おでんを楽しみましょう。
その昔、海が遠く新鮮な魚が手に入りにくかった京都の人々にとって、若狭の海から鯖街道を通って運ばれてくるひと塩ものの鯖は、たいへん重宝される食材であったといいます。そんな時代の名残からか、鯖寿司は現代でも祭りなど特別な「ハレの日」に味わうご馳走として親しまれてきました。専門店として鯖寿司を作りはじめたのが、1781(天明元)年、祇園切通しにのれんを掲げた「いづう」で、初代の名「いづみや卯兵衛」が屋号の由来となっています。
富士山と三保の松原を描いた包み紙には「素材から製法にいたるまですべてを吟味した日本一の鯖寿司を」という思いが込められています。数種の米を独自にブレンドした特選米のすし飯に日本近海の脂がのった真鯖をのせ、北海道の昆布で包み込んだ鯖姿寿司は、素材が織り成すうまみが最大限に引き出され、まさに絶品。鯖姿寿司のほかにも、小鯛の雀寿司、甘鯛姿寿司、焼穴子寿司などがあります。店内で味わえるほか、お土産としてテイクアウトも可能です。
1866(慶応2)年創業、路地奥に構えるうなぎの専門店です。カウンター席のほかテーブル席を備えるこぢんまりとした店内は、地元の常連客や観光客でいつも賑わっています。うなぎは国産のうなぎを厳選、さばく際には関西流の腹開きではなく関東流の背開きにしていますが、焼くときには関西流で蒸さずに直焼きしています。焼き上がったうなぎの皮はパリッとして香ばしく、身はふっくらとやわらかです。
お品書きのご飯ものは、うな丼、まむし丼、きんし丼、うな重、お茶漬うなぎ、おまかせの全6種類がそろい、いちばん人気は、特製のタレを合わせたご飯にうなぎをのせ、錦糸卵をたっぷり散らした「きんし丼」です。そのほか、肝焼き、鰻巻き、鰻白焼きなど一品料理も用意されています。注文後にじっくりと焼き上げるため、時間にはゆとりをもって訪れましょう。
伝統的な町並みが残る西花見小路通のうなぎ料理店です。店を始めるにあたってまず最初にしたことが、手堀りでの井戸掘削だったとか。これにより三方を山に囲まれた京都の豊富な地下水をくみ上げ、うなぎ料理に欠かせない良質でまろやかな水を確保しているといいます。
看板メニューは、まるい杉桶の中で筏に見立てた江戸焼うなぎをのせた「名代・う桶」です。厳選した活うなぎを背開きにし、焼くときに焦げて味覚を損ねないよう背びれ、尾びれ、向骨を取り除いて竹串に刺し、熊野の備長炭の強火で白焼に仕立てます。さらに天然水で打ち清めて蒸し、ふっくらとやわらかくなったら秘伝のタレをつけて焼き上げるという手間暇かけた逸品です。う桶は、3人前、4人前、5人前の3種がそろいます。そのほか、うなぎ丼、う巻き、塩かタレを選べるうなぎの串焼き、うなぎのタタキなどうなぎづくしです。
パリッと焼き上げた分厚いうなぎに、甘辛いタレがしっかりと絡んでおり、ふわっとした身の食感と山椒の香りが相まって絶品でした!
