ペナン島のジョージタウンは、2008年にマラッカとともにユネスコの世界遺産に登録されました。
今も19世紀の街並みがそのままの形で残されており、なるほど世界遺産にふさわしい都市だと思わされます。
しかし、この街が世界遺産に選ばれた理由は、単に古い街並みが残っているということだけではありません。
それが何かを理解するには、ジョージタウン内を南北に通り抜けているマスジット・カピタン・クリン通り(通称ハーモニーストリート)を歩いてみることです。
1786年にイギリス東インド会社のキャプテン・フランシス・ライトが最初に上陸した、
コーン・ウォリス要塞やコタマラ公園のあるあたりからハーモニーストリートに入ると、最初に現れるのがセントジョージ教会。
東南アジアにおける最古の英国国教会で、軒を支える真っ白な8本の柱と高い尖塔が目を引く白亜の教会です。
さらに歩いていくと、次に観音寺があります。ペナンに入植した広東人と福建人により1800年代に建てられたペナン最古の中国寺院のひとつです。
家内安全、商売繁盛などのご利益があるとされ、いつも多くの仏教徒が参拝に訪れています。
次に現れるのは、この通りの名前の由来にもなっているカピタン・クリン・モスクです。
1801年、イスラム教徒の商人、カウダー・モフディンによって築かれた、マレーシアでも最大級のモスクの一つです。
「カピタン・クリン」とはこのモスクを建てたモフディンの尊称です。インドのムガール様式を踏襲したという美しいドームとミナレットが目を引きます。
このモスクの向かいには、スリ・マハ・マリアマン寺院があります。通りに面しているのは、寺院の裏側で表はリトルインディアの方に面しています。
1883年に建設された、ヒンズー教の寺院です。様々な神様の彫刻が施された極彩色の門が有名です。
このように、ハーモニーストリートには19世紀に建てられた、キリスト教・仏教・イスラム教・ヒンズー教の寺院が現存しています。
これは、異なる宗教を信じる人々がお互いを尊重しながら共存してきたことを意味しています。
これは、マレーシアという国家そのものの縮図のようなものです。このことの文化的な重要性が、世界遺産登録への決め手のひとつとなったと言われています。
ハーモニーストリートと呼ばれる由縁もこれでお分かりかと思います。
Harmony Street/Jalan Masjid Kapitan Keling ハーモニー ストリート(マスジット・カピタン・クリン通り)
阿部 吾郎
(トラベルガイド株式会社代表)
ジョージタウンが世界遺産になった理由がここにある
- 投稿日2019/02/27
2015/02訪問
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ジャンル散策路・道 旧市街・古い街並み
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エリアジョージタウン
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住所
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アクセスペナン国際空港から車で約35分
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営業時間24時間
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定休日無休
- 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。
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