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マドリード (スペイン) 観光の現地クチコミ

現地のプロ(4人)詳細

The Royal Basilica of Saint Francis the Great サン フランシスコ エル グランデ教会

河合妙香 (記者、カメラマン、経営者)

直径ではスペイン最大、世界3位のドームがすごい!

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大きなドーム型の屋根が特徴的なバジリカ式教会で、王宮のあるバイレン通りから続く聖フランシスコ広場に面し、王宮から歩いて約10分、メトロ5番線のプエルタ・デ・トレドから歩いて5分です。

高さ56メートル、直径33メートル。キリスト教のドームとしては、スペイン最大・世界第3位を誇ります。

1214年にアッシジのフランシスコが建立したという伝説のある教会跡に、このドームを持つ設計を考案したのは、フランシスコ・カベサでした。

ほかに王立サンフェルナンド美術学校の名誉教授ベントゥーラ・ロドリゲスや、王宮の設計に携わったフランチェスコ・サバティーニも建設に関わり、完成しました。

カトリック建築におけるドームの直径で、世界1位はローマのパンテオン、2位がバチカンのサン・ピエトロ寺院です。

3位には、実はフィレンツェ大聖堂が入るところですが、八角形なので、円形のドームとなると、このサン・フランシスコ・エル・グランデに軍配が上がるのです。

ロンドンのサントポールは31メートル、ナポレオンの墓で有名なパリのアンバリッドは24メートルなのだそうです。

サン・フランシスコ・エル・グランデのこの壮大なドームには、隙間なく神の住む天上界が描かれています。だから、青空や雲、天使たちがモチーフになっているのです。天井界の聖人たちの中には、アッシジのフランシスコも描かれています。

面白いのは、ドームと壁や柱の接点に、3Dのように見える浮き絵や彫刻が施されてあること。じっと見ていると、絵が浮き上がってきて楽しくなります。

ドームの下にあるため円形をした側廊には、チャペルが並び、ゴヤの師匠、ピカソの師匠、ダリの師匠など、当時活躍した画家たちが描いた祭壇画や貴重な絵画がかけられています。

最も有名な絵は、入り口から左に2つ目のチャペルにあります。ゴヤの祭壇画です。

説教をするアッシジのフランシスコの足下は、彼を見上げる騎士たちで囲まれています。ただ1人、こちらを見ている黄色い服、赤いブーツの騎士がゴヤ自身です。
彼はこの祭壇画に、エル・グレコやベラスケスのように、自画像を描きました。

また、祭壇裏の廊下に繋がる1室には、スルバランが描いたアッシジのフランシスコも壁に掛けられていますので、お見逃しなく。

もう一つ興味深い点は、十字架の「十」の4つのスペースにさらに小さい十字を描くエルサレム十字が、至る所に描かれていること。

サン・フランシスコ・エル・グランデ教会に、カトリックの聖地となったエルサレムから、十字軍の戦利品が届けられたからです。

それを記念して、エルサレム十字と、十字軍の五大騎士団(聖ヨハネ騎士団あるいはマルタ騎士団、サンチャゴ騎士団、カラトラバ騎士団、モンテサ騎士団、アルカンタラ騎士団)の紋章を施した祭壇が、入り口の左から3つ目のチャペルに納められています。

入場料は3ユーロですが、スペイン語と英語で、専門のガイドさんが親切にガイドをしてくれます。内部は絵画が多い上、複雑な構造ですので、絵の場所を知るため参加されてはいかがでしょう? 

また、教会を出て右側は、ダリア園と呼ばれる公園になっています。元々は建物があったように見えますが、今は花畑になっており、世界中のダリアの花が植えられています。中には、日本の「アキタ」という名のダリアも。

ところで、スペインにもマドリードにも国宝級の教会が非常に多いせいか、かつて国からあまり重要視されてこなかったサン・フランシスコ・エル・グランデ教会。

一時は軍事施設になったり、市民戦争中は王室の美術品の保管場所になったり。国会議事堂にする案が出たり。隣のダリア園を駐車場にする案まであったそうです。

いろいろな案がある中、1980年に国宝に指定され、今の形で保存されるようになって本当によかったです。

  • 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。