味:★★★★☆
値段:★★★☆☆
接客:★★☆☆☆
清潔感:★★★☆☆
1899(明治32)年創業、四条通の南を走る団栗通の京すし店です。当初の屋号は平仮名で「ちどり亭」とつづり、押し寿司のほかにも麺類などを提供していましたが、戦後、屋号を漢字に改めたのとともに、寿司一筋の店となりました。
お品書きには、巻寿司、ちらし寿司、稲荷寿司、にぎりなどバラエティ豊かな寿司が並びますが、得意とするのは、シャリとネタを合わせ、発酵の力を生かしてうまみを高めた押し寿司「京すし」です。とくに人気なのは、鯖のうまみがしっかりとシャリに染み込んで一体感を増した、創業時から受け継がれてきたという鯖寿司です。肉厚の国産鯖の状態をしっかりと見極め、天然塩を振り、京都産米酢で締め、一昼夜、低温熟成させる。シンプルな工程だからこそごまかしがきかず、熟練の技と勘なくしては作れない逸品です。鯖寿司、活鱧箱寿司、巻寿司、ちらし寿司にお吸い物が付くセットメニューもあります。時代を超えても色あせることのない、至極の京すしを堪能しましょう。
祇園白川に架かる巽橋のほど近くにある割烹料理店で、肩肘を張らずに本格派の京料理が楽しめると足しげく通う常連客も多い人気店です。落ち着いた雰囲気の店内には、料理ができあがるまでの臨場感を楽しめるカウンター席のほか、接待や記念日などゆったりと過ごしたいときのためにと個室も用意されています。
カウンター越しに季節のおすすめを聞いたり、好みに合わせた一品を尋ねたり、板前さんとの会話も楽しみのひとつ。一品一品丹精込めて作られた京料理は、目でも舌でもおいしさが感じられるものばかりです。ディナーのコースもありますが、小鉢2種、お造り、焼き物(出し巻き、味噌漬)、野菜の炊き合わせ、ご飯、味噌汁、水物が付く充実のラインナップながらリーズナブルなランチコースも用意されています。出汁のおいしさに定評があり、ふんわりとやわらかく焼き上げたジューシーなだし巻きは絶品です。
2002(平成14)年、花見小路にのれんを掲げた鶏料理専門店「侘家古暦堂(わびやこれきどう)」。艶やかな祇園の雰囲気と調和した店内は、1階がカウンター席で、2階の個室には寺院の襖絵なども手がけるアーティスト、木村英輝氏による壁画が描かれています。全国各地の鶏、厳選した野菜、無添加の調味料を選りすぐり、「からだが喜ぶ健やかなおいしさ」を大切にし、火の入れ具合や調味料のバランスなど素材の個性を最大限に生かす工夫を凝らしているといいます。オープン当初からこだわる鶏肉は、やわらかな肉質やジューシーな脂が特徴の高坂鶏を中心としています。
ランチタイムのみ味わえる石焼親子丼は、コクとうまみのバランスが絶妙な京都府産卵を3つも使って半熟状に仕上げた、鶏もも肉の親子丼です。石焼のため、器の底にできるおこげのパリッとした食感や香ばしさがたまりません。締めは別添えの鶏出汁をかけ、ひつまぶし風にして味の変化が楽しめます。ディナータイムには、炭火焼が中心の焼き鳥コースがおすすめです。また、オリジナルレモンサワーや自家製ブレンドティーなどドリンク類も充実。ソムリエが世界各国から厳選したワインとのマリアージュも堪能できます。
夜の焼き鳥はもちろんのこと、ランチメニューの石焼き親子丼も有名なお店。
ランチは1時間制で細かく区切られており、事前予約必須ですが、もし席が空いていれば当日電話しても予約を取らせてくれることもありそうです。
今回は人気メニューの石焼親子丼を注文。京都産の赤玉子を贅沢に3個も使用した、特製の親子丼。石焼のお陰で少しずつ玉子が固まっていき、半熟トロトロ玉子の食感と完熟玉子の食感を同時に楽しむことができます。弾力のある鶏もも肉の旨味と、甘辛い割下のバランスも素晴らしく、5種類の薬味によってより一層親子丼の美味しさが際立つのも魅力でした!
最後は石焼でできたお焦げと、鶏スープによる出汁茶漬けをいただくことができ、一度で何度も美味しい絶品ランチだったので、ぜひ訪問してみてください。
ごちそう様でした!
