1. 旅行比較サイト トラベルコ
  2. 海外旅行
  3. 海外現地クチコミ
  4. マドリード(スペイン)観光地
  5. トレド大聖堂の現地クチコミ
日経トレンディ総合力BESTに続きオリコン顧客満足度®でも1を獲得 [プレスリリース]
マドリード (スペイン) 観光の現地クチコミ

現地のプロ(4人)詳細

Cathedral of Toledo トレド大聖堂

河合妙香 (記者、カメラマン、経営者)

スペインのカトリック教会の総本山

  • 文化鑑賞おすすめ
  • 定番人気

スペインには各地に大聖堂がありますが、このトレド大聖堂との違いはなんでしょう?
正解は、トレド大聖堂は、スペインのすべてのカトリック教会の頂点に立つ総本山だということなのです。

立場的にも、バチカンに最も近く、大聖堂の立つ市役所広場(アユンミエント広場)の司祭館には、スペインの国旗とともに、黄と白地のバチカンの国旗も掲げられています。

もともと、現在のカテドラルのある場所には、6世紀には西ゴートの大聖堂があり、711年以降はイスラム教の大モスクが建立されていました。

そこに、1226年、トレドの大聖堂の建設が始まりました。

1212年、ラ・マンチャとアンダルシアの境界にあたるナバス・デ・トロサの戦いでイスラム軍に圧勝したキリスト軍は、イスラム軍に勢力を示すため、大聖堂の建設が必要になったからです。

設計者は、フランス風古典ゴシック様式の設計図を用いた匠マルティンと、後継者のペトルス・ペトリです。

大聖堂の1階平面は、サロンと呼ばれるラテン十字形で、図面では長方形になります。 トレドで高い建物の屋上から見下ろすと、カテドラルが完璧な十字形をしていることがはっきりと見て取れます。

また「バジェ」と呼ばれるパラドール側から眺めると、高い塔を冠したカテドラルの大きさがよくわかります。高さ92メートルもある8角形のこの塔は、15世紀、アネキン・デ・ブルセラスの手によって完成しました。 最近、塔の修復が済んだので、塔に上ることもできます。

モサラベ(イスラム教下でカトリックの信仰を守った信者)のミサが、16世紀に、シスネロス大司教の命で復活し、今も続けられていることは、トレドらしい特徴です。ミサは入り口左側の奥にあるモサラベ礼拝堂で行われ、モサラベの家系の子孫たちが参列しています。

アユンタミエント広場に面した、パリのノートルダム大聖堂を模して作られた中央ファサードには3つの入場門があります。
中央の扉は「免罪あるいは両王」を、塔に近い扉は「棕櫚の葉あるいは地獄」を、モサラベ礼拝堂に隣接した扉は「公証人あるいは審判」を意味しています。
この扉をくぐることの許されている人物は、国王とバチカン法王のみです。

その他、大事な門があります。1つはコメルシオ通りに面した北翼廊にある、針が1本しかない時計を持つ扉です。外からしか見ることができません。

18世紀の終わりごろ、ロレンサナ枢機卿が、ミサ、祈り、食事の開始の「分」を知らせるために設置しました。そのため時計には針が1本しか付いていません。

もう1か所は、南翼廊にある獅子の扉です。ゴシック彫刻とバロック彫刻の融合した美しいこの扉は、扉の上の彫刻もまた見事です。

トレドのカテドラルには、まだほかにも多くの門や扉があります。
例えば、回廊へ通ずる扉、聖母マリア奉献の扉、聖カタリナの扉。

カテドラルの中で最も使われている門は、新古典主義のプエルタ・ジャナ(平らな扉の意味)です。南ファサードにある、現在の入場口です。

プエルタ・ジャナは、もともと切り石や彫刻など建築素材や装飾を運び入れるために、職人たちが出入りした質素な扉です。

何世紀にも続くコルプス・クリスティの祭りでは、この門が、クストディア(聖体顕示台)を載せた神輿の出入り口になります。祭りのときは、門前は人で沸き返り、軍隊も整列して式典が行われます。

カテドラルの聖具保管室は、トレドの重要な美術館になっています。芸術史上重要な絵画も見逃せません。

エル・グレコの「略奪」と「十二使徒」のほか、カラバッジオ、ティシアーノ、ヴァン・ダイク、ゴヤ、モラレス、ルーベンス、バッサノ等の傑作が常設されています。
大司教座聖堂参事会会議室の壁のフレスコ画はフアン・デ・ボルゴーニャ、聖具保管室の天井のフレスコ画は、ルカス・ジョルダーノの作品です。

聖歌隊席の椅子など、カテドラル内部の隅々に施された彫刻には、かつて字の読めなかった人々のために、ビジュアルでわかるようにと、教義的、教育的、そして芸術的な役割が備わっています。

塔の真下にあたり天井に鍾乳石飾りのある宝物殿には、カテドラルの秘宝が展示されています。聖体祭の神輿の本体であるエンリケ・デ・アルフェ作のクストディア(聖体顕示台)もここに納められています。

毎年5月か6月の2週間開かれる聖体祭りの期間中は、世界中から、 クストディアを載せた神輿を見るために大勢の観光客もやってきます。

この時期のトレドは、1年で最も美しくなりますから、観光するなら、この時期が狙い目ですよ!

街中が花かごで飾られ、パティオコンクールや街角のコンサートで賑わう祭りが終わると、トレドには夏が到来します。

  • 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。