「窄門咖啡館」へ行くには、孔子廟を目印にするのがいちばんです。孔子廟の脇を通る南門路を、孔子廟の赤い塀を道路反対側の右手に見ながら歩道を歩きます。目指すは「窄門」の小さな看板のある路地。路地というよりも建物と建物の間の隙間のような空間で、うっかりすると見過ごしてしまいます。「艸祭」という民宿と小さな料理屋に挟まれた隙間は、公称では38cm。普通の人でも体を横にしてカニ歩きをしないと通れないくらいなので、体の大きな人は相当に苦労すると思います。
「窄」は狭いという意味なので、文字通り「狭き門」からお入りください、という店です。「狭き門」と聞いて思い出すのは、新約聖書の一節「狭き門より入れ、・・・、生命にいたる門は狭く、その道は細く、・・・」です。窄門のオーナーも、この句を知っていて、店の名前を付けたそうです。狭い路地を通って店に入ると、そこには世俗の世界とはちょっと違った時間が流れている、ここで少しだけ人間らしさやゆとりを取り戻してほしい、そんな思いが感じ取れます。
アーケードを歩くと見逃しそうな狭い路地ですが、道路向かいの孔子廟の側から見ると、窄門が入っているビルは、実は2階に窓が並んだかなり大きな建物だとわかります。狭い路地に入ると、店に上る階段があります。階段も狭いのですが、狭い空間がグリーンで飾られ、さりげなく古民具なども置かれたりして、どんなお店だろうという期待感が高まります。
建物は日本統治時代に建てられたもので、何回か持ち主が変わり、窄門としてオープンしたのは1990年のことです。台南では、古い建物を再利用してカフェや雑貨店など、個性的な店に変身させるリノベーションが盛んですが、窄門はその先駆けとなった店です。
狭い階段を上って店に入ると、映画のフラッシュバックのような、時間が数十年戻ったような空間が目に入ります。木張りの床、薄黄色とブルーに塗りわけられた壁、木枠の窓やステンドグラス、木製のイスとテーブル、落ち着いた配色のカーテンやテーブルクロス。すべてが調和していて、年配の人なら、子どものころどこかで見た洋館の応接間や古いホテルのダイニングなどを思い浮かべるかもしれません。若い人なら、戦前のヨーロッパや上海を背景にした映画のシーンを連想するかもしれません。異国風情でありながら、とても懐かしく感じるのが不思議です。
それは、窄門のリノベーションが、古い建材や建具をできるだけそのまま利用するとう方法をとっているので、時間の積み重ねがにじみ出ているからだと思います。疲れたり、ささくれたりした心を癒すには、ぴったりの空間です。時を重ねた落ち着いた空間が人の心にやさしいのは、国や民族を超えた共通の感覚のようです。窓の外に見える孔子廟の公園の緑もすばらしい借景になっています。
店内は静かで、若いカップルやグループのお客さんが多いのですが、一人でパソコンを開いてゆっくりしている常連風のお客さんもいます。はじめてのお客さんは、そっと席を立ってカメラに店内の様子を収めているのですぐにわかります。
ドリンクメニューは豊富で、コーヒーは曼特寧(マンデリン)160元、特調冰咖啡(特製アイスコーヒー)165元、印度奶茶(インドミルクティー)160元、水果茶(フルーツティー)160元、檸檬汁(レモンジュース)160元など。このほか花茶(ハーブティー)や変わったところでは西藏酥油茶(チベットバター茶)180元などもあります。パイやケーキ、軽食メニューもあります。
それほど暑い時期でもないし、私は静かな店内の空気につられてホットのマンデリンを注文しましたが、実はこの店の一番人気のメニューは生クリープたっぷりの特製アイスコーヒーです。甘いのが苦手な人にはおすすめできませんが、暑い夏にはぴったりだと思います。
カードは使えません。
隣の民宿の「艸祭」は、草祭二手書店(二手は中古の中国語)という有名な古書店だったところで、2017年に本をテーマにした民宿に変わりました。図書館の蔵書室のような雰囲気の民宿はロビーだけでも一見の価値があります。
Zhaimengafeiguan 窄門咖啡館 ジャイメンカーフェーガン
狭い路地の奥にある、時を重ねた安らぎの空間
- 投稿日2018/10/23
知らないと通り過ぎる!? 狭い門が入り口の隠れ家カフェ
- 投稿日2016/03/22
- 更新日2018/07/13
台南にある台湾最古の孔子廟。その孔子廟の南門路の入口向い側を府前路方面へ歩いていくと左手に狭い入口があります。
このカフェを知らない人は壁と壁との隙間としか思わず通り過ぎてしまうでしょう。
しかし、それがこのカフェへの入口なのです。
体を斜めにしないと奥に進むことができないくらい細い路地。そこを進んで「窄門」と書かれた看板にぶち当たります。看板の矢印の通り左にある階段を上っていくと老房子がレトロな隠れ家的カフェ「窄門咖啡館」があります。
孔子廟側から見るカフェは普通のレトロな感じの喫茶店ですが、この入口を見つけるのが難関!
1990年オープン。最近は古い家(老房子)をリノベしたカフェが台南で大人気ですが、その中でも老店と言えるのがこちらです。
店内はレトロな雰囲気。照明が控えめで自然の光がさりげなく差し込んできます。
メニューは珈琲や紅茶、ジュースなどなど。ウィンナーコーヒーやアイリッシュコーヒーなど少し珍しいメニューもあります。
台湾ならではの水果茶160元(フルーツがたくさん入ったお茶)はアイスもよりホットが濃厚でおすすめ!
時間を忘れてのんびり過ごせるカフェ。ぜひ狭い入口を見つけてみてください!
※1人につき120元以上の注文が必要です。
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ジャンルカフェ
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エリア中西区
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住所
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アクセス孔子廟または台南駅から徒歩約20分
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電話番号+886-6-2110508
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営業時間11:00-23:00
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定休日無休
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予算101~200台湾ドル
- 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。