台南では、古い住居や商家をリノベーションした民宿がちょっとしたブームになっています。そのような「リノベ民宿」の中でも、抜群にセンスがよく、静かにゆっくり過ごせる民宿「有方公寓」を紹介します。
初めにお断りしておきますが、台湾の「民宿」は、日本でイメージする民宿のように、農家などのオーナーが自分の家にお客さんを泊めるというスタイルに限りません。台湾の法律で民宿に分類されている宿泊施設のことで、ペンションやホテルのような施設がたくさんあります。民宿という名前ながら客室が数十室もある中型ホテル並みの施設もあります。有方公寓は、オーナーが古い建物を借り上げ、宿泊施設に改修した、都市型の民宿です。
さて、有方公寓は台南旧市街のすぐ外側、海安路からほんの少し入ったところにあります。台南はかつては城壁に囲まれた町でしたが、現在はその城壁も取り払われ、西門、南門などにその名を留めるだけとなっています。海安路は西側の城壁跡に造られた西門路のさらに外側の通りで、城壁があった時代には海から何本もの運河が海安路の近くまで引かれ、港からの川船が荷物を運んでいました。人気の観光スポットとなっている神農街は、そんな運河に沿って発展した町筋でした。そして、有方公寓はその神農街の一本北側の細い路地にあります。
有方公寓の建物は、50数年前に財のある商人の自宅として建てられた建物です。路地を挟んで向かいは現在空地になっていますが、以前はそこに工場の建物を持っていたそうです。海安路から路地に入ると、隣近所は市内に店を持って商売をやっている家が多いらしく、家の前で何やら仕込みをしているところがたくさんありました。下町の生活感いっぱいの路地の中、有方公寓の目印は坪庭のような植え込みと深い藍色の扉で、周囲とは違った空気を感じさせます。
扉を開けて中に入ると、大きな時計が掛かったロビーとカフェのようなカウンターが目に入ります。このカウンターがフロントも兼ねていて、昼間はスタッフがいます。4階建ての2階から4階に9つの部屋がありますが、広さもしつらえもそれぞれ異なります。部屋が空いていれば、予約した部屋以外も実際に見せてもらって変更することもできます。
フロントで受付を済ませ、ひと通り建物内の案内が終わると、鍵を2本渡されます。カードキーではありません!昔ながらの鍵穴に差し込むタイプのクラッシックなキーです。1本は部屋の鍵、1本は玄関の扉の鍵です。スタッフは夜になると帰ってしまうので、夜間の出入りは宿泊客の管理に任されます。もし問題があったら、スタッフの携帯に電話することになります。夜、鍵をかけて外出し、戻ってきたら鍵を開けて建物に入る、その行為はまるで自分の部屋に戻るようなくつろいだ気持にさせてくれます。
床や階段は昔懐かしいテラゾと呼ばれる研ぎ出し仕上げで、暑い外から帰ってきても、ひんやりと迎えてくれます。エレベータはありませんが、赤く塗られた鉄柵の手すりの階段を上っていくと、足元から一階が見渡せたり、窓枠が作る影が映ったり、壁のタイル模様が目に入ったりで、3階の部屋まで上る階段もまったく苦になりません。
2階にはリビングルームのようなロビーがあって、本を読んだり、CDを聞いたりできます。部屋に冷蔵庫はないのですが、このロビーには大きな冷蔵庫が1台置かれています。中には部屋番号の付いたカゴが入っていて、自由に使うことができます。
部屋も研ぎ出しの床です。部屋には使い捨てのスリッパではなく、木のサンダルが置かれていました。台南は木屐(木のはきものの意味)と書く木のサンダルが有名で、有方公寓からも近い西門円環には、有名なサンダル店が2軒、並んでいます。しかし私は、ひんやりした床が清潔で気持ちがいいので、靴を脱いで裸足で歩いていました。
泊まった3階の部屋は、基調がモノトーン。窓にはブラインドが掛かっていて、優しい光が入ってきます。窓際は腰までの高さがあり下が造り付けの戸棚になった研ぎ出しの出窓風棚があります。この建物が作られた時期の住宅によく見られた構造だそうです。この棚の上に、電気ポットやお茶のセット、それにCDのプレーヤーが置かれています。茶葉は、台南の有名な茶館&茶葉店、奉茶のティーバッグでした。
客室内の家具はシンプル&モダンなデザインのイスが2脚のみ。出窓風の棚がテーブル代わりになります。ベッドは固めの低反発マットで、沈み込みが少なく寝心地は良好でした。
各部屋には、リノベーションの時にシャワーとトイレが設置されています。充分の広さがあり、シックな黒いタイル貼りで、クラシックな落ち着いたスペースです。一般のホテルと同じように、歯ブラシ、タオル類、シャワーキャップ、ひげそりなどがそろっています。アメニティーはハーブの自然な香りが心地よいロクシタン、ヴァーベナシリーズのシャワージェル、ボディーローション、シャンプー、コンディショナー、石けんのセットで、この宿の雰囲気にぴったりです。トイレは残念ながら洗浄便座ではありません。
有方公寓のデザインコンセプトは台湾の伝統とフランス文化の融合、それも古典のフランスではなく、現代フランスの居心地のよさを取り入れること。そして旅や生活には、居心地のよい場所が必要、そんな場所を提供したいというのがオーナーやスタッフの願いだそうです。
実際、デザインはとてもシンプル。かなり控えめで、押しつけがましいところがなく、落ち着いた穏やかな気持ちにさせてくれます。光と影も有方公寓のもう一つのテーマで、1階ロビーでは格子窓や窓飾りを上手に使って光と影を演出し、特に朝や夕方は陽の光を美しく取り込んでいるのが印象的でした。階段や廊下の照明もクラシックデザインのガラス製で、夜になると壁にきれいな影を投影していました。
朝食は1階で、ロビーのほかに、ダイニングテーブルが何か所か置かれていて、宿泊客は思い思いのテーブルに着いて、ゆっくりと食事をしています。
フロントデスクを兼ねたカウンターの裏のキッチンスペースに、ご近所のおばちゃんといった感じの女性がやってきて、食事の準備をしてくれます。この日は、キッシュ+サラダ+ソーセージ+フルーツのプレートにトーストとコーヒーでした。
建物は表の路地だけでなく裏の路地にも面していているので、両側から自然の光が入り、とても快適です。居心地がよく、朝食の後もなかなか部屋の戻る気分になりませんでした。朝食時間が過ぎると、このカウンターはまたフロントに戻ってしまうので、そのあとの飲食はできなくなります。2階の冷蔵庫を上手に活用して、前日からフルーツや飲み物を買い込んでおくことをおすすめします。
一般のホテルと違って料金設定に割引がなく、お得感は期待できませんが、ホテルに泊まるのとはまったく異なる、思い出になるような時間を過ごすことができると思います。
建物内はWi-Fiが使えます。
フロントの対応は中国語と英語のみです。
アクセスは、台鉄台南駅からタクシーで約10分。海安路と民族路の交差点から2本目の路地です。住所表示では269巷になっていますが、こちらは1本目の路地で民宿の裏手になってしまうので、2本目の259巷から入ります。神農街の一本北側の路地になります。
Your Fun Apartment 有方公寓
路地裏のおしゃれ民宿は、特別な旅の舞台にぴったり
- 投稿日2018/10/23
2018/06訪問
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ランクその他のホテル ?
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エリア中西区
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住所
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アクセス台南駅からタクシーで約10分
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電話番号+886-2231208
- 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。
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