1284年にアンジュー家のカルロ一世によって建てられたこの城は、
カステル・デッローヴォに対して新しいことから、通常ヌオーヴォ城と呼ばれています。
またの名がマスキオ・ディ・アンジュー、アンジュー家の砦という意味です。
その名の通り、5本の円塔が特徴の城は見るからに重厚で、
周囲には堀がめぐらされ、堅固な要塞であったことがうかがえます。
正面には、巨大な二本の円塔の間に、大理石のレリーフで飾られた門があります。
城はアラゴン家の支配時代に大きく改築されました。
この正面部分は、1443年、
アルフォンソ一世がナポリへ勝利の入場を果たしたことを記念して加えられた、「凱旋門」です。
縦に細長い白い大理石の門は、左右や背後の無骨な要塞部分に比べると、
特に黒っぽい石の円筒とのコンントラストが強く、すこし窮屈そうに感じられます。
もちろんルネッサンス時代の傑作と評される彫刻はとても美しく、
全体にただよう不思議なアンバランス感も、かえって城を印象深いものにしています。
ヌオヴォ城の周囲には、ナポリ歴史地区の主だった建物が集中しています。
プレビシート広場には17世紀に建造された王宮が控え、
その北側には、世界最古のオペラ劇場であるサン・カルロ劇場が並んでいます。
劇場のこけら落としは1737年。
その後、19世紀半ばにロッシーニやドニゼッティが支配人を務めていた頃まで、
ナポリはヨーロッパからの旅人を惹きつける文化都市でした。
王宮の正面はサン・フランチェスコ・ディ・パオラ教会、
ローマのパンテンオンを模した新古典様式のこの教会もまた、
19世紀半ばに建てられたものです。
卵城からヌオヴォ城へ、そしてプレビシート広場へと歩をたどれば、
ナポリがノルマンやフランス、スペインによる侵略と占領を耐え、
その果てに手にした栄光の姿を目にすることができます。
劇場の北にあるウンベルト一世のガレリア(19世紀末)にも、
そんなナポリの華やかな面影が残っています。
このあともう一つのナポリであるスパッカ・ナポリに足を延ばそうと思われる方は、
猥雑でエネルギッシュなナポリに触れる前に、
ガレリアの美味しいエスプレッソでひと休みするのがおすすめです。
★アクセス:中央駅ガリバルディ広場からバスR2で、Piazza Municipio下車。
または地下鉄ガリバルディ駅からL1で、Toledo下車。南に徒歩10分ほど。
★ヌオヴォ城(Museo Civico di Castel Nuovo):
開館時間/9:00~19:00(入場は18:00まで)休館/日・祝日
参考/http://www.comune.napoli.it/flex/cm/pages/ServeBLOB.php/L/IT/IDPagina/1372
★王宮:
開館時間/9:00~20:00(図書館は19:00閉館)
休館/水曜日、1月1日、5月1日、8月15日、12月25日
公式サイト/http://palazzorealenapoli.it/cms/
Castel Nuovo (Maschio Angioino) ヌオーヴォ城
竹川 佳須美
(現地専門旅行会社代表)
ヌオーヴォ城とナポリ歴史地区(世界遺産)
- 投稿日2015/10/23
- 更新日2019/02/07
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ジャンル城・宮殿 世界遺産
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エリアナポリ ヒストリック センター
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住所
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アクセス地下鉄L1 Municipio駅から徒歩約3分
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電話番号+39-081-7955877
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営業時間[月-土]8:30-18:30
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定休日日曜日,祝日
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予算入場料(大人) 6ユーロ
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公式サイト
- 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。
ヌオーヴォ城周辺のおすすめ観光スポット
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