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ブリュッセル (ベルギー) 観光の現地クチコミ

現地のプロ(2人)詳細

Museum of the City of Brussels 王の家(ブリュッセル市立博物館)

栗田 路子 (コンサルタント、コーディネーター、通訳、ジャーナリスト)

上水の取り口だった小便小僧と王様が住んだことない王の家

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グランプラスの後、小便小僧を見に行った観光客は「な~んだがっかり」などとつぶやく。世界中にレプリカのある小便小僧の本物が、あまりに小さくて貧相な出で立ちだからだ。でも、ちょっと待って。何の変哲もない街角で何百年もおしっこをし続けている小便小僧も、また約1000着もある彼の衣装が展示されているブリュッセル市博物館も、見方を変えればものすごく面白い。

第一に、小便小僧は、早くも14世紀頃に市民のために設備された「上水」(飲料水)の取り口だったという事実。中世に、市民のために公共の飲み水を提供したというこの文化度の高さに唸らされる。さらに、その取り口をよりにもよって「おしっこ」にしてしまうブリュッセルっ子の不思議なユーモア感覚。ベルギー人気質の象徴とでもいいたい。実は、グランプラス周辺には、小便小僧以外にも、なんだか奇妙な上水の取り口が今も残っているので、探索しながらベルギー人気質を分析してほしい。

さて、グランプラスの市庁舎の反対側には仏語名を「王の家」というブリュッセル市博物館がある。ところがこのレースのような細工を施した立派な建物には、王様が住んだことはない。その上、ブリュッセルのもう一つの公用語である蘭語では「パンの家」とまったく違う名前だ。このあたりは、かつて、かなり貧しい階層も多く王の家のある場所では、小麦粉からパンを焼いて、必要とする人々に提供されていたのだとか。確かにパン職人のギルドがそのすぐ脇にあるからうなずける。

こんな庶民的な王の家の中には、市民を火事や疫病から守ってきた人気者小便小僧のジュリアン坊やのために、世界中から贈られた衣装のコーナーがある。日本からの桃太郎のコスチュームを始め、トップデザイナーのプラダによる衣装まで、そのコレクションは約1000着。ブリュッセルの歴史がわかる常設展示の他、特別展ではタペストリーの復元作業が見られるコーナーができたりと、地味だが極めて興味深いミュージアムだ。

  • 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。