味:★★★★☆
価格:★★★★☆
接客:★★★★☆
清潔感:★★★★☆
花見小路にのれんを掲げる日本料理店です。春を告げる「都をどり」の会場として名高い祇園甲部歌舞練場の向かいという、ひときわ情緒が漂うロケーションにあります。珍しい店名の由来は、極楽浄土に住み、類まれな美しい声で歌って舞う「迦陵頻伽(かりょうびんが)」という想像上の生き物にちなんでおり、優雅に過ごしてほしいという思いを込めているのだとか。
料理は、時を超え京都で育まれてきた日本料理の技を受け継ぎながらも、新しいエッセンスを添えたものが中心。ランチ、ディナーいずれも旬の食材を選りすぐり、季節感のある色彩で仕上げた月替わりのコース料理が味わえます。とくに、夜でもっともランクの高いコースは、料理長が毎月こだわり抜いた会席料理で、その時にしか手に入らない食材をいちばんおいしくなる方法で調理し、いちばん相性の良い器で提供しているといい、特別な日のディナーにおすすめです。
建仁寺の勅使門から八坂の塔へと向かう八坂通に構える天ぷら専門店で、1885(明治18)年、祇園で創業した「お茶屋近江榮」をルーツにもちます。店構えは築80年ほどの数奇屋造りで、打ち水された石畳の路地を通り店内へ入ると、お香のほのかな香りに迎えられます。店内は、石畳の路地に面したカウンター席から、ゆったりとくつろげる個室などバラエティに富んだ席が用意されています。
ランチやディナーでは、お茶屋ならではのおもてなしの心を受け継ぎながら、職人の技と目利きを生かしたオリジナリティあふれる献立を提供しています。コースの一品目は先付で、旬の京野菜や山菜、瀬戸内や明石・若狭の魚介、滋賀湖北の清流で獲れる川魚など、京の四季を映した味覚から始まります。メインとなる天ぷらは、厳選した素材と上質な綿の実を贅沢に絞った最高級の綿実油を使用し、客ごとのベストなタイミングを見計らいながらで手際よく揚げています。仕上がりはサクッと軽やかで後口もあっさりしており、揚げ物特有の重さを感じさせないヘルシーな味わいです。
1861(文久元)年、初代松野与衛門(七郎兵衛)が創業した蕎麦処です。それから20年ほど後、二代目の松野与三吉が「にしんそば」を発案、屋号を松葉と改めて南座の一角に移転しました。以来にしんそばの元祖として広く知られています。大みそか、八坂神社の参拝帰りに年越しそばを求める人びとで賑わう光景も風物詩となっています。
本店は鴨川を望む4階建てのビルで、1階にテイクアウト用商品を扱う販売コーナー、2、3階と地下1階に客席があります。看板メニューのにしんそばは、上品な出汁が際立つ蕎麦の上に甘辛く炊いた身欠きにしんをのせたもの。あっさりとした風味の蕎麦と、濃厚な味わいのにしんとの抜群の相性が楽しめます。天ぷらそば、あなごそば、鴨なんばんそばなどのほかにも、カレーうどんやゆば豆腐うどん、丼や弁当など豊富なメニューがそろいます。
伝統的建造物群保存地区に指定される新橋通の路地奥にのれんを掲げる水炊き専門店です。和の趣が感じられる店内には、ちゃぶ台を据えた座敷席とテーブル席が用意されています。名物の水炊きが味わえるのは、10月から5月末までの間だけ。それ以外の期間(6月から9月中旬)は、親子丼と数量限定の肝丼を提供するランチ営業を行っています。
小鉢2種と漬物が付く親子丼は、具材をのせておくか、別鍋で提供するかを好みのスタイルを選べます。ご飯に出汁が染み込まないようひと口分ずつ具材をのせたり、2種の山椒で「味変」を楽しんだりと、自分好みの味わい方で楽しめるのが魅力です。水炊きは、じっくり丁寧に取った鶏出汁に塩と生姜を合わせたスープから始まります。お酒のアテにもなる鶏肝煮、ほろほろになるまでやわらかくなった骨付き鶏や白菜、豆腐を合わせた鍋、卵でとじる〆の雑炊まで、鶏のうまみを余すところなく堪能しましょう。
1689(元禄2)年に創業したお麸とゆばの専門店「半兵衛麸」。2023年春、隣接するビルを再生して自社スペースを増床、ランチ、カフェ、自宅用や贈り物用の商品選び、美術品の鑑賞が楽しめる食の複合型施設となりました。昔ながらのたたずまいを残す本館は築120年の京町家で、おくどさん(かまど)や、台所を守る7体の布袋像などが見られます。また、江戸から明治にかけて花見や蛍狩り、紅葉狩りなど高貴な人びとが四季折々の遊興に携えた食器や茶器類を展示した「お辨當(べんとう)箱博物館」(入館無料)もあります。
京町家に隣接する築70余年の石造りの洋館では、小腹を満たすための軽い食事を意味する「むし養い」が味わえます。酢の物、蒸し物、煮物、揚げ物、白味噌仕立ての椀物など、お麸やゆばを使った滋味深い料理が並びます。
また、新館のビルは1階がお麸やゆばを販売するフロア、2階がイベントスペース、3階がカフェとなっています。鴨川を一望するカフェ「Cafeふふふあん by半兵衛麸」ではお麸、ゆば、豆乳などを使ったおしるこやパフェ、麸まんじゅうといったスイーツや、モーニング、ランチが楽しめます。
半兵衛麸さんは清水五条駅からほど近い場所にあり、雰囲気も良いです。
暖簾をくぐると120年前からあると言うおくどさん(竈)が出迎えてくれ、奥には石灯籠のある坪庭が目を引きます。
僕は訪問したタイミングが丁度ひな祭りだったので、華やかな気持ちになりました。
ちなみに、そもそも麩とは何か?
