ナポリのチェントロ、サン・ドメニコ・マッジョーレ広場からすぐ近くにあるサンセヴェーロ礼拝堂は、うっかりしていると通り過ぎてしまいそうな、飾りっ気のない小さな建物。しかし、その入り口をくぐり中に入ると、驚きの宗教芸術が私たちの目と心を捉えて離しません。
1590年頃、当時のサンセヴェーロ公家の庭園を囲む塀に出現した聖母像が起こした奇蹟が、サンセヴェーロ礼拝堂建立のそもそもの発端なのですが、ここにある彫刻群や人体解剖像らもまるで奇跡の賜物です。
彫刻では何といっても「クリスト・ヴェラート(ベールの掛かったキリスト)」が圧巻です。
これは1752年に、ジュゼッペ・サンマルティーノが時のサンセヴェーロ公家当主のライモンド公より注文を受け完成させた作品。横たえられたキリストの遺体に、薄い透明のベールが掛けられた様子を、たった1つの大理石から彫りだしたものです。このベールのドレープの掛かり具合が、硬い石から出来たものとは到底思えない程の柔らかさ、儚さを表現し切っていて、そのせいか、下に臥するキリストに至っては、まるで静かに眠るような印象すら持たらされます。
このキリスト像が礼拝堂の中央に配置される他、10の「美徳」と呼ばれる像が展示されています。それらにはそれぞれ「栄光」、「はにかみ」と名前がつけられ、これらも非常に美しい彫刻です。
これらの彫刻群だけなら、この礼拝堂が美しい宗教的作品の殿堂であると表現出来るのですが、あるものが置かれているために、少し風変わりな印象を与えられることを否めません。あるものとは、骨、歯そして体中に走る血管や神経管などまで細微に渡り再現された人体解剖像で、これはジュゼッペ・サレルノにより、1763〜64年にかけて制作されました。18世紀半ばにどのような技術をもってここまで忠実に造ることが出来たのかは、まるで明らかになっていません。美しい彫刻群を見学した後に、この人体解剖像を見ると、どんなに美しい肉体を持とうとも、中は人類みな同じ…。そんな風に思えることも確かです。
サンセヴェーロ礼拝堂には、地下鉄第1線を「ダンテ」で下車。サン ドメニコ マッジョーレ広場からは徒歩5分ほど。トリブナーリ通りとスパッカナポリの間を走る路地を行くと到着出来ます。この辺りはどのピッツェリアも外れがありませんので、見学前後に本場ピッツァを味わうのもよいかと思います。
Alitaliaとの提携割引料金: € 5.00
閉館20前に入館締め切り
The Sansevero Chapel Museum サンセヴェーロ礼拝堂
優・トロペーア
(現地在住ブロガー、フリー音楽家)
神秘のキリスト像と不気味な人体解剖像
- 投稿日2015/10/22
- 更新日2024/02/20
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ジャンル寺・神社・教会 世界遺産
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エリアナポリ ヒストリック センター
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住所
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アクセス地下鉄1線 Dante駅 または Università駅から徒歩約7分、2線 Cavour駅から徒歩約14分、151・154番バス Marchese Campodisola停留所から徒歩約9分、460・N1・N3・N8S・R2番バス Corso Umberto停留所から徒歩約8分、路面電車1・4番 Via Marina駅から徒歩約10分
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電話番号+39-081-5524936
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営業時間9:00-19:00(最終入場18:30)
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定休日火曜日
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予算入場料(大人) 10ユーロ
(10-25歳) 7ユーロ
(9歳以下) 無料 -
公式サイト
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