すぐに答えられる人は結構少ないのではないかと思います。
お店の説明によると、小麦粉に水を加えて練り、寝かせた後でんぷんを洗い流し、水で冷やしてできるグルテンに、もち粉を加えて蒸したもの。
それこそが生麩となります。
そして、グルテンに再度小麦粉を加え釜で焼き上げたものが、焼き麸となります。
更にお店によると、今から35年ほど前は、生麸は「料亭や仕出し屋さんが使う食材」で、家庭で料理される事がほとんど無かったそうです。
よって、購入を躊躇われる人が多かったため、料理教室を始め、後に茶房を始める事にしたとの談です。
茶房ではお昼限定で、麩と湯葉のコース料理を提供されております。
【むし養い】とは、
「小腹を満たして、お腹の虫をおさえる簡単な料理」
を指す京言葉との事ですが、
実際には「簡単な料理」とは謙遜に過ぎず、
多用な料理に舌も眼も喜ぶ事は間違いありません。
金沢にも麩の名店・加賀麩不室屋さんがあり、茶寮でコースを頂く事が出来ます。
そちらとの対比としては、半兵衛麸さんの御料理の方が洗練度が高いと感じました。
築100年超の趣ある京町家で、白川のせせらぎを眺めながら蕎麦と料理、酒が楽しめます。1861(文久元)年、岩倉具視の命を受けた初代が、昆布やニシンなど北前船が運ぶ食材の仕入れや販売を行う「大津屋」を始めたことが店の起源です。料理屋、卸売業を経て、5代目が現在の地に「三味洪庵」を開きました。名は、四季折々の食材による季節感、自然の恵みを享受した安心、安全な食材、京都の食文化が育む「おぞよ(おかず)」の製法と味の継承の、3つの「三味」を示しているといいます。
自慢の蕎麦は、国産蕎麦の実を石臼挽きで自家製粉した十割蕎麦。京鴨肉や九条ねぎを使った鴨南蛮蕎麦、湯葉あんかけ蕎麦、蕎麦御膳や「蕎麦屋の京鴨鍋コース」など蕎麦づくしのメニューが楽しめます。また、夏は徳島産すだちを浮かべた冷やかけすだち蕎麦、冬は揚げ餅入り蕎麦など季節限定メニューも登場します。せせらぎをBGMに、ゆったりと流れてゆく時間ごと味わいましょう。
全国各地に足を運んでお米を食べ比べ、目利きの腕を磨いた「お米マイスター」の兄と「米職人」で料理長の弟、米屋に生まれた兄弟がプロデュースする「米料亭」です。
有名な産地や品種にとらわれない卓越した米選び、精米、米のブレンド、保管方法、土鍋釜の開発、米の炊き方に至るまですべてを徹底。ふっくらとしたおいしいご飯を提供し、老舗料亭からも信頼を集めています。炊く際には、米ごとの特徴を見極め、水、火加減、時間の加減を調整し、常にベストな味を引き出しているのだとか。米を炊くライブ感が楽しめる1階カウンター席、2階には八坂神社の楼門を望むカウンター席、テーブル席、小上がりの席もあります。昼は焼き魚、天ぷら、唐揚げなどと銀シャリがセットになった気軽で多彩な御膳、夜は月替わりのコース「米ざんまい」が楽しめます。
歴史ある名店が軒を連ねる京都。その中でも、トラベルコが特におすすめしたい祇園・清水エリアの高級レストラン・グルメ情報をお届けしました。次の旅行の参考に、思い出に残る充実した旅をお楽しみくださいね!